凶悪犯罪者バトルロイヤル 第181話


 保育士マキとのデートから、十日余り。「毒魔羅」が完治した宮崎勤は、かつてない煩悶に苦しめられていた。

「僕は木島香苗が好き。僕は木島香苗が好きじゃない。僕は木島香苗が好き。僕は木島香苗が好きじゃない。僕は木島香苗が・・・」

 花占いは、また恐ろしい結果が出てしまった。これでもう、五回連続である。

「あっあっあっ。こんなのは、嘘なんだっ、ああっ、ああっ」

 錯乱した僕は、先ほど、四、五歳の女児が口をつけて飲んだ公園の水を、自らもまた口をつけて飲んだ。次にやったのは、僕の恋のキューピッド、松永への電話だった。

「宮崎さんですか。どうしたんですか?」

「あっあっあっ。さっき、五歳の女の子の虫歯菌が、僕の口の中に入ったんだっっっ。これで明日僕の歯はボロボロになり、入れ歯を入れなくちゃいけなくなって、口がうんこの臭いになって、木島に嫌われるかもしれないんだっ」

「そうですか。では、ポリデントをお届けすればよろしいですか?」

「あっあっあっ。またかけなおすんだっ」

 僕は電話を切り、今度は公衆トイレに入って、昨日から取り組んでいる、ある実験に入った。

「となりのトットロ、トットーロ」

 iPodから流れるのは、僕のリスペクトする、宮崎駿監督の名作アニメ、となりのトトロである。これを聞きながら、かつて愛した女、マキをおかずにオナニーをした場合、射精までに要する時間は、4分21秒である。

「こ~い~しちゃった」

 続いては、YUIなる歌手の代表曲、「こ~い~しちゃった」である。これを聞きながら、木島の痴態を思い浮かべてオナニーをした場合、射精までに要する時間は、4分11秒・・・。先ほどのタイムを、10秒上回っている。

「あっあっあっ」

 いったい、どういうことなんだ。二発目なのに、あんな木島をおかずにしたのに、こんな、本当のタイトルもわからないような「こ~い~しちゃった」なんて曲を流しているのに、どうしてさっきよりも早いタイムが出るんだ。しかも、こ~い~しちゃった、のリズムに合わせて魔羅を摩擦すると、すさまじい快感が走るのは、なんでなんだっ!

 納得のいかない僕は、再び松永に電話をかけた。

「どうしました、宮崎さん。今度は、8歳の女児の淡を飲んだとか、そういうことですか」

「あっあっあっ。こーいーしちゃったを流したら、トトロのときより出るのが早くて、僕はいったい、どうしたらいいんだっ」

 松永が適当なことを言いやがったのには若干腹が立ったが、僕は怒りたいのを我慢し、さっき起こったことを的確に述べた。

「そうですか。宮崎さんの意中の女性こそトトロみたいなのに、変な話ですね」

「あっあっあっ」

 松永が木島の体型を揶揄したとき、僕の心の底に溢れるのは、怒りである。つまり、僕は木島に恋をしている・・・?

「ちなみに、宮崎さんが先ほどおっしゃった曲のタイトルは、CHE・R・RYです。宮崎さんはもうチェリーボーイではないのだから、そんなに慌てる必要はないのではないですか」

「あっあっあっ」

「では、また何かあったら、お電話ください」

 松永が適当にまとめやがったのには腹が立ったが、ともかく、僕はトイレの床にぶちまけた精液をそのままにしてトイレを出、そのトイレにさっきの五歳の女児が入ったのを見届けた後、家へと帰った。

 木島香苗の姿は見えない。どうやら、何処かへ出かけているようである。さきほど、立て続けに二発精を放ったばかりであり、木島のパンツを漁る気にもならない。落ち着いた僕は、尊敬する夜原なおき先生への手紙を書くことにした。

――夜原せんせい、こんにちは。私は今、恋をしています。その相手は、ふくよかな体型をしていて、人の心を操るのがとっても上手い人です。もう、苦しくて、胸が張り裂けそうで・・。どうすればいいのか、困っています。 今田夕子

 こんな悩みなど打ち明けたら、夜原先生の創作の妨げになってしまうかもしれない。しかし、僕のために約束を守り、何だか知らないが、何か大事な戦いに勝ってくれたという夜原先生なら、何か力になってくれるのではないか。ずうずうしいと思いながらも、期待を込めて、手紙を書いた。

「勤さん」

「わっ」

 手紙を書き終えた僕の後ろから、でかい顔をぬっと突き出し、いきなり木島香苗が声をかけてきた。書くのに夢中になりすぎ、象が歩くようなでかい足音に気が付かなった。

「お、おかえり・・・なんだい」

「あのね。さっき、お世話になっているある人から、久々に殺人の依頼を受けたのよ」

 この声を聴くだけで、ドギマギする。なんでこんなことになってしまったんだ。

「そ、そう・・・で、今度は、誰なんだい」

「麻原彰晃の命を、取ってきてほしいの」

「え!」

 麻原彰晃といえば、大会最大の大物・・・。戦いにはまったく興味がない僕でも、あいつを殺すことは、他の奴らを殺すこととはわけが違うことくらいはわかる。簡単には頷くわけにはいかない。

「お願い・・・」

 しかし、木島に上目づかいをされると・・・。僕は、僕は、参ってしまう。

「う、うん・・・。わかったよ・・・。いつか、ね・・・」

 本当に、なんでこんなことになってしまったのか・・。煩悶に苦しめられつつ、僕は今日も、「小学五年 国語」の教科書を開き、「赤い実弾けた」を読んだ。
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No title

木嶋で勃つ上に最後までできるとは・・・さすが宮崎。
彼だったらカウ婆さんでもいけるのかも?

宮崎先生と松永氏の電話のやり取りに和みます(*´ω`*)夜原先生宛ての手紙、その文面じゃ誤解を呼びそうなwwそれにしても尊師の命をとってこいだなんて…木嶋さんも無茶な命令しますねえ、どうなることやら…

No title

>>NEOさん

 本当になんであれだけの男がだまされたのか理解に苦しみますね。いくら女っ気がない高齢の非モテに狙いを絞ったっていってもなあ・・。まあ、実際に接した人にしかわからない「何か」があるんでしょう。カウ婆さんは犯行時50かそこらで、年齢的には今だったら現役でもおかしくはないですけどね。毒婦の色香といっても写真からはピンと来ないですね。

>>枇杷さん

 松永さんも勤の扱いに慣れてきた感じだねw尊師との対決はすぐには来ないだろうが、いずれ書く予定なのでお楽しみに。。ただ、あの二人のことなのでまともな殺し合いになるかはわからないなあw
プロフィール

津島 博行

Author:津島 博行
1987年4月3日生 男性
相互リンク歓迎します。

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