凶悪犯罪者バトルロイヤル 第二十五話

 麻原彰晃率いるバドラは、杉並区内のグラウンドで、少年野球チーム「がんばれツンベアーズ」と、練習試合を行っていた。

「大リーグボール3号だ、甲子園の優勝投手だ」

 ピッチャー麻原が投じた、渾身の104㎞ストレートが、5年生の少年、カネトモによって外野に運ばれる。センター勝田清孝が快足を飛ばしてキャッチ。フライに打ち取った。チェンジである。

 6回裏。頭脳プレーを信条とする九番、正田昭がセカンドゴロに打ち取られ、走、攻、守、三拍子揃った一番、大久保清もライトフライで凡退する。その後、大久保清と二遊間を組む二番、勝田清孝が四球で出塁し、農耕で鍛えたパワーで長打を飛ばす三番、菊池正が右前打で続いた。

 2アウトランナー一、二塁の場面。打席に入ったのは、四番、麻原彰晃である。

 アメリカ人のピッチャー、カイエンが投じた第一球は低めのカーブ。麻原はじっくりと球筋を見極めて見送った。

「いいよいいよー!バッター、腹がつかえてインコース打てないよー!」

 ベンチから、関光彦の野次が飛ぶ。

「あいつめ・・どっちの味方なのだ」

 苦々しい顔をした麻原だったが、彼は焦っていた。現在、スコアは4-1で、バドラが負けていた。まずい状況である。たかだか草野球の試合。だが、負けられない。この勝負において、麻原は罰ゲームとして、ツンベアーズの通う小学校の屋上から飛び降りる、という約束をしてしまっていたのだ。

 一週間前、初めてツンベアーズのメンバーと知り合ったとき、麻原は彼らに、空中浮遊が出来る、と、ホラを吹いてしまっていた。自分を神格化するためについた嘘だったのだが、これは大きな失策であった。昔と違い、いまどきの子供は、どこまでも実証主義であった。そんなことができるのなら証明してみろと言われ、引くに引けなくなってしまったのだ。

「尊師のおじちゃーーーん。頑張れーーー」
 
 ベンチから、ツンベアーズから人数合わせのために借りた6年生の少年、ワタルの声援が降り注いだ。
 
 たかが小学生についた嘘。逃げることは容易だった。それでも、麻原が無茶な約束をした背景には、ある事情があった。

 ワタルには、交通事故で植物状態になった父がいる。母は父の回復を信じて、父がいつか目覚めるその日まで、女手一つでワタルを養うため、朝から晩まで休みなく、身を粉にして働いている。麻原はその母に近寄り、バドラに500万円のお布施をすれば、自分の法力で父を治癒してみせると誑かしていたのである。

 母がいとも容易く騙されたのには、ワタルが麻原のことを慕っている、という事情が大きく作用した。ワタルはツンベアーズのメンバーからイジメを受けて寂しい思いをしており、己に優しく接してくれた麻原に深く心酔していたのだ。

 ここで逃げては、ワタルに幻滅されてしまう。それは即ち、500万円のお布施が入らなくなることを意味する。無茶だとわかっていても、戦いに身を投じるしかなかったのだ。

「ストライーーック!」

 カイエンの投じた、110キロのストレートが高めに決まる。カウントは2-3。いよいよ、正念場。麻原の背筋に、第七サティアンの隠し部屋で身をこごめ、踏み込んできた警察の足音に恐々としていたときと同様の戦慄が走った。

☆    ☆    ☆    ☆    ☆    ☆

 グラウンド近くに停車する車の陰。宅間守は、子分の二人とともに、グラウンドで溌剌とプレーするバドラのメンバーを観察していた。

「なんかあいつら、楽しそうっすね」

 金川が、毒気を抜かれたような調子で呟いた。自分も呆れている。殺し合いを繰り広げている最中だというのに、あいつらのあの享楽ぶりはどうであろう。かくいう自分も、毎日のように女遊びに明け暮れているが、狂おしき衝動を抑えるために、刹那の快楽を追い求めているだけの自分と違い、奴らはこの先、未来永劫の幸せが続くと信じて疑わぬような顔で、今のひと時を楽しんでいるのである。この空気を作り出しているのは、間違いなくリーダーの麻原彰晃である。あのオッサンはいったい、何者なのか?

「作戦では、俺が誰か一人を弓で狙撃して、奴らが壊乱に陥ったところに突撃をかけていくって話でしたけど、誰を狙います?」

「んなもん、麻原のオッサン一択やろ。桶狭間の合戦然り、どんな大軍も、頭を失えば機能しなくなるもんや」

 戦前の一服をくゆらせながら、宅間が言った。

 トップのカリスマ性が強ければ強いほど、それを失ったときの混乱も大きい。奴らが麻原に依存しきっているのが、逆に仇となるのだ。

「つうか、このままここから、八人全員を狙撃するってのはどうすか?奴らとの距離は目測で三十メートルくらいっすから、不可能じゃないっすよ」

「アホ。矢を撃って、次の矢をつがえて、狙いを定めて、また撃つ。そんなことをチンタラやっとる間に、全員に逃げられて終いや」

 まったく、トーシロウが。実戦においては、飛び道具はけして万能ではないことをわかっていない。

 この戦いの目的は、麻原軍の全滅ではない。奴らを壊滅させ、一人は生け捕りにしてアジトの場所を吐かせれば、軍資金を根こそぎ奪い去ることができるが、彼我の戦力差を考えると、現実的ではない。自分はただ、ねるとんパーティに着ていくスーツを買う金を手に入れられればそれでいいのだ。戦術上、麻原のオッサンは確実に殺すとして、あとはせいぜい、一人か二人を殺せれば、それで上出来である。

 だが、それにしたところで、白兵戦は避けられない。弓矢で致命傷を与えられるのは、せいぜい最初の一人、つまり麻原だけだ。麻原を殺れば、他の全員は、逃げるなり、混乱して右往左往するなり、少なくとも何らかの動きは見せる。静止した的を射ぬくのと動く的を射ぬくのとでは、麻原軍が興じている野球で例えれば、バッテイングセンターで棒球を打つのと、人間が投げる生きた球を打つのと同じくらいの差がある。

 金川がどれだけの名人なのかは知らないが、動く人間を遠距離狙撃で仕留めるなど、できっこないと断言できる。そんな甘い考えは通用しない。大なり小なりリスクを冒さなければ、人間の命は取れないのだ。

「お。麻原のオッサンがバッターボックスに入ったな。よし、殺れや小僧。失敗は許されんぞ」

 宅間の命令で、金川が弓を構えた。構えはさすがにサマになっており、プレッシャーのかかる状況が、いつもは十七、八のガキにしか見えない幼い顔に、平家の扇を狙う那須与一ばりの緊張感をもたらしている。なかなかどうして、凛々しい姿である。

「覚悟せいや、くそガキどもが」

 タバコを弾き飛ばして、宅間は自分を奮い立たせるために呟いた。試合展開からいけば、あと一回くらいは麻原に打席は回ってくるだろうが、これ以上、様子を窺うつもりはなかった。

 弛緩しきったあの連中のツラを見ていると、どうも戦意を喪失していけない。この血が煮えたぎっているうちに、さっさと殺してしまうに限る。
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マモモマモが弾き飛ばしたタバコををそのまま口でキャッチしたて~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!( ̄O ̄)( ̄O ̄)( ̄O ̄)( ̄O ̄)( ̄O ̄)O ̄) ̄O ̄)((o(^∇^)o))((o(^∇^)o))((o(^∇^)o))((o(^∇^)o)) ̄)( ̄O ̄)( ̄O ̄) ̄O ̄)ハグハグ!・!!!!
女遊びぶ好きなマモマモだらしなさが可愛すぎぎでずっっっう(●^o●)(●^o^●)(●^o^^o^●)(^o^●)(●^o^●●^o^●)(●^o^●)女のの前ではどぬんな感じなマモ~二ャですかぬ???。??ん。。????~~
小僧てとかクソガキ呼ばわりりマモ親父ういいいい・・・・・・・・・・・マモマモだって心は少年のぬままなのにぃ・・・・・マモ・・・・・・マモ(*^¬^*)

あとマモマモのAA作りました!!!!!!!
↓触角(写真をよく見たらある)
,V、、、
( `⊿´)←キリッとした目


戦前の一服マモ~~~~~~~~ッ




,V、、、
( `⊿´)y-~~~~~~

No title

1番コメさんコメントありがとうございます!

似てるwけどw
触覚???生えてます???ww

No title

http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4131328.jpg.html

生えてまううすゆよ^~^
ゴキブリみたいな形と色ですよね!!!⌒~~⌒きゃわわわqqわくぁあ

No title

>>フムフム草さん

ファイルやっと見れたw
寝ぐせやんか?w

絵もみたいなぁ。

ファイルしばらく見れなかたたでずがっ!!????
ずみませんっ(;o;)あぐ
載せ方がわからなかたたので私もよく分からんまま載せてまいた・・・・・

あの触角をレーダーにして高慢ちきな女を察知してるかと思うと胸熱てす!!!!!!


では絵は載せますのでしばらくお待ちください!!!聖斗くんばっか描いてまずが(* ̄∇ ̄*)(* ̄∇ ̄*)(* ̄∇ ̄*)(* ̄∇ ̄*)


先ほどの画像と同じ載せ方でいいでしょうかか(>_<)(>_<)(>_<)(>_<)(>_<)
プロフィール

津島 博行

Author:津島 博行
1987年4月3日生 男性
相互リンク歓迎します。

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