凶悪犯罪者バトルロイヤル 第151話

 宮崎勤は、己の分身を襲うあまりに痛みに、悲鳴を発しながら転げまわっていた。激しく動いたため、おむつははずれ、カラオケボックス内は、粘着質の高い便がそこここに付着し、異臭に満ちた、地獄絵図のような空間となっていた。

「ああっ!ああっ!痛いよう、痛いよう!」

 僕は痛みを発する「毒魔羅」を、ひとまず、マキが飲んでいたメロンソーダに浸して冷却した。しかし、「毒魔羅」は徐々に腫れあがり、痛みを増すばかりである。

 限界だった。もはや、マキを殺すどころの話ではない。ただちに適切な治療を受けなければ、痛みで発狂してしまいそうだ。だけど、救急隊員に、うんちに塗れたこの部屋を見られるのは嫌だ・・。

「どうしたらいいんだっ!!」

 困っていると、携帯電話が鳴動した。ディスプレイを確認すると、「山地くん」との表示。そうだ、山地くんなら、何かいいアドバイスをくれるかもしれない。相談してみよう。

「やあ、宮崎くん。今、なにしているんだい」

 別に悪意があって内緒にしていたわけではないが、山地くんには、今日のデートの予定は伝えていなかった。

「あっあっあっ。それどころじゃなくなったんだっ。勝つために明日を捨てたら、ちんちんが痛くなっちゃったんだ」

「そうか。ちんちんに毒を仕込んだら、女の子に入れる前に、痛くなっちゃったんだね」

 山地くんは毒魔羅のことも知らないはずなのに、どうして今の説明で分かったのか。やはり山地くんとは、まさに僕と以心伝心の、理想の友人である。

「ちょっと待ってて。僕が薬を持って、そっちに行くよ」

「あっあっあっ。それは、それは嫌なんだっ」

 山地くんに、毒魔羅を治してもらいたい気持ちはある・・。しかし、いくら親友の山地くんとて、うんち塗れのこの部屋を見られるのには抵抗があった。

 電車の中で堂々とうんちを漏らすことはしたい僕だったが、カラオケボックスにぶちまけてしまったうんちを見られるのは恥ずかしい。矛盾しているようで、矛盾してはいない。問題は、自分の意志で漏らしたのか、意志に反して漏らしたのか、ということだ。自分で自殺するのはいいが、前上博に自殺サイトで釣られて殺されるのは嫌だ。つまりはそういうことである。

「どうしてなんだい。ひょっとして、うんちやおしっこを漏らしたから、僕を呼びづらいのかい?」

 山地くんは、いったいどこまで僕のことを知り尽くしているのか。なぜ、説明してもいないのに、そんなことまでわかるんだ。

「あっあっあっ。僕は、僕はっ」

「うんちを漏らしたことくらい、気にすることはないよ。かの徳川家康だって、三方が原の合戦のとき、武田信玄に負けてうんちを漏らしたんだよ。徳川家康は、そのときの敗戦を教訓とし、天下を取るまでに成長したんだ。つまりうんちを漏らした宮崎くんは、天下人の器ってことだ。宮崎くん、かっこいい~」

「あっあっあっ。じゃあ、頼むよ」

 山地くんにそう煽てられて、僕はついに山地くんを、この場に招くことを決めた。そうか、僕は徳川家康だったのか。ならば、いつか必ず、天下統一できるじゃないか。嬉しくなってしまった僕にとって、うんちがそこらじゅうにくっついた部屋を見られることくらい、なんでもなかった。

 三十分ほど経って、「ブラックジャック」のコスプレに身を包んだ山地くんが、カラオケボックスに姿を現した。

「お待たせ、宮崎くん。僕が宮崎の毒チンチンを、治療してあげるよ」

 頼もしい友人の登場――。しかし、その顔に「悪魔の笑み」が浮かんでいるような気がするのは、気のせいだろうか。

「あっあっあっ。毒チンチンじゃなくて、毒魔羅なんだ。そこを間違っちゃだめなんだ」

 僕は、山地くんの許すべからざる間違いを訂正した。「毒魔羅」を「毒チンチン」と間違うなど、「チャンピオン」を「チャンピョン」と書くくらい、気持ち悪い間違いである。僕が尊敬する夜原なおき先生がしばしば引用する「なんJ」風に言えば、「絶対に許さない、顔も見たくない」である。

「あっ、ごめんごめん。宮崎くんの毒ベニテングタケを、治療してあげるよ」

「あっあっあっ。だから、毒魔羅だって、言ってるじゃないか!」

 どうして、さっき言ったばかりなのに間違えるんだ。それに、ベニテングタケなら元々毒キノコだから、わざわざ毒を頭につける必要はないし、あんな真っ赤なやつに例えたら、まるで僕のやつが、いつも皮に納まって外気に触れていないみたいじゃないか。

 なにか、今日の山地くんはおかしい・・。嫌な予感がする。

「あっあっあっ。それはなんなんだ」

 山地くんが取り出したのは、かつて北野武が演じたキャラクター「鬼瓦権蔵」のパネルである。ドカジャンに泥棒ひげの、あの汚らしいオッサンの「鬼瓦権蔵」である。

「いいから、そのまま仰向けになっていて。このままじゃ、塩気が足りないな。味噌をつけて、味を調えないとね」

 山地君はそういって、僕が部屋中にまき散らしたうんちを、鬼瓦権蔵のパネルに塗り付け始めた。

「あっあっあっ。だから、なにを」

 山地くんは僕の問いには答えず、鬼瓦権蔵のパネルを、いきなり僕の「毒魔羅」に装着してきた。当然、毒魔羅には激しい痛みが走る。

 ・・・装着?薄っぺらいパネルに、僕の毒魔羅がピッタリとフィットしている?これはいったい、どういうことなんだ?

 待て。この感触・・・この絶妙なぬめり具合と締め付け具合・・。間違いない。これは、女の性器よりも気持ちいいとリピーターが絶たない、伝説のオナホール、「TENGA」ではないか。

「こんなに立派になっている毒ひのきの棒を使わないのは、勿体ないと思ってね。出すものを出せば、毒も抜けるかもしれないしね」

 出すものを出すって・・。冗談じゃない、こんなにグジュグジュに炎症を起こしたモノに、外的な刺激を与えたりなんかしたら、とんでもないことになってしまうじゃないか!

 今度は、僕の毒魔羅を、あんな8ゴールドの武器に例えたりしたことからも、間違いない。山地くんは、僕を虐げて、己の欲求を満たす気だ。
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どうしてこうなったwwwwwwwwww山地くん、本当は全部見てたんじゃないかってくらい以心伝心で笑いました!黒男さんコスの山地くんはきっとかっこいい筈なのになんてこったい/(^o^)\マキさんと毒魔羅の無事を祈ってますwww

No title

>>枇杷さん

 ついに勤と山地くんの蜜月のときが終わり、相まみえるときがやってきたよ~。ブラックジャックコスの山地くんはぐうイケメンに違いないね(確信)

 期待よろしく!

No title

ブラックジャックネタが入った某動画を去年見て以来この回のBGMは10年くらい前のアニメ版OPのゲッコウg月光花になったよv-535
毒魔羅篇は登場人物が皆はっちゃけてて介抱に来たカナエちゃんさんがまともに見えたり最高に面白かったっけなぁ
なんにせよこの時の宮崎くんにはデリケアエムズを届けてあげたい…

No title

OKBさん

 毒マラ編の着想が後の作品でも生かされましたが、描写の生々しさは磨かれてきたものの、オリジナルほどのくだらなさは出せませんでした。とはいえ私の作風を決定づける要因になった回なので非常に思い出深いです。一番影響与えたのが勤になるとはなぁ。
プロフィール

津島 博行

Author:津島 博行
1987年4月3日生 男性
相互リンク歓迎します。

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