凶悪犯罪者バトルロイヤル 第131話

 かつての宿敵の懇願に、麻原は困惑していた。

 目の前の宅間守は、明らかに弱っているように見える。大会屈指の戦闘力を誇るこの男を倒すのに、今は最大のチャンスなのではないか?

 しかし、さすがに宅間は悪賢かった。麻原が愛するアヤ先生を、あらかじめ抱き込んでいたのである。

「お願い、尊師。宅間さんを、助けてあげて」

 アヤ先生にこう頼まれては、聞かぬわけにはいかない。麻原は宅間に食事を施した。むろん、タダというわけではない。西口彰の籠る秘密基地を陥落させるのに、力添えをしてくれることを依頼した。

 宅間を味方につけるにあたって、麻原はバドラの面々にも伝えていない「物質(ものぢち)」の件は打ち明けた。

「なるほど、スリルを味わいたかった、か・・。わからんでもないな」

 もともと、性犯罪は宅間のフィールドである。レイプ魔のこの男に、自分の単なるセクハラを打ち明けるのは、殺人犯に蚊を潰したことを打ち明けるに等しい、些細なことだった。

「せやけど、あの城を落とすのは難儀やで」

 三方を川に囲まれ、背後は山という地形。天然の要害である「秘密基地」を落とすのは、戦のプロでも難しいという。

「そもそも、こっちがどこまでやれば、相手がオッサンの日記を公開するかわからんのでは、話にならん。まずは話し合いを重ね、その線引きを明らかにせいや」

 それもそうである。なぜ、今までそこに気が付かなかったのか。バドラの信徒には、小田島鐵男や正田昭など駆け引きに長けた者もおり、早い段階で物質の件を打ち明けていればそういうアイデアも出ただろうが、それはできなかった。やはり持つべきものは、同好の士である。

 麻原は秘密基地に紙ヒコーキを投げ、西口との交渉を開始した。

――西口。いったいお前は、俺がどこまでやったら、あれを公開する気でいるのだ。

――うーん、新宿の伊勢丹で、神戸牛とシャトー・マルゴーを買ってきてくれたら、教えてあげんでもないなあ。

 敵は図々しくも、そんな要求をしてきた。涙を飲んで、肉とワインを買って送ってやると、城方の梅川と小平は、大胆にも小屋を出てきて、バーベキューをし始めた。

「うむ。銀行に籠ったときにも飲んだが、やはりマルゴーは格別やでえ」

 自分でも、逮捕されてからは飲んだことがないのに・・。麻原は嫉妬と憤りを感じたが、この現状では、ただ指をくわえて見ているしかなかった。

「食欲の次は性欲ですな。麻原尊師、デリヘルを頼んまっせ」

 舌なめずりをして要求してきたのは、伝説の強姦犯、小平義雄である。図々しいにも程があるが、しかしこればかりは、無茶な要求というものだった。なぜなら、秘密基地には、水道の設備がないからである。シャワーのない部屋には、デリヘルは呼べないのは当然のこと。今度の要求には、こちらが応じて金を出してやっても、向こうは欲求を満たすことはできない。はずだったが・・。

「キャー。ジブリの映画みたーい」

「気持ちいいー」

 なんと城方は、いつの間にか持ち込んだドラム缶で、屋外に「五右衛門風呂」を設置し、デリヘル嬢と入浴を始めたのだった。全裸体は晒さず、水着姿だから、強制わいせつにはならない。麻原たちは、小平と梅川が、変わりばんこにデリヘル嬢、しかも一回6万円もする、VIP御用達の高級デリヘル嬢と、五右衛門風呂でキャキャ戯れるのを、見せつけられる恰好となった。

「くそう、あんなの見たら、勃っちまうじゃねえか!」

「尊師、俺我慢できねえよ!」

 西口軍に羨ましいところを見せ付けられたバドラの信徒の性欲に、火がついてしまった。信徒たちに無駄な長期戦を敷いている負い目のある麻原はこれに逆らえず、バドラの全信徒、及び、ちゃっかりとそれに混じった宅間軍全員分の風俗代を出す羽目となってしまった。

 麻原たちを苛立たせるだけ苛立たせたうえで、一気に要求を叩きつける。西口の狙いは、徹底的に、バドラの資金を奪うことであった。今は潤沢なバドラの資金であるが、このままいけば、確実に先細りとなっていく。じわじわと追い詰められ、行きつく先は、滅亡・・。麻原の中で、「絶望」の二文字がちらつき始めた。

――西口。お前の要求には答えた。いい加減、どうやったら物質を公開するつもりなのか、それを教えんか

 麻原の送った紙ヒコーキに対し、返ってきた答えは・・。

――教える(約束を守るとは言ってない)

「おのれ、西口めえっ!」

 麻原は激昂した。これほどの怒りを感じたのは、かつてオウムを率いていた時代、テレビの討論番組で、白髪頭の無礼な司会者とやり合ったとき以来のことだった。

「落ち着かんか、オッサン。そこで怒りに任せて力攻めをするなら、まさに相手の思う壺やぞ」

 宅間が「週刊大衆」の袋とじを見ながら、麻原を諌めた。激情型のこの男から、こんな冷静な意見が出るのは、それが他人事だからであろう。

 しかし、「なんJ」の言い回しといい、いまだにこそこそ隠れて麻原たちの前に姿を現さないことといい、西口とは、まことに腹が立つ男である。もともと人を食った男なのか、あえてそういうキャラを演じているのか。一つだけ言えるのは、今、自分が対峙しているのは、紛れもない、大会屈指の強敵である、ということである。

 そして、枯渇へと向かうバドラの金庫に、さらに追い打ちをかける敵が、電話をかけてきた。

「麻原彰晃!あんた、全然お店に来ないじゃないの!今日こそは、信徒のみんなと一緒に、スカーフキッスに来てよ!じゃないと、あんたの破廉恥な日記の内容を、世田谷区民に公開しちゃうわよ!」

 麻原の脳内で、破滅を告げるカナリアの囀りが聞こえ始めた・・。


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よってたかって尻の毛を抜かれる尊師に全私が泣いた(´;ω;`)
そのうち吹っ切れていきなり黒化し出さないかハラハラしてるw

ランキング登録始めたんだ!一日一回ポチーとすればいいかな?

No title

>>OKBさん

麻原尊師最大の試練やで!この危機からいかに脱出するのかのう。。

ランキング登録してみたわー。こういうのんは、押してくれば押してくれるほど伸びていくんで、みなさんポチーよろしくやで!

No title

>>津島さん

今晩は~☆ひさびさPCから読みに来て、
ついつい、噴き出して笑っちゃいました・・・。
今、お部屋だからイイんです・・・!w

宅間さぁ~ん(*´~`*)むひひひ・・・
想像力豊かすぎて辛い・・・w
いや、なんか、リアルの姿で想像できるの可笑しいらしいです・・・w
知らなかった・・・wwwずっと三次元のお姿イメージでいたのwww

・・・津島さんは?二次元イメージ?リアルばーじょん?
どちらの姿で想像しつる?私もう夢にまで出て来てもらえたり・・・☆
いろいろ感無量な一年でしたよ(全然〇っちなんじゃないですwww太ちゃん若いverとか、宅間さん[逮捕時]で、プラトニック・・・www)

もうね、起きた時の複雑な心境・・・、
夢小説じゃなく夢に見ちゃったっていううふふ。。

マスゴミによれば「他人の夢の話って退屈」?らしいけど・・・?w
なかなか、人に話せないから、話させてえ~><

最後に・・・、尊師を呼び出してるの誰なんでそう?w
営業もしもしにしては、ちょっと強引wwwテロリストの香りが・・・w
重信ねぇさんですか?それか、ホミカちゃん泥酔で別人格が・・・?

き、気になる・・・、続き・・・、まったり楽しみにしてまぁす(*´▽`*)


No title

>>蘭さん

想像するのは三次元かなあ。

夢は僕、昨日変なのみたなあ。気づいたらひげ面のオッサンとHしてて、慌てて逃げ出したら、ころすとかメールが来ました。

最後の人物は、以前の話を読んでいただけるとわかると思います。すいません、最近間隔が空いているので、わからなくなってしまいますよね・・。

No title

>>津島さん

うへへ(*´ω`*)オリジナルで二次元なイメージも分かるんだけど・・・、
三次元イメージ結構おいしいですよむ( *´艸`)

(小説の)梅川さんてば・・・デリバリーサービス好きが高じてそんなもううわあああああ・・・!!!あqwせdrftgyふじこlp;@

・・・えっ???もちつけ???

凶悪犯バトルロイヤルカテゴリーは特に落ち着けませmmm!!!
荒れてまnyよ(●´ω`●)笑ってうへへ癒されて台風の目・・・???

Σうぬおおお・・・こわい夢見たんでうね(ノД`)・゜・。
出来心でついつい想像しちゃった・・・、ううう、やだぁ・・・www
夢の話し結構たのしいですやん(笑)

私の場合は・・・、夢の中での会話内容まで書かせてもらうと、夢小説っていうジャンルみたいになるから・・・、会話内容だけは自重しますん。。(宅間さん、太ちゃん、ともに声のトーンは高めで、口調が落ち着いてて穏やか~な感じで、それぞれに訛りがあってうはwwwwwwでしたん(´艸`*) この二人の夢見たとかいうと何かと誤解を招いたりもするから~いちお「プラトニック」な内容をちょっとご紹介www

宅間さんとは遊園地(花やしき)→浅草寺周辺(おおみそか)デート、
周囲の景色まで、すごく鮮明で・・・起きてからもう、微妙な気分でいながら、忘れないうちに、覚えてるかぎり内容メモっちゃいました☆夢日記というかもう、小説まがいの作文のネタ帳になりそうwww

あっ・・・謝らないでくださり(●´ω`●)予想いろいろしてたので・・・
次回分までネタバレになっちゃうと色々ご迷惑かと思って・・・あやふやな質問そして雑談してしまいまして( *´艸`)ぜんぶ覚えなくていいでうよ・・・☆ 手短かにかけたらいいんでうが小説カテは興奮度高まるためおおめに見てやってくださひ・・・(●^o^●)

次回・・・がんばれ尊師!?いろいろな方向性で期待(勝手な予想も)しちゃいまう♪wwwさすがの太ちゃん頭抱えて胃が痛くなっちゃうんじゃあ・・・?太ちゃん心配・・・本当だょ・・・くくくkkkwww

No title

>>津島くん

あっ・・・太さんの夢話は遠慮しておきます。(笑)

Twitterには隠れ松永太好き女子もいるんよん♪

意外や意外(●´ω`●)探してみるもんですね☆w

ただ、あいにく・・・二次創作小説は苦手なんですって(´・ω・`。)

人によりお好みもあるので、しょうがないことなんですけど・・・、

そぉなると私も(鍵つきの場所で遠慮なく太ちゃんトークできるのは熱いんでうが・・・)小説に関してはね、複雑な気持ちになるので・・・、
初心(半年以上前)に☆かえって、Twitterよりもコチラに積極的に顔出すよぉにしまふ♪w ランキングも忘れずにポチポチしますので任せてくださり。(●´ω`●)

背水の陣な尊師かわいそうwwwwwwwwww宅間軍投入によってなんとなく緩くなりましたね、癒されますー( ´▽`)

No title

>>枇杷さん

一応、人が死んでるのに、なぜかちょっと緩い空気になってしまうの不思議が、尊師と宅間さんのキャラよね。あの二人の資料読むと、必ず一か所は吹いてしまうような場面があるんよね~。
プロフィール

津島 博行

Author:津島 博行
1987年4月3日生 男性
相互リンク歓迎します。

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