凶悪犯罪者バトルロイヤル 第127話

 宅間守は、配下の金川真大、上部康明を率いて、この日闇サイトトリオが現れるという、品川区の住宅街にある、小さな児童公園を訪れていた。平日の昼間ということで、公園内は、ゲートボールを嗜む老人たちで賑わっている。

 老人は害悪である。全部が全部とは言わんが、大概がそうである。あまりにその認識が普遍すぎて、二つの言葉を掛け合わせた「老害」などという言葉まであるのが、まさに真理を表している。

 大体、社会の構造的に、老人というのはどう考えたってお荷物である。能力も体力もない癖に、若い者に遜ることもせず、態度ばかりでかい。生産力はないくせに生かすのに金ばかりかかり、国家や家庭の財政を逼迫させる。そのくせ己らは、あの世にも持っていけんのに無駄に金を貯め込んでおる。

 はっきりいって老人には、何一つ敬う必要などない。今の日本があるのは、高度経済成長を支えてきた年寄り様のお蔭~などと呑気に言っていられるのは、万に一つもコケる可能性のない一部の特権階級か、「明日は我が身」を想像する頭のない、自信過剰な愚か者だけだろう。それ以外の連中は、むしろ恨むべきなのである。

 己らが生み出したバブルで散々放蕩三昧をし、やがてそのバブルを崩壊させて日本を大不況に陥れたとき、奴らがとった行動はなんだったか。老兵は去りゆくのみと自分らが職を辞すのではなく、働き盛りの若い世代の首を切りにかかり、就職の窓口を狭めたではないか。己たちの世代の競争などは、競争とも呼べない小学校のかけっこレベルのものであったことを語ろうともせず、若い世代にはオリンピックで頂点を極めるかのような熾烈な競争を強い、それを「当然」などと、いけしゃあしゃあとウソをついてけつかる。日本をそんなどうしようもない国にしたのは、あやつらジジババなのだ。

 また老人は頭の切れは悪いが、知識は豊富、ゆえに無能ではない、などと思っている者もいるが、この情報化社会の中で情報機器を満足に使えないあやつらはむしろ、無知である。つまり、あやつらの脳は、メモリ量も少なければ回転も鈍い、産業廃棄物のようなものなのである。にもかかわらずあやつらは、無駄に重ねた歳の分だけ知恵もついておろうなどと勘違いし、己らの固定観念でしか物を見ず、自分が経験してきた狭い範囲でしか、物事を語ろうとしない。年寄りが若者に勝る部分など、何一つないといっていいのだ。

 そんなどうしようもない屑どもを、敬う必要などはない。あやつらは、この国のガン。淘汰されるべき存在なのである。姥捨て山の風習は合理的であった。合理的な制度ほど非難の対象となり、受け入れられないのが、現代という時代なのである。

 などと宅間が、己もまた禁治産者であることを棚に上げて考えていると、闇サイトトリオが乗っていると思われるバンが、公園から少し離れたところで止まった。情報は、本当だったようだ。

「奴らが現れた。いったん、木陰に隠れるで」

 宅間は配下とともに、木陰に隠れ、闇サイトトリオが公園内に入ってくるのを待った。しばらく待っていると、闇サイトトリオの堀慶末、神田司、川岸健治の3人が、姿を現した。他勢力の者はいないようである。

「よし。行くで、お前ら」

 まだ、罠がないと決まったわけではない――。リスクは念頭にあったが、宅間は構わず飛び出した。ここまで足を運んで、エサを目の前にして、引き返せるか。もはや躊躇なく突っ込むばかりである。

 情報提供者の川岸は助けてやるとして、他2人は必ず殺す――。意気込む宅間のジャベリンのリーチの中に、ターゲットの3人が入る、その寸前だった。

 ゲートボールの老人の一人が、突然クラブを振り上げ、襲いかかってきた。まったくの無警戒。ゆえに反応できない。配下の者に、援護の指示を与えてもいない。まずい――。

 が、幸いにも襲撃者のクラブは、宅間が通り過ぎた後ろの土を抉った。クラブが重すぎたのか、当て勘が鈍かったのか。とにかく、間一髪で助かった。

 しかし、動揺した宅間のジャベリンも、トリオを捉えることはなく、仕切り直しとなった。

 自分を襲ったのは、金嬉老であった。コリアントリオの連中は、変装して老人たちに紛れておったのだ。猪口才なマネをしおって。3人が倍の6人に増えたところで、どうということはない。皆殺しにしてくれる――。

 宅間は改めてジャベリンを構えたのだが、周囲に嫌な気配が漂うのを感じ、すぐにそれを下ろした。

「なんやねん、お前ら」

 吉田純子、藤井政安、向井義己・・それともう一人、新しく加入したと思われるガキは、永山則夫か。いまだに名鑑を見ていない宅間であったが、自分以前の犯罪者であったから、その像は頭の中にあった。

 角田美代子軍の連中が、なぜこの場にいる・・?奴らも奴らで、情報を掴んでいたのだろうか。

「なんだ、あんたたちも来てたんだね。私も、そこの川岸に呼ばれて来たんだけど」

 サブリーダーの吉田純子の言であるが、信じてもいいのか。吉田の言っていることが本当なら、我が軍に追い風が吹いたことになるが・・。自分の女が妻になった瞬間から浮気を疑う猜疑心の強い自分の脳は、物事をそう都合よく考えられるようにできていない。

「宅間さん、これって・・」

「やかましい!何もしゃべんな。余計混乱するわ!」

 角田軍は、敵なのか、味方なのか。時間はない。早急に判断しなければならない――。
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津島 博行

Author:津島 博行
1987年4月3日生 男性
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