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凶悪犯罪者バトルロイヤル 第91話

 血が躍り、肉が騒ぐ―――。一番弟子、アカギが織りなす地獄絵図に触発された宅間の五臓六腑は、マグマのように煮えたぎっていた。

「どけやあああああああああぁっ!」

 右往左往する有象無象どもを弾き飛ばし、宅間は獲物へと一直線に向かっていく。今宵自分が犯すのは、オマケでの殺人。可愛い一番弟子の活躍に、花を添える殺人だ。

 日高夫妻よ。貴様らがどんな犯罪を起こし、何を思って娑婆を生きているのか知らぬが、ここでワシに出会ったのが運のツキや。嘆き、悲しみ、そして死ね。

 自分が大声を出した瞬間、今までアカギたちに気を取られていた夫妻の視線が、こちらを向いた。奇襲とはならなかったが、どうでもいい。真正面から、その喉笛にジャベリンの刃を突き立ててくれる。

「死ねえぃっ!」

 日高安政に突き出したジャベリンが、空を裂く。さすがに、任侠の親分を張っていただけあり、それなりに実戦でも動けるようだ。よかろう。一撃でだめなら、二撃、三撃を放つのみ。仕留めるまで、突き続けてやる。

 背中に、嫌な空気を感じる。間中博巳。夫妻の配下が、自分に狙いを定めて、攻撃を繰り出してきたようだ。

 宅間は身を捻って、背後からの攻撃を躱したが、その必要もなかったようだ。後方支援を命じていた上部が、跳び蹴りを食らわせて、間中を吹っ飛ばした。

「邪魔しおって、こんクソガキャアッ!」

 宅間は狙いを変えて、地に転がった間中に向かって、ジャベリンを振り下ろした。横転して躱す間中。ならばと、足で道を塞いだうえで攻撃を繰り出そうとしたが、間中は素早く身を起こした。

 退治する二人の間に、重い空気が流れる。間中が自分のことを知っているのかは知らないが、この立ち合いで、すでに自分の実力はわかったはず。それでもなお向き合おうとしてくる。よく飼いならされているようだ。これは、相当な軍資金の獲得が見込めそうだった。

「鳥の巣頭!こいつの飼い主を逃がすな!」

 上部に命じておいて、自分は間中に、ジャベリンを突き出した。躱され、逆にナイフでのカウンターを受ける。大きくバックステップ。完全には、躱せなかった。肩口に、火のついたような痛みが走る。バトルロイヤルが始まってから、初めて負った実戦での手傷。これに、不覚にも動揺してしまった自分は、次いで、間中の攻撃を、右の前腕で受け止めてしまった。鮮血が、アスファルトに滴り落ちる。

「おのれ・・・」

 頭に血が昇りかけたが、眼前に現れた光景が、自分を冷静にさせた。通報を受けて駆け付けた警官隊が、立ち合いに乱入してきたのである。警視庁の警官には、バトルロイヤル参加者の争いには手出しをしないよう通達が行っているはずだが、アカギの事件もすぐ傍で起こっており、判別がつかなかったのだろう。一人の若い警官が、ベテラン警官が止めるのも聞かず、警棒を構えて自分に向かってくる。同時に、間中もナイフを構えて突進してきた。

 プロフェッショナル二人を相手に、手傷を負った今の状態では、さすがの自分でも厳しい。万事休すか、と思われたそのとき、一本の矢が、光の速度で飛んできて、警官の足元の地面に突き刺さった。金川による援護である。

 よう仕事をした。宅間は、驚いた警官隊が足を止めたことにより、本来なら入れなかったスペースにステップして、間中の攻撃をかわした。そして、間中の脚部を、ジャベリンで思い切り薙ぎ払った。この際、格闘技のローキックのように太ももを狙うのではなく、骨にダイレクトに衝撃がいく、内くるぶしの上あたりを狙うのがポイントである。

「痛えっ!」

機動力を失った間中の上体めがけて、ジャベリンを突き出した。肉を貫く手ごたえ。間中の肋骨の隙間に、ジャベリンの刃が突き刺さった。

「トドメやっ!」

 完全に動きの止まった間中の首筋を、ジャベリンで突き刺した。鮮血のシャワー。五秒・・十秒。間中は激しくもがき苦しみ、やがて、事切れた。

 宅間の所業を目撃した若い警官が、ただ茫然と事態を見つめている。自分の手に負える相手ではないと、判断したようだった。そこに、ベテラン警官が割って入る。

「なんや。おどれもやるんか?」

「い、いえ。すみません、突然のことで、どなたか、わからなかったもので・・。すぐに引き取りますので、どうぞお続けください」

 ベテラン警官が、コメつきバッタのように頭を下げて、若い警官を引きずって退いていった。とうとう自分も、おまわりにも恐れられる身分になったか。感慨に耽るのは後でもいいとして、今は、為すべきを為さねば。

 宅間は日高夫妻を探して、視線を周囲に配った。姿が見えない。配下を置いて遁走したようだが、どこに消えたのか。上部は、ちゃんと追っているのか。

 ともかく、夜間、この雑踏の中で敵を見つけるのは至難の業である。宅間は索敵を諦め、ガンダム像前で行われている血の宴を楽しもうと、気持ちを切り替えた。

 そのときだった。一人の若い女に、視線が釘づけになった。

 三週間前かそこらに、委員会から届いたメール。参加者追加のお知らせ。自分に日高夫妻の情報を提供したAとともに追加された、Nとかいう娘。なんや。なんであいつが、ここにいるんや。

 まあ、ええ。ここで会ったが100年目。物のついでや。

 死んでもらおか。

 ワシの服も、むさくるしい男の血で汚れてしまった。こいつをべっぴんな若い娘の血で洗い落とさんと、洗濯してもよう着れんからのう。
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津島 博行

Author:津島 博行
1987年4月3日生 男性
相互リンク歓迎します。

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