凶悪犯罪者バトルロイヤル 第84話

 人生最大のパニックに陥った僕は、親友の山地くんに助けを求めるべく、リビングへと駆けた。

「山地くん!」

 が。そこに、山地くんの姿はなかった。買い物にでも行ったのだろうか。携帯電話も忘れていったようだ。これでは、連絡もとれない。

「ああ!どうしたらいいんだ。これは大変なことだ。僕は今、大変なんだ。どうすればいいんだ。うわああっ」

 僕はその場で床を転げまわり、叫び声をあげた。そのとき、ある人物の名前を思い出した。松永太。また、あいつに相談してみよう。僕は寝室にとって返し、脱ぎ捨てたズボンから、携帯電話を取り出した。

「松永です。宮崎さんですね。どうしました?」

「あ・・っ・・あ、あっ。今、大変なんだ。ちんこから出たチンカスを食ったら、ちんこが勃たなくなって、童貞ができなくなったんだ。これは女の口にキスをしてしまったせいなんだ」

「落ち着いてください、宮崎さん。冷静になって、順を追って話してください」

 松永に諭され、僕は、藤波の家を訪れてから今までに起こったことを整理し、語って聞かせた。

「なるほど・・大体、状況は掴めました。ようするに、今、宮崎さんは、心因性突発性の勃起不全に陥ってしまった、ということですね?」

「そ、そそそ、そうなんだ。ああっ、ああっ」

「ご安心ください。現在、シャバには、ED治療薬という薬があります。これがあれば、宮崎さんのものは、再び硬度を獲得できますから。今、先ほど教えて頂いた住所まで、配下の者に届けさせますから、お待ちください」

 松永が携帯を切ったと同時に、大きな買い物袋をぶら下げた山地くんが帰ってきた。

「やあ、宮崎くん。お楽しみは済んだかい?」

「あっあっあっ・・僕がちんこを入れようとしたら、僕がチンカスを食べちゃって、童貞がちんこを入れられなくなってしまったから、ED治療薬ができるようになるんだ」

「そっか。じゃ、殺そっか」

 山地くんに僕のフルちん姿を見られた恥ずかしさも相俟って、僕が支離滅裂な日本語を放つと、山地くんが、満面の笑みを浮かべてそう答えた。なんでそうなるのか、よくわからなかったが、気が動転していた僕は、頷くしかなかった。

「ちょっと趣向を凝らしてみようと思ってね。こんなものを買ってきたんだ」

 山地くんが、近所のデパート「大丸」で買ってきたのは、「桃太郎変身セット」と「金太郎変身セット」だった。

「子供のころ、昔話を読んだろう?今日は、その昔話の登場人物になりきって、人殺しをしてみようかと思うんだ。僕が桃太郎をやるから、宮崎くんは金太郎をやって」

 そう言って山地くんは、大きく「金」の刺繍が施された、レオタードみたいなやつを、手渡してきた。山地くんは山地くんで、華美なデザインの桃太郎ファッションに着替え始めるので、僕も、乗り気ではないものの、金太郎レオタードを着るしかなかった。

「で、僕はこの日本刀を使うから、宮崎くんは、この鉞を使うんだよ。ひと月のバイトの給料のほとんどをつぎ込んで買ったんだから、大事に使ってよ」

 各々が凶器を手に持ち、ニタニタと笑いながら、「鬼」たる、藤波ににじり寄った。

「よし。じゃあ、まず、僕から行くか。宮崎くん。桃太郎の歌を歌ってよ」

 言われた通り、僕が「もーもたろさん、ももたろさん」と、歌を歌いだすと、山地くんは、腰につけた巾着袋から、おもむろにきびだんごを取り出し、食べてみせた。

「よーし。きびだんごを食べて、パワーもりもりだ。行くぞー」

 山地くんの目が、ぬらっと光を帯びる。

「や、やめて・・・」

 振り上げられた日本刀の刃を見て、藤波が声を震わせたが、遅かった。空を切る音が鳴り、藤波の脳天から血しぶきが上がった。

「ぎゃああああっ!」

 わざと致命傷を与えなかったのだろう。山地くんが、のたうち回る藤波を見て、えへらえへらと不気味な笑みを浮かべている。

「さあ。次は、宮崎くんの番だよ。僕が歌を歌ってあげる。まあさかり、かーついだ、金太郎」

 僕は何がなんだかわからないまま前進し、藤波と対峙した。あまり乗り気ではないが、やはりやらなければならないのか。ならば開き直って、少しでも楽しまなくてはならない。僕は金太郎レオタードの股座から、ふにゃふにゃになったペニスを食み出させ、それを振り回しながら、藤波にさらに近づいていった。

 そして、鉞を振り下ろそうとしたのだが、ここで一つの問題が生じてしまった。ペニスを振り回しながら鉞を振り下ろすという動作が、どうしてもできないのだ。本当に運動神経が高い人ならできるのかもしれないが、ちょっと僕にはハードルが高すぎるようである。

「くっ・・くそう、どうしたらいいんだ!どうしたらっ!」

 脳内の混乱具合が、ますます加速していく。どうして、僕がこんな思いをしなければならないんだ。こんな理不尽な思いをしてまで、どうしてセックスをしなければならないんだ。どうして、殺人をしなければならないんだ。

 僕が泣き出そうとしたそのとき、アパートのドアが開いた。

「な・・なんだこれは・・・」

 特殊警棒を構えて入ってきたのは、またしても、僕を嫌っている、加藤智大だった。
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フムフムちゃん達とめいっぱい応援してます!!!



津島さんこんにちは(* ̄∇ ̄*)


宮崎パート・・・、今回はまた一段と笑えました!www
小説での光景、結構ハッキリと(自分なりに・・・)脳裏にイメージしながら読むんです、だからか、もう余計に笑えました・・・!!!


ヤマジンも相当お茶目ですね♪ww
なかなか斬新なお買い物・・・
でも、万引きしないで、ちゃんと買ってきたところは偉いですね><
もし宅間さんだったら余裕で万引きしてるだろうなぁ・・・(笑)


松永、ギャグ風で新鮮でした!!!
電話で親切に対応しつつ、内心では(うわぁ・・・やっぱ宮崎おかしいわ・・・)って小バカにしてそう~~~!!!><
電話で余裕しゃくしゃくなフリして(笑)

確かに粗暴犯が多い中、
松永は稀な人物ですよね・・・

誰しも多少は、本音と建前とか二面性ってあると思うんですが・・・、
松永は裏表が激しすぎますよね!!!
裏表の差は、激辛ハバネロと外国製激甘スイーツくらい違うイメージで・・・(なんとなく、笑)
創作上でなら、とても面白味があるキャラクターですよね(*^.^*)


今回、ラストは・・・えっ!ここで!!?ってツッコミ入れちゃいましたよ(*≧∀≦*)(*≧∀≦*)
いろいろと心配・・・(笑)
そしてまたまた展開が気になる~~~!!!


フムフムちゃん達もバトルロイヤルのこと何度も楽しくお話してるので、
津島さんにも伝えた方が喜んでくれるかなって思ってたんですよ(*^^*)
なかなかコメントに来られなくても・・・、隠れファンもいるのを忘れないでくださいねっ!♪

私や同志さんもですが、
バトルロイヤルの過去記事を読み返したりもしてるんですよ~~~!!!
初めて読んだ時より、二度、三度目に新たな発見があったりするので☆


執筆スピードupは・・・、コチラも元気モリモリーとなります!!!

感想、いつも文通並みに(笑)長くなってしまって・・・><
さすがに、もう少し話題を絞った方がいいですねww

Twitterのような短めに即レスも最近はけっこう慣れて来たんですが、
小説サイト時代の名残り?がまだあるみたいで・・・

当時(かれこれ8年くらい前ですw)、
物書きさん同士はお互いのサイトの掲示板やメールで長々と・・・
数日おきに交流してました。
だんだん、リアルの会話も増えたりご近所付き合いみたいになってましたが・・・ww

サイトがなくても小説を読みに来てくれる方は、本当に数行の感想でも嬉しかったのをよく覚えてます・・・!!!

私の場合ですが、メールマガジンで小説の更新情報を(更新した日のうちに)お知らせしてました。
メルマガが日中に来ても差し支えがない読者さん限定でしたけど・・・、
メルマガの購読数が20人、50人と・・・
増えると嬉しかったり減るとさみしくなったり・・・
結局は、私が数字に左右されがちで少し微妙に思って停止しましたが(笑)
メルマガならそんなにむずかしい事はないと思うので、もし気が向いたら「無料」「メルマガ配信」と検索して調べてみてください~
私は「まぐまぐ」 http://www.mag2.com/ で配信してましたが、
他にもたくさんあります。
メルマガサイト側から、自分のサイトを知って来てくれる方もいますし・・・。

私はジャンプ系(某人気漫画※それしか詳しくないんですww)の同人小説・同人イラストが主流の場所で
交流してましたが、管理人さん同士で仲良くなって相互リンクしてもらうと、お互いのサイト閲覧者さんもリンクから遊びに来てくれるようになったり・・・。

津島さんは実在した凶悪犯達をモデルにしてるとはいえ、ストーリーはオリジナルですからね・・・、
近いジャンルの方(オリジナル小説を書かれてるサイトの皆さん)と、
気分転換に交流をはかってみるのも、もしかしたら良いかも・・・。
いきなりブログの宣伝や相互リンクをお願いするのでなく、気分転換にお話しに行き来したりって意味です♪(掲示板にご挨拶しつつ、ここのブログURLをさりげなく載せたりとか・・・)
そういう場には、オリジナルのネット小説を読むのが好きな閲覧者さんも多数いると思うので・・・、

宣伝や小説以外のことで大衆向けに短期集中型アクセスアップするよりは(ヘタすると民度が低い皆さんまで迷いこんでしまう可能性もあるし・・・)、

ネットでオリジナル小説を読むのが好きな閲覧者さんに・・・出来たらですが長期的に遊びに来てもらえるように活動された方が、今後の津島さんにとって良いんじゃないかな?
そんな風に思って・・・、またイチ提案もさせていただきました><
無料サイトやメルマガも作成が難でしたら、趣旨が近い皆さんとの交流もまた良いかもと・・・


・・・なので(話し戻しますねw)、
小説の感想や雑談となると、つい長くなってしまうんですよね・・・。
(コメントはスマホのメール下書きに書き溜めてから、コピペして投稿に来てますww
何度かweb上でコメント書いたのに、うっかり消えたことがあるので・・・><)

お返事も延々と続いてしまうと大変ですよね・・・。もう少しライトに&できたら早めに書きに来られるように工夫してみますねww
また、遊びに来ます(ノ´∀`*)♪♪

松永も通電オタクの変態だから冷静なんだろうね
加藤はドン引き(笑)

No title

>>勤ファンさん

確かにそれもそうですけど、
人を使うのがうまい人って、基本、人を安易に見下したりしないんですよ。
それがどんなに「欠点」に見えるものであっても、まずは「個性」としてみて、何かに使えるようであれば用いて、役に立たないとみればバッサリ切る。
合理的思考ってそういうことですよね。

No title

>>蘭さん

アドバイスありがとうございます!

近い趣旨の方との交流ですか。
確かに有効な方法でしょうね。
確実に効果は上がると思います。

オリジナル小説を書かれている方は少数ながら
いらっしゃいます。確かな実力を感じる方もいらっしゃいました。
そういう方との交流を深めていくのは、今後、やってみたいところです。

いろいろと教えて頂いてありがとうございます。
ちょっと気持ちに余裕のあるときに、試していきたいと思います。

こんにちは´`色々と、一気に話し過ぎちゃいましたねっ…(笑)
イチ提案なので!そうですね…!!
津島さんに色々余裕ができてから、
もし気が向いたらで全然いいと思います☆
急がば回れ、で、ジャンル的にご近所のサイトさんをお散歩してみて…、そこで新しい発見や、良いご縁があるかも知れません(´ω`)ゝ
プロフィール

津島 博行

Author:津島 博行
1987年4月3日生 男性
相互リンク歓迎します。

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