party people 2


                               6

「ハア、ハア、ハァ・・・・」

 友麻の中に、この晩、八発目となる豪弾を打ち込んだ俺は、友麻の身体から離れ、服を着て水分を補給した。

「あーあーあー。青木っちのセクハラザーメンが、どぷどぷ溢れ出しちゃって」

 俺に二度も犯された友麻は、生気の抜けたビー玉のような目を、星屑の浮かぶ夜空に向けながら、地面に横たわっている。口は半開きになって、涙と洟が垂れ流しになり、影沼の言う通り、秘裂からは、気泡をプクプクと弾けさせる白濁のものが溢れ出していた。

「こんなんじゃ、PTSDっちゃって、生かしてやっても、もう使いものにならないだろう。ひと思いに殺してやった方が、本人のためだ」

 俺をゴミのような目で見ていた友麻を殺すことを、影沼がゴミを処理するように言った。

「青木っち。せっかくナイフとか持ってきたんだし、青木っち、殺ってみる?」

「いや・・・俺は・・・」

「そっか。エッチして、疲れちゃったもんね。んじゃ、俺が代わりにやっとくわ」

 これからお遣いに行くような、あっさりとした口調で言って、影沼が、友麻から十メートルほど距離を取った。

「これから友麻ちゃんはぁっ、青木っちの遺伝子ミルクを持ったまま、あの世へと旅立ちまぁす!あの世で友麻ちゃんはぁ、おでこが広くて、眼鏡をかけて、ひげが濃い青木っちそっくりの赤ちゃんを、お腹痛い痛いして産んじゃいます!」

 影沼は、友麻にとって、もっとも耐え難いことを口走ると、大きく助走を取り、友麻の前で大きくジャンプして、蝋人形のように凝固した友麻の顔面を、靴の踵で思い切り踏みつけた。

「いって・・いててて・・・ぐのぉぉっ、怒ったぞぉっ」

 友麻の涙と洟に塗れた顔面を踏んで滑り、地面にしたたかに後頭部を打ち付けた影沼が、目にイトミミズのような血管を浮かべ、顔面を紅潮させながら、靴底に鉄板の入った安全靴で、友麻の顔面を何度も踏みつけた。

 友麻の眼窩の骨と鼻骨が砕け、枯れ木の折れるような音が、静かな夜の山林に響き渡る。しかし、影沼に暴力を受ける以前に、すでに心を殺されていた友麻は、悲鳴一つ上げようとしない。むしろ、これから先、俺に犯された女として生きなければならない地獄から解放されることを、喜んでいるようにすら見える。

 友麻にとっての絶望は、影沼の踏みつけ地獄よりもむしろ、俺の生殖器を大事なところに出し入れされ、俺の遺伝子を子宮に送りこまれたことだった。友麻を本当に殺したのは、俺だった。

 脳内に横溢するカタルシスの前に、これから死にゆく女への情けは、あっさり霧消した。俺はまたぞろ熱を持ち始めたものを扱きながら、影沼が、無機質な肉の袋と化した友麻の、最後の命の灯を消しに行く様に見入った。

「セクハラという言葉は、確かに、たった一言で男に致命傷を与えられる、拳銃のように便利で強力な武器だ。だからこそ、使用者側のモラルが求められる。武器というのは常に、まともに立ち向かっても到底かなわない強敵に、本当の危機に追い詰められたときにしか抜いてはいけないものなんだ。自分だけが便利な武器を持っているという万能感に酔いしれるな。すべての武器は諸刃の剣。むやみやたらとぶっ放していれば、その弾丸は、いつか自分に跳ね返ってくるんだ。お前は生涯の最後に知ったその教訓をよく心に刻み、あの世で産むことになる青木っちのセクハラベイベーに伝えてやれ」

 影沼が、悪代官と対峙する時代劇の主人公のように言ってから、また大きくジャンプし、全体重をかけた両足で、友麻の顔面を思い切り踏みつけた。

 ゲジャアッ、バキバキィッ、と音がして、断末魔を上げる力も残されていない友麻の、首の骨が砕けた。同時に、俺の下腹部に、心地よい電流が走った。

「はぁ、はぁ、ぜぇ、はぁ。ふぅ、友麻ちゃん頑張ったねぇ。もう、楽になったからねぇ。あの世で、青木っちのヒゲヒゲ赤ちゃんを、ぷりって産むときはもっと痛いかもしれないけど、でもそのときは、大好きな藤井ちゃんが一緒だから耐えられるかなぁ。そのあと、藤井ちゃんの赤ちゃんが生まれても、青木っちのハゲメガネ赤ちゃんを、イジメたりしたらダメだよぉ」

 影沼が、友麻のぷっくり膨らんだ下腹部を撫ぜながら、おちょくるように言うのに合わせ、俺も透明が僅かに白く濁った液体を、土の上に吐き出した。

「はぁ、はぁ、ぜぇ、はぁ。ちょい、休憩」

 影沼がカローラに戻ってきて、ドアを開けたまま運転席に腰を下ろし、タバコに火をつけ、貪るように紫煙を吸い込んだ。

「ははっ・・・とうとう・・とうとう、やっちまったんだな」

 俺は泥の付いたズボンを上げ、汚いものを触れたあとのイカ臭い手で乱れた頭髪を抱えながら、カラカラと笑った。

「そうだ青木っち。君はこれで晴れて、俺たちの住む底辺世界を蝕む敵、ココロキレイマンを打ち倒す、正義の戦士となれたんだ」

 二本目のタバコに火をつけながら、影沼が弾むような声音で言った。

「その・・さっきから言ってる、ココロキレイマンって何?」

 大分、呼吸の整ってきた影沼に、俺は先ほどからの疑問をぶつけた。

「さっき説明した通りさ。人を嫉まず、憎まず、すべて自分のせいだと受け止められる謙虚な心を持ち、愚痴をけしてこぼさない。世の中では、そんな人間が正しいとされている。だが、何が正しいかなんてことは、立場によって変わるものだ。底辺世界に生きる、貧乏、不細工、無能が、世の中で正しいとされている価値観なんて信じていても、何の意味も持たないどころか、幸せが邪魔されてしまうんだよ」

 影沼が否定しているのは、俺をこれまで、ずっと苦しめてきた価値観である。

 人を嫉まず、憎まず、常に謙虚で、愚痴をこぼさない。ずっとそうしなきゃだめだと、教わってきた。貧乏で不細工で無能な俺が、何かに挑戦して敗れたとき、頑張ってダメだったとき、人に馬鹿にされたとき、自分の本音を口にすると、いつも誰かに、それを言われてきた。実際に言われたわけじゃなくても、誰かにそれを言われている気がしていた。

 正論、キレイゴト――そいつがいつも、俺の傷口に塩を塗り込んできた。
 
「そもそも、それを最初に言い出した人間は誰だ。誰が何のために、それを言い出した!」

 影沼が、語尾に力を込めて言った。

「・・・そりゃ、人に嫉まれ、憎まれ、他人のせいだと思われて、愚痴をこぼされたら困る人間だろ。自分の才能や努力だけじゃなくて、後ろめたい何かを抱えながら幸せになった連中・・」

 不当な言いがかりやでっち上げで他人を追い落としたとか――。踏みつけていった相手を、余計に侮辱したとか。

 そいつらが、負け組の敵意を自分に向けさせないために、正論、キレイゴトを吐く。

「そう。だからそれを信じることは、自分を踏みにじった奴らの思う壺なんだ。それを知らずに、貧乏で不細工で無能な負け組のくせに、他人に正論、キレイゴトなんかを吐いて、自分が何者かになった気になっている馬鹿がいる。わざわざ自分を踏みつけ、不当に追い落としていった側の思惑に嵌まろうとするばかりか、同じ負け犬の頭を抑え付けて満足している馬鹿がいる」

 俺の言ったことに上乗せする形で、影沼が答えた。

「貧乏人から自由、気楽を奪ったら、何が残る。どうせ誰にも期待されていない負け組なのだから、好き勝手にやりたい放題、言いたい放題。自分の感情に素直になって生きるのは、俺たち負け組に許された唯一の特権なんだ。それを強引に剥奪し、正しさ、心のキレイさなどという、底辺生活においては邪魔にしかならないものを押し付けてくる愚か者を、改心させなくてはならない。それが、俺と青木っちがこれから取り組む活動だ」

 影沼が言っているのは、俺を藤井や友麻と同じか、ある意味それ以上に苦しめてきた連中のことである。

 世の中からゴミのように扱われている立場のくせに、世の中で正しいとされている価値観を信じ込み、あたかも、聖人君子のように生きることを金科玉条とするヤツ。自分がそんな生き方を実践するだけでなく、自分とは考え方も、歩んできた道のりも違う他人にまで、それを押し付けようとするヤツ。

 そいつがいつも、俺の傷口に塩を擦り込んできた。

「人を嫉むな、憎むな、すべて自分のせいだと受け止めて、けして愚痴をこぼすな。俺はそうしている。他人にそれを言う者は、果たして、相手に本当に良くなってもらいたいと思っているのだろうか。本当に、相手の成長、あるいは幸せを願っているのだろうか」

 影沼に言われ、俺はこれまで、俺の傷口に塩を塗り込んできた奴らの顔を思い浮かべた。

 奴らのすべてが、好き勝手なことを偉そうに言うだけで、具体的に何かをしてくれたわけではなかったのを思い出した。奴らのすべてが、好き勝手なことを偉そうに言いながら、缶コーヒーの一本も奢ってくれなかったのを思い出した。

「・・・いや。違うと思う。ヤツらは、自分が気持ちよくなりたいだけだ」

 他人事だと思って、勝手なことばかり言ってくる無責任な連中――そいつがいつも、俺の傷口に塩を塗り込んできた。

「彼らは、承認欲求の塊だ。いつも、誰かに褒められ、また、誰かに感謝されたいと思っている。しかし、悲しいかな、彼らは見た目がいいわけでも、才能に溢れているわけでもない。だからそのままでは、誰も褒めてはくれない。感謝されるために、人に何かを与えようにも、肝心の原資がない」

 言うことばかり一丁前で、行動が伴ってない連中のことを思い浮かべた――確かに、そいつらの顔は反吐が出るほど不細工で、周りから評価されるどころか、ウザがられ、軽んじられているヤツばっかりだった。

「そこで彼らは、見た目、才能の代わりに、ただ人格が優れているだけのことを誇りにしようとする。それがなってない者に、お金の代わりに、自分の素晴らしい考え方を押し付けることによって、他人に何かを与えた気になろうとする」 

 影沼の説明で、俺にもココロキレイマンなるものが、おぼろげながら理解できてきた。

 人を嫉まず、憎まず、謙虚であり愚痴をこぼさない。後ろめたいことのある金持ち、イケメン、才能の持ち主が、自分が踏みつけていった貧乏、不細工、無能に、自分の不幸を納得させるために作り出した「正論、キレイゴト」を、幸せになるための方法論だと錯覚している貧乏、不細工、無能。それがココロキレイマンだと、影沼は言っている。

 ココロキレイマンが特に数多く生息するのは、俺たちの住む底辺世界である。

 見た目のいいヤツ、才能を持っているヤツは上に行く。上にいる奴らには金がある。自分をひけらかさなくても周りが勝手に褒めてくれるし、人にすぐ与えられるだけのものが手元にある。

 何もないヤツだけが、自分の正義を誇る。まるで新興宗教の勧誘のように、自分自身が考え出したものではなく、自分以外の誰かが、てめえの都合のために考え出した正義を盲目的に信じ込み、他人にまで押し付けようとする。

 愚かなココロキレイマンが、隅っこに追いやられて誰にも相手にされていないのなら、その職場は健全だ。この底辺世界、哀れなココロキレイマンが主流となり、幅を利かせている職場など山ほどある。

 影沼の話を聞きながら、俺は今の工場で働き始める前、四年間も勤めていた、交通誘導警備の会社でのことを思い出していた。



 まったくもって、クソみたいな職場だった。

 自分の待遇を少しでもマシにしようとするより、他人のアラを探すことに血眼になる連中。棒の振り方がなってないとか、現場に着くのが自分より遅いとか、どうでもいいようなことで威張りくさり、無能がさらなる無能を叩いて、自分の存在意義を確認しようとする連中。みんながそうだとは言わないが、そんな人種の割合が、ほかの業種に比べて明らかに多かった。

 俺が思うに、あの仕事をやっている連中がおかしくなってしまう主な原因は二つある。仕事が暇すぎることと、周りに女がいないことだ。

 警備員が暇なのは、お客にとってはいいことなのだから、堂々と暇そうにしていればいいのに、生真面目な日本人はなかなかそうは考えられない。自分は本当は社会の役に立っていないんじゃないか、通行人に、立っているだけで金がもらえていいご身分だと思われているんじゃないかと、どうしても、余計な不安と後ろめたさに駆られてしまう。

 しかし、焦ったところで、手っ取り早く充実感を得られるような仕事が湧いて出てくるわけではない。そこで、若い女が笑顔でも振りまいていれば、喧嘩なんかするより楽しくやった方が得だと考えられるが、得られるものが何一つないとなると、自分が評価されるという方向では満たされない承認欲求が、仲間を貶める方向に向かってしまう。仕事が暇だから、人の悪口を言い合ったり、人に嫌がらせをする時間は山ほどある。

 俺自身がターゲットになったこともあったし、ほかの人間がターゲットになるのも嫌ほど見てきた。あの仕事にいい思い出はまったくなかったが、それが四年も続いたのは、やはり仕事が暇なことと、周りに女がいないからだった。

 なまじ、手を伸ばせば届くところに女がいるから、それを持っていない自分が酷く惨めな存在に思えてくる。見渡す限り、女にまったく相手にされない小汚いオッサンばかりの職場は、女を得ようとして得られない俺にとっては、実に気が楽だった。仕事が暇でも、暇を気にして動き回ろうとする連中から受けるストレスを考慮すれば割には合わないのだが、いちど覚えた暇の味から抜け出すのは難しかった。
 
 その警備員時代、俺の「師匠」を務めていたのが、森尾という、八歳年上の男だった。

 べつに、頼んだわけではないのだが、森尾はたまたま現場で一緒になった俺を見て、こいつはすべてにおいて自分より劣った存在であり、傍に置いておけば、自分が優越感を満たす材料に使えると思ったらしく、そのときから俺を「弟子」に認定し、会社に言って、自分が隊長を務める現場に引っ張ってくるようになった。

――俺はこの会社ではエースと言われていて、誰よりも誘導はうまくできるし、みんなに頼りにされる。管制の人たちや、業者さんからの信頼も厚い。俺の動きを追って損はない。お前が俺を師匠に選んだのは正解だぞ。

 森尾は確かに、仕事は出来る男だった。上の人間や、工事の業者から好かれているというのも本当だった。しかし、非正規の単純労働がうまくできるということに、さしたる意味はない。

 非正規の単純労働を極めようとする行為を何かに例えるならば、それはドラクエで最初の町の周りをいつまでもウロウロし、スライムを何千匹も狩る行為に等しい。たしかに成長はゼロではないかもしれないが、あまりにも効率が悪く、実りが少ない。そしてそれを続けていては、永久にクリアにはたどり着けないのだ。

 それだけ自信があるのなら、せっかくまだ若いのだから、正社員の仕事を探してみるとか、警備を続けるにしても管理の仕事に引き上げてもらうよう直談判すればいいのに、森尾は「俺がいないと現場が回らなくなる」とか言って、なかなか次のステップに進もうとはせず、俺が入ったときですでに在社年数は三年を超え、休みの日でも当欠の穴埋めに駆り出されたり、日勤夜勤の連勤を何日も入れられるなど、会社にはいいようにこき使われていた。

 本当は、森尾にもよくわかっていたのだろう。世の中で不足しているのは、安価ですげ替えの利きやすい労働力であり、それをやりたいという者は優しい顔で歓迎されるが、安定した身分で働きたいと願う者には、途端に厳しい目が向けられる。お前に本当にそれができるのかと鋭い言葉が浴びせられ、これから何をしたいか、ではなく、これまで何をやってきたか、というアピールが求められる。
 
 俺も就職活動の経験者として、森尾が管理者や客から褒められ、年上の隊員のほとんどが自分に言いなりになってくれる居心地の良い環境を捨てるのが惜しくなる気持ちも、わからないではない。だが、世間はそれを、井の中の蛙というのだ。

 それでも、自分に与えられた仕事を黙々と頑張っているだけなら、俺のようなカスにまで見下されることはないという話だが、森尾は警備の現場を舞台に、自分が主役の人生劇場を演じながら、共演者を何人も潰していたのだからどうしようもない。

 森尾は自分が管理者から可愛がられているのをいいことに、自分の現場に気に入らない隊員がいると、年上だろうが平気で怒鳴り散らし、ときに折檻を加え、退職にまで追い込むような、とんでもないヤツだった。

――社内には俺を嫌う者もいるようだが、そいつらはみんな、仕事のできる俺に嫉妬して、逆恨みしているだけのクズだ。できないヤツを会社に残しておいてもみんなが迷惑するだけだし、クズを追い出すことも、俺の役割だと思っている。だが、お前は違う。俺はここでお前と出会えたのは運命だと思っているし、お前を本当の弟のように思っている。俺が責任をもって、必ずお前を一人前の男にしてやるからな。

 言っていることは立派でも、人に誇れる価値のあるものなど何一つ持っておらず、これからそれを手に入れようとする意志もなく、ただアメリカザリガニの如く、劣悪な底辺に過剰適応することだけに邁進する男が人に教えられることといえば、それは「清貧たれ」ということしかない。

――仕事をちゃんと教えてくれて、仕事が終わった後には一緒に飯を食ってくれて、毎日メールもしてくれる。こんなにお前を思ってくれる人間なんて、ほかにはいないぞ。お前は本当に幸せ者だって、みんな言ってたぞ。俺に出会えただけで、お前はハッピーだろ。

 辛抱我慢。森尾はそれを、自分を向上させるための努力とはき違えていた。これからもっと上を望むのではなく、底辺に燻って、何の進歩もないながらも、「心の師匠」はいる今、現在の状況を幸せだと思い込むことを、俺に求めてきた。

――確かにお前は、不細工で、頭も悪くて、みんなに嫌われているのかもしれない。だが、お前には俺がいるからな。俺だけは絶対に、お前を見捨てたりしないからな。

 俺の成長を願っていると言いながら、森尾は俺を滅多に褒めず、むしろ、俺の自信を挫くようなことばかり言っていた。

 俺にとっては、自分が不細工で無能で、誰からも、特に女から相手にされないこと自体が問題なのであり、そんな俺を大事とか言ってくる男がいても、まったく有難みはないという話。結局、俺を傍において優越感に浸りたいだけの森尾にとっては、俺が不細工で無能で人望もない、何の取り柄もない男のままであった方が都合が良かったのだ。

――この前、みんなと飲み会に行ったとき、もしお前がこの先、通り魔殺人でも起こしそうになったら、誰が止めるんだ?って話になったんだ。そのとき、みんなは口を揃えてこう言ったよ。青木を止めるのは、森尾さんしかいないとな。

 自分が犯罪者予備軍との自覚があっても、それを人に言われていい気分になる人間など、一人もいない。森尾の目的はただ、無能で不細工な犯罪者予備軍である俺の面倒を見ている自分自身に酔いたかっただけだが、タチの悪いことに、本人にはその自覚がまったくなかった。

 すべて俺のために、良かれと思って言ってやっているつもりだから、俺が期待した通りのリアクションを見せないと、プライドを傷つけられ、不満を抱いてしまう。しかし、その不満こそが、自分が人のために何かしようとするタイプの人間ではなく、自分のために人に何かをしようとする人間だという証明である。

 激しいジレンマを解消するために、ますます俺に付き纏い、ますます強烈なジレンマに襲われていく。俺にとってはとんでもなくはた迷惑な悪循環に、森尾は陥っていた。

――お前、宮田さんと二人で飯を食いに行ったとき、昔、自分をバカにしたヤツが、今じゃ正社員で働いて、彼女もいて幸せそうでムカつくとか言ってたらしいな。お前は俺があれほど、他人を嫉んだり、憎んだりしてもいいことはないと言ったのに、まだわからないのか?昔、お前に酷いことを言ったヤツもいたかもしれないが、そいつのお陰でそこを辞められ、今の会社に流れ着き、俺に出会えた。あー良かったな。そうやって、人間万事塞翁が馬という風に考えれば、人生は幸せなんだと、何度言えばわかるんだ?

 他人を嫉むなと言いながら、森尾は俺がほかの仲間とプライベートを共にしたり、もっといい条件の仕事に移りたいとか、彼女を欲しているとか、今以上の幸せを望んでいるようなことを言うと、烈火のごとく怒り狂った。一度森尾の逆鱗に触れると、棒のふり幅が小さいとか、声が出ていないとか、些細なことで難癖をつけられ、二時間以上も説教されるのはザラで、反省文の提出を要求されたこともあった。

――今のお前にとって、本当に必要なのはなんだ?彼女を望むのもいいし、正社員になりたいと思うのもいい。だが、その前に、お前にはやるべきことがあるんじゃないのか?お前にそれを教えてくれるのは誰だ?お前を導いてくれるのは誰だ?お前が見つめるべき人は誰だ?

 弟子の指導を大義名分に、無茶苦茶に怒鳴り散らし、俺が委縮したところで、ふいに優しげな――冷静に聞けば、かなり独りよがりな――言葉をかけることにより、自分が俺にとって必要な存在だと思い込ませる。そんな形で、森尾は俺を一種の洗脳にかけようとしていた。

――さっきは怖かったかもしれないが、俺はお前のことを、誰より大切に考えているぞ。お前は俺を尊敬しているんだよな。お前は俺に憧れ、俺を目指しているんだよな。お前は俺と、一生一緒にいたいと思ってるんだよな。

 俺が自分を尊敬し、憧れ、目指しているという確信があるのなら、わざわざそれを尋ねて、確認を取ったりはしない。不安に苛まれて、俺が自分を慕っていることを確かめようとするが、無理やり言わせるだけでは不安は晴れない。

 はた迷惑な悪循環。まったく進歩の見えない無限ループが、俺が警備会社を辞めるまで続けられた。

 森尾は哀れであり、愚かであり、滑稽な男ではあったが、根っからの悪人というわけではなかった。森尾があそこまで俺に付きまとったのは、俺を騙して、利益を得ようとしていたからではない。

 ただ、誰かに愛され、必要とされたい。森尾はただそれだけのために、四年間もの間、俺に無益なストーカー紛いの行為を繰り返していたのだ。

 森尾が見ているのは、誰よりも可愛い自分自身のみ。ただ自己肯定の材料とするために、自分より何もかもが劣った俺を利用しようとしていただけに過ぎない。

 森尾の吐くキレイゴトのすべては、俺の成長や、幸せのためを思ってではなく、自分が気持ちよくなるため――それがなってない俺を見下し、優越感に浸るだけの目的で発せられたものだということはわかりきっている。

 しかし――。

――いいか。人を嫉んだり、人を憎んだりしても、いいことなんて何もないぞ。すべて自分のせいだと受け止められる謙虚な心を持ち、愚痴をこぼしたりしなければ、お前はきっと幸せになれるんだからな。

 俺が警備員を辞め、森尾から離れて以降の人生で、幸せになるどころか、坂道を転げ落ちるように、状況がどんどん悪化していくだけだったという事実が、俺の中に残る森尾の言葉に真実味を持たせた。

 見渡す限りオッサンばかりの楽園から、狂おしい生物に囲まれる地獄に放り込まれ、手を伸ばせば届くはずのそれに、どうしても触れられない煩悶に喘ぐ中で――俺がどんなにしても手に入れられない女を、当たり前のように持っている男への嫉妬の炎に焼かれる苦しみの中で、森尾の言葉が蘇り、不気味に色濃さを増していった。

 やはり、森尾に付いていくのが正解だったのではないか・・・。森尾の言っていたことの方が正しいのではないか・・・。そう思わせることに繋がった。

 たとえこっ酷くフラれたのであろうが、自分の恋した女の幸せを祈るのが、男として正しい姿だ。酷いことを言われたのも、やっぱりお前の方に原因があったんじゃないのか。お前が我慢すればいいだけだ。友麻にコケにされ、藤井と差別された俺に、森尾がそう言っている気がした。

「人を嫉まず、人を憎まず、謙虚であり、愚痴をこぼさない。大変結構なことではあるが、それを人を見下す材料にしたら、ただの偽善になってしまう。そもそも人格などというものは、財力、見た目、才能が、他人に認められた結果ついてくるものであり、何もない人間が、それを誇りにするためにあるものではない」

 影沼の言葉が、強い力を持って、俺の中に巣食う森尾に吹きつける。しかし、四年の月日をかけて植え付けられ、ずっと俺を苛み続けてきた重しは、そう簡単に吹き飛ぶものではない。

「だけどさぁ。そんな人間だから、人生うまくいかないんだろ、て言われたらどうすんの?人を嫉んで、憎んで、他人のせいにして、愚痴ばっか吐いているから、お前は底辺なんだって・・」

 俺が、ずっと言われてきたこと。別に直接言われたわけじゃなくても、常に誰かに、言われているように感じてきたこと。そいつを、影沼の力強い言葉で吹っ飛ばしてほしい。

「それは、鶏と卵が逆になっている。因果関係を逆転させて、不満の矛先を自分たちに向けさせないようにするための方便だ」

 そんなんだからダメなんだ、ではなく、ダメだからそうなったんだ。俺がずっと思ってて、言えなかったこと。俺がダメである理由、俺が報われない理由を列挙するばかりで、肝心のチャンスを一度も与えてくれなかった世の中に――女たちに、俺がずっと言いたかったこと。しかし、奴らの言うことにも一理ある。

「だけど、やっぱり、人を嫉んだり、憎んだりしても苦しいだけだし、誰かのせいにしたり、愚痴をこぼしたりしたら、周りの人は嫌な思いをするだろ。やっぱり、人を嫉まず、憎まず、すべて自分のせいだと思って、愚痴をこぼさずにいた方が、幸せになれるんじゃ・・」

「なれない!青木っちみたいな不細工で、何の取り柄もない無能は、人を嫉まず、憎まず、自分のせいだと思って、愚痴を吐かずにいても、けして幸せにはなれない!一生涯、貧乏から抜け出せない!」

 影沼が言っているのは俺の資質の否定だが、しかし、どういうわけか、ちっとも嫌な気はしなかった。それは、俺が幸せになるための方法論を、さっきから影沼が明示しているから。

 俺が幸せになるための、唯一の方法――。影沼と一緒に、ココロキレイマンを打ち倒す、正義の戦士となること――。

「その・・ココロキレイマンってのは、説教する奴らってこと?」

 自分の進むべき道が本当に正しいのか確かめるために、ココロキレイマンについて、もっと詳しくなっておかなければならない。俺はこれから倒すべき敵、ココロキレイマンの実態を解明すべく、影沼に教授を仰ぐことにした。

「ココロキレイマンとは、世の中で正しいとされる価値観そのもの。それは青木っちの中にもいるし、藤井ちゃんや友麻の中にもいる。文明社会の中に生きる者なら誰しもが持っている、概念的なものと捉えてくれればいい」

 誰しもが持っている概念的なもの――しかし、それを信じて幸せになれる人間と、なれない人間とがいる。ココロキレイマンを信じていてもけして幸せになれない人間。それをこれから救うのだと、影沼は言っている。

「実体のないものを相手に戦うってことか?なんか、大変そうだな」

「大変だが、その手段はシンプルだ。具体的に、ココロキレイマンを打ち倒すための方法は、”抵抗” ”説得” ”証明”この三つに分けられる。”抵抗”とは、負け組にココロキレイマンになることを強制してくる人間、すなわち、後ろめたいことのある勝ち組を、力ずくで駆除すること。”説得”とは、ココロキレイマンに毒されてしまった人を、文字通り口頭で説得し、彼らの中のココロキレイマンを追い払ってあげること。”証明”とは、ココロキレイマンにでない自分が、実際に幸せになっている姿を見せつけることにより、本当に正しいのはこちらであるのを、みんなにわからせること。それを繰り返すことにより、この底辺世界からココロキレイマンを駆逐するのが、俺たちの活動の最終的な目的だ」

「・・・藤井と友麻を殺したのは、”抵抗”?」

「そうだ。藤井ちゃんと友麻は、青木っちに、自分たちを嫉まず憎まない、ココロキレイマンとなることを強制しようとしてきた。あと一歩のところで、ココロキレイマンになってしまうところだった青木っちを救済して俺のパートナーにするのと、奴らが放つ本物の輝きを消し去り、あの職場に隠れているココロキレイマンをいぶり出すために、俺はあの二人を殺すことを決めた」

 影沼の言う通りだった。

 俺が今の工場に留まるには、自分をボロクソに侮辱してきた女がイケメンと付き合う幸せを笑顔で祝福できる、ココロキレイマンになるしかなかった。大切にできるものが何もない俺が、友麻にゴミのように扱われた理不尽を納得するには、人間の女という生き物を無条件に労われる、ココロキレイマンになるしかなかった。

 女を無条件に労われなど、ふざけるのもほどがある。大人の女とは、子供や動物のような、無償の愛を注げる対象ではない。異性への思いは、受け入れられて初めて愛になるものだ。理不尽に踏みにじられたりしたら、憎悪に変わってしまうこともある。

 男女平等を叫びながら、一方で女は保護されるべき対象だと主張し、女は男に何を言っても許されると思い込むなど、けして許されるものではない。そして同じく、もっといい女をいくらでも抱けるくせに、本来、俺のような貧乏、不細工、無能に希望を与えなければならないはずのブスを持っていった藤井の節操なしも、けして許されるものではない。

 しかし、世間はそれを、逆恨みという。そいつを打ち破いてくれる理屈を、俺は欲している。

「だけどさぁ。藤井と友麻だって派遣だろ。上のヤツから見たら同じ穴の貉じゃん。弱い者が弱い者同士でつぶし合うってのは、正義の味方がやることじゃないんじゃない?ココロキレイマンになることを強制してくる人間を倒すなら、それこそ、格差社会を作り出してる政治家とかをやっつけた方がいいんじゃ・・」

「俺たちが救済しなければならないのは、ココロキレイマンではけして幸せにはなれない、世の中の貧乏、不細工、無能たちだ。これに一点でも当てはまらない者は、たとえ雇用形態が非正規であっても、救済の対象からは除外される」

「俺と藤井、友麻が同じ穴の貉なんじゃなくて、政治家と藤井、友麻が、同じ敵ってこと?」

「胸に手を当てて考えてみろ。政治家と藤井ちゃんとの差と、イケメンで、彼女がいてセックスやり放題な藤井ちゃんと、女に馬鹿にされ、部屋でマス掻いてばかりの青木っちとの差。どっちが大きい?」

 どこからどう考えても、俺と藤井との差の方が大きいとしか思えず、苦笑が漏れた。藤井が自分より政治家を憎めというのは、泥棒が人殺しを指さして、あいつを先に捕まえろというのに等しい。

「もちろん、大局的な見方も大切だが、一足飛びに大きな敵を狙ったところで、敢え無く潰されるだけだ。そもそも、今まさに拳銃を突き付けてくる相手を取り除かなければ、それを操る大敵を倒すこともできない。青木っちは藤井と友麻のラブラブを見せつけられ、ココロキレイマンに支配される寸前だった。死よりも辛いその運命に、全力で抗ったまでのことだ」

 俺の投げかけた疑問を、影沼は淀みない口調で、あっさりと論破してみせる。影沼の言っていることは至極もっともであり、反論の余地もない。少なくとも俺にとっては、圧倒的に正しいと思えることである。

 非正規社員、年収二百万以下。そこから抜け出したくて抜け出せない人間の苦痛を、ココロがキレイでなくてはいけないという強迫観念が助長していると主張する男が、俺に光を示そうとしている。

 自分に好意を持った貧乏、不細工、無能をコケにしまくって、己の穴ぼこだらけの自尊心の補修を図ろうとする、しもぶくれでビーバーみたいな顔をした友麻。ほかにもっといい女をいくらでも抱けるくせに、わざわざしもぶくれでビーバーみたいな顔をした女に手を出して、貧乏、不細工、無能のささやかな希望を搔っ攫っていった、節操なしの藤井。

 藤井と友麻を殺さなかったら、俺と同じように心を傷つけられ、ココロキレイマンとなることを強制される貧乏、不細工、無能が、もっと大勢出ただろう。俺と影沼は、その身を犠牲にして、貧乏、不細工、無能を、ココロキレイマンの毒で染めようとする悪を、この底辺世界から追い出したのだ。

 法では罰せない奴らを成敗してやったのは、正義の行いだったのだと主張する男が、俺に今まで見たことのない景色を見せようとしている。

「本物の輝きの前では、紛いものは息を潜めているしかない。けして真似できない相手がいる前で自己主張などしても、惨めになるだけだからな。だが、本物は消え去った。みていろ。藤井ちゃんと友麻が消えたあの職場から、これからココロキレイマンが、雨後の筍のように湧き出てくるはずだ。そいつらを、これから一人ひとり、叩き潰していくんだ」

 影沼の力強い言葉が、もう、思い出せないほど昔――人生が地獄でしかなくなる前に、俺が思い描いていた夢想を呼び覚ましていく。まだ、ちんぽが精力を持っていない、純真だったころの俺を蘇らせていく。

 みんなの憧れの、正義のヒーローになりたい。底辺世界にいる貧乏、不細工、無能を苦しめるココロキレイマンを一人残らず取り除き、みんなを幸せにしてやりたい。男として生まれたからには、価値のある、でっかいことがしてみたい。

 でも――。

「世のため、人のためだけじゃ動けない。あんた、ココロキレイマンをやっつけるには、自分が幸せになってるところを見せつける方法もあるっていったよな。俺はこれから、幸せになれるのか?あんたについていけば、幸せになれるのか?」

「なれるとも。人を嫉み、憎み、謙虚でなく傲慢で、愚痴をこぼしながらでも、人はいくらでも幸せになれる。むしろそうでなくては、底辺世界の住人はけして幸せになれない」

「具体的に、どうすりゃいいんだ?」

「簡単なことさ。どうせ誰にも期待されていない負け組なんだから、本音で生きろ。自由に生きろ。ココロキレイマンの信じる方角とは、逆に向かって歩め。その先に道は拓ける。俺が青木っちを案内してやる」

 俺は拳を、力強く握りしめた。

 社会の常識を逸脱し、理解不能の妄言を並べる人間に出会ったとき、ほとんどの人間は、目を背け、耳を閉じて、自分の中で、なかったことにしようとする。

 だが、俺は敢えて、向き合ってみようと思った。

 これまで、右へ倣えでやってきたが、にっちもさっちもいかなかった。でも、影沼が藤井を殺し、俺が友麻を犯して、影沼が友麻を殺したとき、俺はスッキリした。

 普通にやってちゃ、どうしても幸せになれないヤツもいる。ありきたりなことばかり言っている奴らより、コイツの言うことを聞いていた方が、まだマシになれる気がした。

 ココロキレイマン――後ろめたい勝ち組が、負け組を納得させるために作り出したそいつを、これからぶっ倒す。貧乏で不細工で無能なくせに、ココロキレイマンを信じているせいで苦しんでいる奴らを解放し、底辺世界に平和をもたらしてやる。

 自分のやるべきことがわかると――それが正義の行いであることがわかると、腹の底から、熱いものが湧き上がってくる。

「青木っちは、何かやりたいこととか、夢はあるのか?」

「いや。小学校高学年から、夢なんてもんは、一度も持ったことはない」

「就職活動は?」

「まぁ、ぼちぼちにとは考えてるけど、今すぐに動くってことはないよ」

「だったら、暫くの間、俺と一緒に、ココロキレイマンを打ち倒す、正義の戦士としての活動をしてみよう。いいじゃないか、減るもんじゃない」

「だけど、俺なんかにできるかどうか・・・」

「できる!きっとできるさ。嫉妬と憎悪の塊で、自己中で我儘で甘ったれで、異常な性欲の強さと歪んだ性癖を持ち、まるでヘドロみたいな、いや、ほとんどヘドロそのもののような青木っちなら、きっと、底辺世界を汚染するココロキレイマンを打ち倒し、貧乏で不細工で無能な人間が、せめて気楽に生きられるよう、底辺世界を変えられるさ」

 俺の人格をメタメタに非難する影沼の言葉を聞いて、腹の底から湧き上がってきた力が、全身に漲っていくのを感じる。

 ずっと、誰かに愛され、必要とされたかった。しかし、その相手は、世の中で値打ちのある人間、値打ちのある組織でなければ意味がなかった。

 俺の現在の立場は、安価で、いくらでも代えの利く、非正規の派遣労働者。その敗残者の中でさえ争いに負け、ゴミ捨て場の中の掃き溜めに掃き寄せられた「非リア」「陰キャ」。

 だからこそ、できることがあるのだと、目の前の男は言っている。

「やってやる。俺が底辺世界から、ココロキレイマンをなくしてやる」

 俺がこれからすることは、履歴書に書けるようなことではない。世間一般から、すごいこと、立派なことだと評価されることはない。

 しかし、俺がこれからやることは、圧倒的に正しく、何より楽しいことだ。まだ、ガイドラインを聞いたに過ぎない段階だが、この影沼という男に付いていけば、これからの俺の生活が最高に充実したものになるであろうことに、揺るぎない確信が生まれていた。

「自分のやるべきことがわかったのなら、さっさと後片付けして、明日から始まるココロキレイマンとの戦いに備え、家に帰ってゆっくり休もう。我々にとって幸いなことに、この産廃置き場は、違法に投棄された薬品が化学反応を起こし、いつ火災が発生してもおかしくない状況にある。よく、地元のワルどもがヤバい物を捨てに来るのに使われているようだから、身元不明の焼死体が二つ転がっていても、警察はそいつらの同類と判断して、真剣に調べたりはしないはずだ。顔もわからないほどまっ黒焦げにすれば、けして捕まることはない・・」

 もし捕まったとして、それが何だというのだろう。もともと俺は影沼がいなくとも、藤井と友麻を殺して、人生にケリをつけるつもりだったのだ。

 衝撃的な男が、俺の背中を押し、やりたかったことをやらせてくれた。

 塀の中にいるのと何ら変わりなかった暮らしが激変していく。

 影沼と、一緒なら――。

「キャアァンプ、ファイヤー!!グッバイ、ココロキレイマン!グッバイ、クソだった人生!」

 紅蓮の炎に焼かれるカローラを背に、俺は影沼を後ろに乗せた自転車で、山道を駆け下りていった。 


                             7


「あ~あ。友麻ちゃん辞めちゃったよぉ。ダメじゃないか青木っち~、LINEをブロックされてるのに、しつっこくメールを送ったり、電話かけたりして付き纏っちゃあ。しかも、友麻ちゃんの画像でオナニーして、出した精子を、友麻ちゃんのロッカーの取っ手に塗りたくったりしてたんだってぇ?そんなストーカーしてたら、そりゃ怖くて逃げだすさぁ」

 藤井と友麻を殺害した翌日、十分間の休憩時間に、影沼が事実無根の情報を、みんなに聞こえるような大きな声で並べ立てた。

 昼休憩になると、俺は遠慮がちに後をついてくる竹山を振り切って、影沼と二人で食堂に席を取り、目を見合わせてニヤリと笑った。
 
「これでよし。あれであのフロアの連中は、青木っちのことを、最低の、どうしようもない変態クソ野郎だと思っただろう。そんなヤツが、これからここで幸せを手に入れる。ココロキレイマンじゃない方が幸せになれると”証明”してみせるんだ。痛快じゃないか」

 影沼の言葉に頷いた。だが、正直まだ、影沼を信じ切れていない部分もあった。

 ココロキレイマンじゃない方が幸せであることを証明するために、まず、自分のココロが汚いことを、みんなに大々的にアピールする。理屈はわかるが、リスクはでかい。これで本当に幸せになれなければ、俺はただの変態ストーカー野郎として終わってしまう。

 しかし、やるしかない。まともなやり方じゃ何べんやってもうまくいかなかった俺が、唯一幸せになる道が、ココロキレイマンをぶっ倒すことなのだ。

「ココロが汚いとわかった青木っちの元には、これから、自分がココロがキレイな正しい人間であることを証明したいココロキレイマンたちが、群れをなして襲い掛かってくるだろう。青木っちに説教をしてくる彼らを、逆に”説得”するんだ。最初は、俺がお手本を見せるから、青木っちは黙って見ていてくれ」

 影沼の予言は、すぐさま的中した。俺と影沼の食事が終わったころ、昨日までの「ランチメイト」田辺が、眉間にしわを寄せながら、俺に苦言を呈しに来たのである。

「青木くんさぁ、十分休憩の時間、話聞いてたけどさ、職場恋愛はご法度でしょ。石田さんだって、そりゃ迷惑したと思うよ。君は何しにここに来てるんだよ。自分のやるべきことをよく考えろよ。そんな浮ついた気分で仕事してたんじゃ、いい製品なんか出せないだろ」

「おい青木っち。トイレに行こう」

 まだ言い足りなそうな田辺を置いて、俺は食器の載ったトレーを下げ、影沼の後についてトイレに入った。

「あれはココロキレイマンの一種、シゴトスウコウマンだ」

「シゴトスウコウマン?」

 放尿しながら、俺は耳慣れない単語に首をひねった。

「生きるために働くのではなく、自分は働くために生きているのだと主張する人々。職業に貴賎なしを建前に、時給なんぼの仕事を、あたかも、世間から仰ぎ見られるような仕事であるかのように語り、仕事へのモチベーションが低い人を見下して喜んでいる人種だ」

 シゴトスウコウマン。影沼が述べた田辺の人物評は、ピタリと当てはまっていた。

「シゴトスウコウマンのほとんどは口ばかりで、中身が伴っていない。たまに行動に移しても、それはほとんどの場合、自分を過度にアピールするために出た余計な動きで、むしろ上を困らせていることの方が多い」

 またしても、影沼の言う通りだった。

 今日、田辺が、俺と影沼が食事を終えたころにようやく食堂にやってきたのも、休み時間を潰して仕事をやっていたからである。それで田辺が社員に評価されているかといったらまったくの反対で、社員の目の届かない時間に勝手なことをされるので迷惑がられているだけなのだが、本人にはその自覚がまったくなく、あくまで自分の行いは、会社のためになっていると思い込んでいるようだった。

 仕事に誇りを持つのは尊いことである。しかし、非正規の単純労働の世界でそれをやっても、ほとんどの場合、自分が向上することには繋がらず、人を見下すことにしか使えない。

 シゴトスウコウマン。藤井や友麻のような奴らに傷つけられた俺に、塩を摺り込んできた連中。自分こそ、藤井や友麻のような奴らに馬鹿にされているくせに、敵意を勝ち組に向けるのではなく、同じ負け組の頭を抑え付けて満足しようとするくだらない奴ら。俺がずっと苛立ってきた連中。殺したいほどではないが、ボコボコにはしたかった連中。

「彼らには決まって、なにか切羽詰まった事情がある。あの人、趣味はなにか知ってる?」

「う~ん・・趣味っていえるのかわからないけど、パチンコの話はよくしてるね。勝ったときしか話さないから儲けてるみたいに聞こえるけど、それで旅行に行ったとか、キャバで豪遊したみたいな景気のいい話は聞かないから、結局は軍資金に消えて、トータルじゃ赤字になってるんだろうな」

「収入の少ない者ほど、なぜか遊興費の支出が多い。働いてもお金が貯まらず、まとまった休みも取れないから、正社員で働く意思はあるのに就職活動を行う余裕がない。仕方なく、いま自分のやっている仕事を、自分が本当に就きたい仕事と同等に崇高なものだと思い込み、周囲にもそう思わせようとしている。よくありがちなパターンだ。行くぞ」

 反撃の狼煙が上がった。トイレから出ると、俺は影沼と一緒に食堂へと戻り、田辺の隣の席に腰を下ろした。

「あ。青木くん。さっきの話の続きだけどさ。そもそも職場ってのは、戦場みたいなもんだろ。戦場に女は連れて行かないのと同じように、職場で女の尻を追いかけまわすのも、緊張感の緩むもとになるから、それは慎むべきだよ。だから・・」

 俺を見つけるや、田辺の舌がフルスロットルで回転し始めた。ココロキレイマンに支配された人間にとって、自分より劣った人間、何かやらかした人間は、一流ホテルのディナーにも勝る馳走なのである。

「四十三歳。職業、派遣社員。年収二百万円。趣味、パチンコ・スロット。結婚歴なし、彼女なし」

 影沼が述べた事実の羅列に、田辺が絶句した。

「なん、なん、なん・・・・」

 何も言い返せないでいる田辺を置いて、俺と影沼は席を立った。

 ぐうの音も出ない、事実の羅列。影沼の”説得”は、ただそれだけで終わった。

「今ので、いいのか?」

 正直、意外だった。影沼が、田辺の説教を一言一言論破し、こちらの自論をズバズバと展開していくのを想像していた俺には、影沼の対応は、物足りなさすら感じた。

 しかし、田辺に与えたダメージは、それこそ百万語を並べ立てるよりも甚大だった。そのことが、驚きだった。

「自分が彼らにやられてきたことを考えろ。人は自分が正しいと思っていることを頭ごなしに否定されると、かえって頑なになってしまう生き物だ。ムキになって言い返しても、水掛け論になるだけ。だから、ただ事実を伝えるだけでいい。人を嫉まず、憎まず、謙虚で愚痴をこぼさない。それが正しいと思い、人にもそれを押し付けようとしているようですが、それで何か得られましたか?バカでなければ考えるだろう。貧乏で不細工で無能な者が、己の人格なんかを誇りにし、他人に偉そうにしても、得るものは虚しさだけではないだろうか。”清貧”なんか目指すのはやめて、もっと本音を出して、自由に、気楽に生きた方がいいんじゃないか・・と、まぁ、こんな具合さ」

 影沼の言葉を聞いて、俺は自分を深く恥じ入った。

 ただ、うっとおしい説教オヤジをギタギタにしたかっただけの俺と違い、影沼は、本気でココロキレイマンを、底辺世界から追い出したいと思っている。ただの私怨ではなく、使命感によって動いている。

 ベストな手段とは、いつだってシンプルである。無駄を省き、洗練され研ぎ澄まされた言葉ほど、効果は絶大となる。きっと影沼は、これまで幾度もの挫折を経て、「事実の羅列」という結論に至ったのだろう。俺が無駄な人生を過ごしている間、影沼はずっと、正義のための活動に邁進してきたのだ。

 影沼の、殺人すら正当化できるほどの強い使命感は、一体どこから来るのだろうか。影沼は、なぜそれほどまでにココロキレイマンを憎むのか。今度、酒でも飲んだときに聞こうと思った。

「絶対に言ってはいけないのが、自分はそうしている。お前もそうしろ。それを言った時点で、こいつは他人を思っているのではなく、ただ自分が気持ちよくなりたいだけだ、と、相手に思われてしまう。”説得”と、ただの説教との間には、天地の差があると覚えておけ」

 影沼に言われたことを、俺はしっかりと胸に刻んだ。

 底辺世界にありがちな、師匠の押し売りというパターンではない。生まれて初めて、俺自身が必要を感じ、誰かに教えを乞いたいと思った。学生時代にも、こんなことはなかった。

 俺も影沼のような、私怨ではなく使命感に突き動かされる、正義の戦士になりたい。クソだった人生とオサラバするために、俺は影沼の弟子になろうと決めた。


                            8

 

「え~、藤井くん、辞めちゃったのぉ?」

「なんか、会社に連絡もなく、いなくなっちゃったんだって」

「ショック~。いるだけで目の保養になったのに・・・」

「あの、仲の良かった同じ派遣の女の子と、別のところに行ったのかしら・・・」

 藤井が工場から去って数日が経つと、社員のご婦人方が、藤井のことをひそひそと噂し合うようになった。それと同時に、俺と影沼のアンテナに引っ掛かる「ココロキレイマン」の数も増えていった。

 本物の輝きが消え、紛い物が雨後の筍のように姿を現す――影沼の予言が、見事に的中したのである。

「青木くん、君はとんでもないことをしてくれたな。藤井くんと石田さんは、この職場で出会った大切な仲間だろう?たとえ君が侮辱を受けたのだとしても、カップルが成立したのなら、その幸せを祈るのが、男として正しい道じゃないか。それなのに、君は邪な嫉妬を抱き、彼らに嫌がらせをして、彼らを追い出した。けして許されないことだぞ」

 ある日の勤務終了後、駐輪場で俺に絡んできたのは、藤井や友麻と親しくし、彼らとともに食事に出かけることもあった、三十八歳の男性派遣社員、矢島である。

 矢島は「リア充」グループの一人ではあったが、俺が彼を羨ましいと思ったことはなかった。それは矢島が貧乏で無能、そして、でかい鼻にでかい耳、糸のように細い目、ぽっこりと突き出たお腹の、俺と同じ不細工男だからである。

 仮に女を持っていたとしても、同じ不細工であれば嫉妬はしない。単純な話で、俺にもいつかは回ってくると思えるからだ。俺が許せないのは、あくまで、もっといい女をいくらでも抱けるイケメンであるくせに、俺の獲物であるブスとババアに手を出してくる節操なしである。

 貧乏、不細工、無能。これに一点でも該当しない者は、救済の対象とはならない。同じ非正規の派遣労働者でも、彼らは底辺ではない。彼らに、ココロキレイマンとなることを強制された場合は、全力で”抵抗”し、緊急性が高い場合には、殺害することも厭わない――。

「これは、ココロキレイマンの一種、キズナダイジマンだ。知り合ってから一年も経ってないような職場の人間関係を、あたかも、長年連れ添った戦友かのように持ち上げ、それをあまり重視していない人を見下してくる人種だ。青木っち、俺がこの前言ったように、彼に事実を伝えてみろ」

 矢島が舌鋒鋭く俺を糾弾する前で、影沼が俺に耳打ちした。
 
 キズナダイジマン。藤井や友麻のような奴らに傷つけられた俺に、塩を擦り込んできた連中。自分こそ、藤井や友麻のような奴らに馬鹿にされているくせに、敵意を勝ち組に向けるのではなく、同じ負け組の頭を抑え付けて満足しようとするくだらない奴ら。俺がずっと苛立ってきた連中。殺したいほどではないが、ボコボコにはしたかった連中。

「派遣社員。年収二百万。三十八歳。結婚歴なし、彼女なし」

「な?何?何・・なんだよっ。派遣が仲間との絆を大切にすることが、そんなにおかしいか?そ、そもそも、君は石田さんをデートに誘う前に、脈があると思ったのか?興味のない男からデートに誘われて、石田さんも怖かったんじゃないのか。そういうのは和を乱すもとになるんだから、もっと慎重にしろよ」

 絶句するだけだった田辺と違い、矢島は懸命に言い返してきたが、その声音は震えていた。

 キズナダイジマン。影沼の言っていることは、矢島の人物像とピッタリ一致しているが、付け加えるのを忘れてはならないのは、彼らはさも絆が大事かのように言っているが、彼らが本当に周囲の人間から慕われているかといったら、それは大間違いであるということだ。むしろ、説教くさく、何かと余計な世話を焼きたがる彼らは、自分が大事だと思っている連中から、反対にウザがられている場合が多い。

 どれだけ絆が大事と口にしていても、それは周りから慕われることではなく、絆を重視していない人間を見下す目的にしか使えない。おそらく矢島の動揺は、自分が藤井や友麻、あるいは満智子から、本当は厄介者扱いされていた自覚から来るものであろう。そして俺は、矢島が内心、後ろめたく思っていることがもう一つあるのを知っている。

「職場の人間関係、仲間同士の和が大切であることに異論はない。しかし、それをチャレンジしない言い訳にしてどうする。あんたも藤井が来る前まで、ずっと友麻のことを狙っていたんだろ。なんであんた、友麻に一度もアタックしなかったんだよ」

 痛いところを突かれた矢島が、狼狽し目線を泳がせた。

 矢島が友麻のことが好きだったのを、俺がなぜ知っているかといえば、それは本人が直接、俺に言ってきたからである。

 藤井と友麻が親密な仲となったのがわかってから、矢島は、それまで、特に交流の無かった俺をわざわざファミレスに呼び出し、「俺も君と同じように友麻ちゃんが好きだった、でもこうなったからには、好きになった女の幸せを素直に祝福し、二人の交際を暖かく見守ろうじゃないか」などといったことを、俺に熱い眼差しを向けながら語ってきた。

 矢島がまんこにむしゃぶりつきたい友麻。友麻がちんぽをしゃぶりたくてやまない藤井。その二人と、敢えて仲良くする。

 矢島はそれにより、二人に対し、嫉妬という邪な感情を抱かず、素直に仲間の幸せを祝福できるキレイなココロを持った己を俺に見せつけ、得意げになりたかったのだろう。そして、それができない俺をいつか、こうして糾弾するつもりだったのだ。

「そ、そりゃお前、俺じゃ友麻ちゃんを、幸せにはできねえと思ったからだろうが・・。好きでもない相手から告白されたり、二人きりで食事になんか誘われたら、むこうは迷惑に思うだけだろ。相手が自分に興味がないのを察したら、黙って引くのが、大人の男ってもんだろうよ・・・」

 正社員ならともかく、失うものが何もない非正規の派遣社員が、我慢だとか、引くとかいう判断を誇りにしている。まことに滑稽であり、無益な話である。

「人の幸せを祈ってる間に、あんたは何人の女とヤッたんだって話だよ。自分のエゴを押し込めたって、何にも守れてないじゃねえか。あんたが俺に勝っているのは、ただ人に迷惑をかけていない、それだけのことだ。さっきも言ってやったろうが。 派遣社員。年収二百万。三十八歳。結婚歴なし、彼女なし。それが現実なんだよ」

「なん、なん、なん・・・・」

「大体、その脈がないってのは、なんでわかったんだ?本人に直接聞いたのか?仲間の和とか、人間関係が大事とかいえば聞こえはいいが、結局あんたは、挑戦してコケた俺をあざ笑うことで、自分が臆病で、まったく動かないでいることに意味を持たせようとしているだけじゃないのか?」

 ただ、事実を伝えるだけでいい。わかってはいるつもりだったが、抑えられなかった。俺が、この職場で唯一価値があると思っていたもの――友麻が絡んでいると、ついムキになってしまう。

「青木っち。その辺にしておこう」

 影沼に肩をつかまれ、俺はまだ何か言いたげな矢島を置いて、自転車に乗った。

「悲しいことだ。彼らは、負け組であることそれ自体を、恥ずかしいことだと思っている。自分は負け組ではない、それを証明する材料をかき集めることだけに必死になっている。自分はけして負けていないと思い込んでいれば、底辺から這い上がろうとする気が起こらないのも当然だ」

 帰りに寄った公園で、コンビニで買った焼き鳥を頬張りながら、影沼が言った。影沼の言葉に、俺は二度、三度と頷いた。

 なぜ、無理をしてまで、自分を満ち足りた人間だと思い込もうとするのだろう。

 たしかに食うには困らない。しかし、ガマの油を搾るように、生きぬよう死なぬよう、真綿でじわじわと首を絞められる生き地獄を味わっているではないか。仕事は将来の蓄積にならない単純労働で、女とセックスすることもできていないではないか。

 辛い、苦しい。

 寂しい。

 タスケテ。

 ちょっとでいいから、僕に分けて。

 キレイゴトで誤魔化さないで。

 具体的なノウハウを教えて。

 なぜそれを、大声で叫ぼうとしないのか?自分がちっとも幸せじゃないのに、他人の幸せを祈っているなど、嘘を吐いて自分を慰めようとする?弱音を吐くのを恥だと思い込み、無駄な男らしさなどを見せて、痩せ我慢をしようとする?

 自分の中に巣食うココロキレイマンを一掃しなければ、底辺世界に生きる貧乏、不細工、無能は、底辺から抜け出す一歩を踏み出すことすらできない。そのことを、ココロキレイマンに支配された他人を客観的に眺めることで、初めて理解した。

「・・・少し前の俺も、同じだった。なにもかもが俺より劣った竹山を傍に置いて、ヤツに偉そうにすることで、自分の存在意義を確認していた」

「それでも、青木っちはまだ、友麻にアタックして、現状を打破しようとしたじゃないか。たまたま、偉大なチャレンジャーを侮辱し、チャレンジすること自体が悪、というような酷い対応をする女に当たったのが不運だっただけだ。そいつに対して、ケジメはつけた。次に向かって、気持ちを切り替えられただろう」

 そうだった。俺はあのままでは、気持ちの切り替えもできない状態だった。

 キッパリ断ることと、相手を不必要に傷つけることは、まったく違う。先に因果を含めてきたのは、あなたとお付き合いすることはできません、それだけのことを伝える以外の、余計なことをしてきたあの女だった。

 復讐――マイナスをゼロにする行為は済んだ。再びチャレンジする態勢は整った。

「負けるのが恥なんじゃない。負けたままでいるのが恥なんだ。いずれ勝つためには、まず、自分が負け組であることを自覚しなければどうしようもないんだ」

 自分の立場を、客観的に理解する。すると、自分がけして、何も抗う術を持たない社会的な弱者などではないことが見えてくる。

 底辺世界にいる負け組。失うものは何もない。だからこそ、何も恐れず前に進める。考えてみれば、これほどの強みはないではないか。

 派遣社員、年収二百万、彼女なし。それは情けないのではなく、この世で最強なのだと理解する。そこから、一歩が始まる。

「俺はっ、女が欲しいっ。何よりもまず、女が欲しい。女とヤレなければ、正社員になるどころじゃねぇっ。チャランポランなのに彼女がいるヤツはいくらでもいるのに、俺だけが、彼女を作るためにちゃんとしなきゃならねえなんて、納得できねえっ。俺にも彼女はいていい。俺も、女とヤレていいっ」

 迸るような、思いの発露だった。

 頑張る前に、まず、誰かに愛され、必要とされたい。誰かに言えば、彼女が欲しいのならちゃんとしろ、とか言われると思って飲み込んできた言葉が、影沼の前だとすんなり言えた。

「おう、その意気だ。んで、青木っちは、誰とヤリたいんだ?」

「満智子だっ。俺は、満智子とやりてぇっ。満智子のでっけえおっぱいを、モミまくりてぇっ。満智子のたるんだ腹を、正常位で突きまくって、揺らしまくりてぇっ。満智子のくせぇまんこを舐め回して、俺のかてぇもんをぶち込みてぇっ」

 渡会満智子。友麻が眼前から消失したことで、俺の好意は、友麻と親しくしていた一回り年上の女へと、一直線に向かっていた。

 満智子はおばさんである。童女のような天真爛漫な雰囲気はあるものの、肌にはシミ・ソバカス、小じわが浮かび、全身に肉の乗った、どこにでもいる普通のおばさんである。作業中には関節の痛みに悩み、苦しげに腰を抑えている姿を見せ、近づけば、甘酸っぱいフェロモンの香りではなく、ハッカのような加齢臭の漂うおばさんである。

 だからこそ、俺は満智子が好きになった。

 若く美しい女を追い求めるのなら、もっと魅力的な女は、満智子よりもすぐ近くにいる。


                            9


「へぇ。美都ちゃんは、この会社のサッカー部出身だったんだぁ。どうりで、なんだか動きにキレがあると思ったよ」

「キレなんてないですよ。もう引退して三年も経つし、二十代も後半になっちゃったし」

 川辺美都――新しくラインリーダーになった女は、仕事だけでなく、プライベートの話にも積極的に応じてくれた。もっとも、話しかけるのはほとんど、影沼一人なのだが・・。

「二十六なんてまだ若いよ、ピチピチじゃん。なぁ、青木っち」

「あ?ああ・・・・」

 実力で大企業のクラブチームに入り、大学新卒と同期で社員になって、順調にキャリアを重ねている女。川辺美都の存在は俺にとってあまりに眩しく、直視すらかなわない。俺と同じ貧乏、不細工、無能であるにも関わらず、川辺美都に、まるで友達のような感覚で話しかけられる影沼は、いったいどういう神経をしているのかと思う。

「えーと。そうそう、これから、このラインの作業環境を色々改善していこうと思うんで、みんなも、積極的に案をあげて下さいねっ」

 美都が顔を横に向けながら笑顔を見せると、胸を撃ち抜かれたようになる。友麻に惚れたときとは比べものにならないほどピュアで、甘く切ないものが横溢し、全身の細胞が瑞々しくなっていく。

 俺が女に飢えているのを差し引いても、美都は可愛かった。だからこそ、俺は美都には手を出そうと思わない。

 みすぼらしいジャッカルは、逞しい四肢でサバンナをかけるシマウマには見向きもしない。後ろ足で蹴り殺されるだけなのがわかっているからだ。ジャッカルが狙いを定めるのは、非力な自分にも仕留められる、深い草藪に潜む野兎なのである。

「いいのか青木っち。美都ちゃんじゃなくて、渡会さんでいいのか?」

「ああ。高嶺の花に手を出したってしょうがない」

「わかった。じゃ、これから渡会さんに狙いを絞って、作戦を練っていこう」

 自分の商品価値を客観的に把握できる年齢になったら、「好き」と「付き合いたい」は、分けなければならない。高望みをしていたら、俺のちんぽは、ただ神が欲求不満のために俺に与えたもので終わってしまうのだ。

 俺がちんぽをぶち込むのは、ブスでババアの満智子。若く美しい川辺美都とは、ただ話せるだけで、幸せと思わなくてはならない。

「あ、あのさ・・・。昨日直してもらった部分なんだけど・・あそこは、変える意味ないんじゃないかな。ただ、やりにくくなっただけで・・・」

 影沼のように、プライベートの話をするところまでもいかない。ただ、ライン作業の改善の話ができるだけで、幸せと思わなければならない。

「ごめんなさい。いいかと思ったんですけど、やっぱり余計でしたよね・・・」

「う、うん。まぁ、全然できないってわけじゃないんだけど・・」

「すみません。明日までに直しておきますんで、今日だけ我慢してください。それでいいですか・・?」

「う、うん。いいよ」

 俺が、しょんぼりした様子の川辺美都とやり取りするのを、隣の工程の影沼は、終始渋い目で見ていた。

「なぁ、青木っち、さっきのはないだろ」

 昼休憩になると、さっそく影沼は、俺の先ほどの言動を咎めてきた。普通に、仕事の話をしていただけなのに、なぜ影沼が険しい顔をしているのかがわからず、俺は戸惑った。

「青木っち、お前、美都ちゃんのこと可愛いと思うか?」

「あ、ああ、そりゃ・・」

「美都ちゃんに気に入られたいと思うか?」

「まあ、そりゃ・・」

 男としてではない。頼りになる部下として、俺は美都に気に入られたいと思っている。

「だったら、その、否定から入っていく癖をどうにかしろよ」

「いや、でも。川辺さん、俺たちにも、改善の案を、積極的に出して欲しいって・・・」

「だから、アラを指摘するより先に、良くなったところを褒めてやれよ。美都ちゃんが改善してくれて、やりやすくなったところもあったろ。そういうのを、まず先に言えって」

「あ・・・」

 目から鱗が落ちる思いだった。

 自分自身が、褒められたことがなかった。好きに発言できるのは――俺の言うことに反応してくれるのは、便所の落書きのような罵詈雑言が飛び交う、ネットの匿名掲示板だけだった。

 相手を褒められるときには敢えて何も言わず、否定するときだけ口を開く。嫌われる人間の癖が、無意識のうちに身に付いていた。そんなことも、他人から指摘されなければわからなかった。指摘してくれる他人が――俺の成長を心から願ってくれる他人が、今までいなかった。

「そういうのは、デートのときにも出るからな。渡会さんと話すときも、気を付けるんだぞ」

「あ、ああ。気を付ける」

 俺の成長を心から願ってくれる他人が、初めて現れた。今、現在を幸せだと思い込ませようとするのではなく、俺を未来の幸せへと導いてくれる男が現れた。それで初めて、自分を変えようと思った。

「いいか青木っち。女なんてのはな、褒めてさえいりゃあ、まず間違いはないんだ」

「ああ」

 知らなかった。そんな簡単なこともわからなかったし、今までできていなかった。

「女は、たとえ一パーセントでもセックスの可能性があるのなら、全力で敬え。褒めて、おだてて、奉れ。が・・・・それでもヤラせてくれない女には、もう下手には出るな。てめえのくっせえマンコに大層な価値があるなどと思い込み、かつ、こちらから金を騙し取ったり、プライドを傷つけたり、名誉を貶めるようなふざけた真似をしてくる女がいたら、犯して殺せ」

「ああ」

「女の選ぶ権利を否定するのなら、こちらも女は選ぶな。ブスとババアにも勃起しろ。ブスとババアの好意を受け入れ、ブスとババアを美人と同じように口説き、ブスとババアを、美人と同じように大事にしろ」

「その点に関しちゃ、まったく問題ない。ブスとババアこそが、俺の欲情の対象だ」

 自分に言い聞かせるように、口にした。

「おう。四十三歳の満智子ちゃんの熟熟おまんこを、青木っちのちんぽの先についてる、ピンク色したモンスタータートルでかきまわしてやれ」

 影沼が、親指を人差し指と中指の間に挟んで言った。

 師匠の教えで、目が覚めた。

 影沼の指摘を受けて、俺が今まで、いかに女に不快な思いをさせる言動を取ってきたかを、思い知らされた。俺にも非があったことがわかって、顔や頭の回転など、持って生まれたどうしようもないものを必要以上に卑下する気持ちは薄れていった。

 これまで、フラれた女は一人ではなかった。その中には、友麻のように、初めから俺のいいところなど探す気もなかったような女だけではなく、少なくともアピールのチャンスをくれた女もいた。それを活かせなかった俺が悪かったと、素直に思えた。地球上三十五億人、すべての女を憎む気持ちは消えていった。

 満智子が好きになり、もう抑えきれなくなった。

 その日の勤務が終了し、ロッカーへと向かって廊下を歩いている途中、俺は偶然を装って満智子に近づき、満智子に話しかけた。

「お、お疲れ様です、渡会さん」

「あら。お疲れ様、青木くん」

 満智子とまともに会話をするのはこれが初めてといってよかったが、意外に話は弾み、ロッカーにたどり着くまでの五分間、会話が途切れることはなかった。

「ところであの、失礼かもしれませんが、渡会さんって、結婚してるんですか?」

「私、独身よ」

「え!!そうだったんだ。渡会さんみたいな素敵な人が独身だったなんて、驚きだぁ」

 すでに知りえていた情報。しかし、大げさに驚いてみせた。

「それじゃ、今度、飲みに行きましょうよ。二人で」

 影沼にアドバイスされた通り、満智子が独身だとわかったタイミングで、俺はすぐさま彼女を飲みへと誘った。

「え~。私みたいなおばさんと飲んだって、楽しくないよ」

「そんなことない。渡会さん素敵だし、十分可愛らしいですよ。渡会さんと飲めたら、俺、嬉しいですよ」

「そんなこと言って~。まさか、エッチなこと考えてる?青木くん、最近変な噂たってるよ」

 口調は俺を窘めるようだったが、満智子はけして嫌そうではなかった。すべての女が俺に敵意を向けているかのように思い込んでいたこれまでの俺ならここで怯んでいたかもしれないが、今の俺は、影沼のお陰で、極度の女性不信を脱している。

「お願いします!俺、渡会さんといつか、二人きりで話したいと思ってた。ずっと思ってた」

 女がすぐに承諾しないのは、必ずしも拒絶のサインではない。ここは、食い下がってもいい場面。ひたすらに押しまくれば、首を縦に振ることもある。

 そして――。

「そ、それじゃ、俺と満智子さんの幸せを願って、かんぱ~い」

「ふふ、何それ。でも、悪くないかも」

 週末、俺と満智子は、近所の居酒屋で杯を突き合わせていた。

 二十八年の人生、女とここまで持ち込めたことは、初めてではない。勝負はここから。

「ここだけの話・・・私、ずっと友麻ちゃんのこと、嫌いだった。何よ。ちょっと若いからって、私のこと下に見て・・。私にもいつか素敵な人が現れるとか、心にもないこと言っちゃって・・。結局、私のこと、自分を引き立てるための道具としか思ってなかったんだから」

 程よくアルコールが入ってくると、満智子は当たり障りのない話題から踏み込み、自分の抱えている気持ちを語り始めた。

 満智子が友麻のことを嫌っていたことは、初めて知った。それは大変結構なことだが、よく聞いてみれば、満智子が友麻を嫌っていることに、大した理由はないようである。

 これまでの俺であれば、「そりゃ被害妄想じゃないですか」などと、デリカシーの欠片もないことを言って、せっかくのチャンスを棒に振ってしまうところだが、影沼の教えを受けた今の俺は一味違う。

「それは酷い話だな。アイツがそんな女だったとは知らず好意を抱いた俺は、大馬鹿だった」

 自分のことを語る女が求めているのは、正論ではなく共感である。

 真実などはどうでもいい。大切なのは、満智子が俺に好意を持ってくれるかどうか。最終的に、俺が満智子を抱けるかどうか、ただそれだけである。

「あの。渡会さん、俺、前から渡会さんのこと、ずっと気になってて・・。渡会さん、てっきり既婚者だと思ってたから、先に石田の方にいったけど、本当は、渡会さんの方が好きだったんだ」

「え~。本当かしら」

「だからその・・渡会さんと、お付き合いできたらなって、思ってるんですけど・・」

「えぇ~。私なんか、おばさんよ。青木くんより一回りも上なのに、私でいいの?」

「いい。俺、渡会さんがいい。渡会さんは最高に可愛い。美しい。俺、渡会さんが、大好きなんです」

 遠くから眺めているときは、まるで童女のような雰囲気があると思った。しかし、一日の終わりで化粧が剥げかけ、酒に酔い、男に口説かれて照れているときの満智子の顔は、やはりアラフォーのおばさんである。

 だから俺は、満智子の肉体を求める。ブスとババアが、俺をビンビンにさせる。

「そんなに言ってくれるなら・・・最後の幸せのチャンス、信じてみようかな」

 初めてのデートでいきなり告白して、満智子からOKの返事を貰えた。二十八年、欲しくて欲しくてできなかった彼女が、呆気なく出来た。

 酒に酔い、トロンと瞳を潤ませている満智子の手を握りしめ、近所のラブホテルへと導いた。部屋へとたどり着くや、俺は服を床に脱ぎ去り、満智子をあっという間に全裸に剥いた。

 満智子の、重力に負けてたるんと落ちた乳房を摘まんだ俺の怒張はビクンと脈打ち、先端からお掃除液を垂れ流す。

「やっ青木くん。そんなとこ、汚いよ」

「はふっもぐっむぐっ。満智子さんに、汚いところなんかないよ」

 カッテージチーズのようなオリモノと、ティッシュのカスがビトビトこびりついた、納豆くさいまんこを舐めながら、心にもないことを口にした。汚い、くさぁい満智子のまんこ。でも、舐めまわす。

「渡会さんの身体、柔らかい・・ずっと、包まれていたい」

 ズプズプに柔らかい、たるんだ脂肪まみれの肉体がたまらない。

 満智子の中に、出したかった。美人ではないババアの中に、俺の不細工遺伝子を、ぶちまけたかった。

 高齢の母体に、過酷な出産を強いる。若い女相手ではけして味わえない背徳感。

 身体のいたるところにガタがきた高齢の満智子を妊娠させ、俺の子を産み落とさせるということに、俺は死んだ友麻や川辺美都のような、健康な若い女を妊娠させ、出産させる以上の興奮を覚える。

「あっ。ァアアあああっ」

 生のまま挿入し、四十三歳を吼えさせた。獣のように抽送し、緩んだ肉体を揺らしまくった。

「あっ。おぉん、いぃん、青木くぅん、青木くぅん」

「いっ、いくぅ、いくぞぉっ、満智子っ」

 電気の刺激が、ズクッと襲ってきた。

 白濁の喜びが、四十三歳の赤ちゃん部屋めがけて、ドヴァッと放たれた。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

いつも楽しく読ませてもらってます。

影沼のキャラクターが面白くて読んでいて飽きさせてくれません。今時のお堅い正義感のヒーローと違って良くも悪くも純粋で、こんな奴現実にいたら面白いだろうなあと思いました。

さあ、青木と満智子の恋路はどうなるのか(笑)

No title

青木は過去に森尾と出会った経験を経て影沼と出会ったことにより影沼の言動は間違っていないと確信したのでしょうね。
ココロキレイマンであることは何の得にもならないということに気付けたのは大きいですね。
森尾はキズナダイジマンとシゴトスウコウマンの複合型ですね。
ココロキレイマンは相手を洗脳しようとすることが厄介ですよね。
影沼が青木のことをお前とか呼び捨てにしたりせず青木っちという呼び名が高圧的ではなくフレンドリーでいいですね。
影沼の教授により満智子と結ばれた青木は今までの自分から変われたことに感謝しているでしょうね。
影沼は人生の達人なのでこういう人と出会えば救われる人はいるでしょうね。
底辺世界からココロキレイマンを駆逐するという正義の戦いが始まりましたね。

No title

GGI さん

 今回は物語の骨子となる部分で書き上げるのに大変苦労しました。まだ、完成とは思っていません。この部分にはまだまだ手直しの余地はあるでしょうね。

 正義というのは一貫してこそだと思っています。資本主義社会に生きる人間にとって、ポルポトや毛沢東のやったことは悪ですが、そこにブレがなければ正義と主張できる。影沼の正義をブレずに書いていきたいです。

No title

seasky さん

 このサイトを始めた当初から「説教、キレイゴト」についてのアンチテーゼをずっと書き続けてきましたが、その総決算といえるぐらいの作品にしていきたいと思っています。

 ココロキレイマンはウザいですが、森尾くらい凄まじいと逆に笑ってネタにできますね。このサイトに現れた説教厨のような中途半端なカスが一番ムカつくかもしれません。

 「っち」呼びは今の子はやってるのかわかりませんが、奇跡とよべるくらいの呼び方だと思いますね。たまごっち。ポケモンみたいに海外市場の開拓に成功していたらまだ続いてたんですかね。

 人生の達人と呼ばれてみたいですね。

 

底辺労働の世界で迷惑な奴は仕事の出来ないトロイ奴ではなくココロキレイマンですね。
影沼は殺人まで正当化するのはともかく女の扱いにも慣れていて上から目線で物事を命令するのではなく、まぁまぁいい奴みたいなので青木の師匠にはちょうどいい人物かもしれませんね。
満智子とできたのも影沼のアドバイスがあってのことですし、これから青木にも多少の幸せがおとずれそうですね。
影沼の女をおだてる話術があればいくらブサイクでも美都を落とせるかもしれませんね。
次は思い切って美都に挑戦するのもいいかもしれませんね。

第2話も面白かったです。景沼の主張はいちいち尤もで魅力的ですらあるのですが、いざ自分がそうなれるかと考えたらやはり躊躇してしまうだろうなと思いました。それは人から嫌われるのを恐れているのかも知れませんし、嫌われた後のいざこざを解決する力、所謂腕力が自分に備わっていないということもあるでしょう。青木がこれからどんな風に変わっていくかも楽しみです。

No title

まっちゃん さん

 どんな立場だろうと人に威張りたいというのはわかるんですが負け組が勝ち組と同じものを誇りにしようとしたんじゃどうしようもないですからね。負け組のくせに自分の人格なんかを誇りにしているバカはとことんまで見下していいでしょう。

 自分は負け組であることを頑なに認めたがらないから、いつか勝つためにコツコツ努力したりもしないし、嫌われるの覚悟で面白いことやったりすることもできない。結果、いつまでも負け組で、人に対し、つまらない説教しかできなくなってしまう。ほんと悲しい人生だと思います。

 女はとりあえず褒めておけば間違いないというのは私自身本当にそう思いますね。神山みたいにこっちの出鼻を挫いてくるクソだとどうしようもありませんが・・。

No title

ばかがいこつ さん

 ココロキレイマンの信奉者とココロキレイマンを嫌う人間、目立つのは両極端なタイプですが、ほとんどの人は両方のバランスを取りながら生きていると思います。

 大事なのは他人に自分の考えを押し付けないことですが、まあ言い方にもよりますよね。どんな人間でも否定から入られれば耳を傾ける気にはなりませんし、上から目線も最悪です。

 一から九までは相手を褒めて、最後の十でチクリと刺すくらいのやり方が、本当に人を育てられるやり方でしょうね。
プロフィール

津島 博行

Author:津島 博行
1987年4月3日生 男性
相互リンク歓迎します。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
最新コメント
最新記事
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR