犯罪者名鑑 宅間守 4


たくまあ


 高校


 16歳になった宅間守少年は、兵庫県の尼崎工業高校に入学しました。あのダウンタウンの松本と同学年だったそうです。取材があったのか知りませんが、宅間の時代の高校は一学年300人以上は普通ですから、松本氏に宅間との面識はなかったでしょうし、聞かれても困るという話ではあったでしょう。

 184cmの堂々たる体躯を持つ宅間は、部活動に野球部を選びました。恐らく、プロ野球選手になって高給取りになる夢を抱いていたのでしょうが、高校野球でレギュラーをとるような選手は、遅くとも中学に入るころには野球を始めているもので、よほどの天才でもない限りは、ずぶの素人から三年間で経験者に追いつけるものではありません。

 中年になってからも、突然「勉強に適した頭になってきた」などと思い込んで、50万もの金を父親に出させて難関の司法書士の学校に通い始め、案の定数ヶ月で挫折しましたが、どうも宅間にはこのころから、まったく根拠のない「希望的観測」に縋って行動を起こす癖があったようです。突拍子もない夢を描いたものの、現実を思い知らされた守少年は、わずか一週間で野球部を退部しました。

 その後は陸上部に入り直し、学校生活は安定してきたかのように見えましたが、やはり一年生のうちから、すぐに非行が目立つようになってきてしまいます。当時の同級生の証言によれば、 

 ・先輩連中3~4人に追い立てられて、「助けてくれ!」と叫んでいた。

 ・掃除用具入れに小便をしたり、突拍子もないことをいきなりやり出すヤツだった。

 ・誰も友達がおらず、孤立したヤツで、一匹狼のようだった。人に合わせることなんかまったくなく、協調性のかけらもなかった。

 だそうで、中学の頃からまったく成長がなかったことがうかがえます(最後だけちょっとカッコイイと思いますが)。

 初めてレイプ行為をしたのは、高校二年の頃のことでした。あるとき、電話で中学校の同級生を呼び出した宅間は、自慢の単車に彼女を乗せて、海へと向かいました。突然単車を下りた宅間は、彼女の口に布を詰めて、184cmの巨体で圧し掛かったのです。女生徒はなすがままにされ、大事な貞操を失ってしまいました。


たくまあああ



 反省文


 宅間も一向に改善しない自分の性向を自分なりに憂いており、尼崎工業高校時代、長文の「反省文」をしたためていました。長文なので一部のみ抜粋して紹介します。

 
―――パイロットの希望をたくして、ちょっと勉強しだした・・・・だが、勉強どころか、他人と喧嘩をしたり、いろいろと悪いことをやっていた・・・・頑張ろうと思っていたのに、なぜ悪いことをしてしまうのか、自分でも不思議だった。人より大きい希望を描くが、その割には、努力が足りない。その性格が、今まで尾を引くことになったのです。

―――自衛隊に行くことを考え出したのは、自衛隊の試験は内申点一切関係なしの一発勝負だからです。そして尼崎工業高校に希望をたくしてちょっと勉強した・・・合格してしまった・・・入学できたときは、とてもうれしかったです。

―――今思えば、自分の都合しか考えず、他人の都合など一切考えないで行動してきた自分は、最低の人間だったと思います。これからは、もっと他人を思いやれる人間になろうと思います。

 全文を紹介できないのが惜しいのですが、話が唐突に部落差別のことに飛んだりするものの、全体として宅間の作文は高校生という年齢の割にはよく書けており、言葉遣いも割とちゃんとしていて、知能程度はけして低くなかったことが窺えます。自己分析も、この年齢にしてはしっかりできており、進路のことも、自分なりに考えていると思います。

 やはり本人の言うように、「自制心」と「地道さ」という部分がネックだと思うのですが、所属していた陸上部の活動でそれが育まれることはなく、二年生になるころには学校も休みがちになり、最後は退学してしまいました。 

 驚くべきことには、宅間は尼崎工業高校中退後、なんと、自らが強姦した同級生の通っている定時制高校に編入したのだそうです。始業式のとき、強姦した女生徒を見て、ニヤ~ッと笑ったという宅間は、その後あまり学校に通うこともなく、その定時制高校もすぐに中退してしまいました。

 ただの嫌がらせのつもりだったのでしょうか?だとしたら、なんとも手の込んだことですが、宅間ならただレイプ被害者に嫌がらせするために、わざわざ同じ高校に編入するとかもやりかねないと思えるのが、怖いところです。


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 自衛隊


 定時制高校を中退した宅間は、その年のうちに、念願だった航空自衛隊に入隊しました。この時期の宅間については、守秘義務の観点からかあまり伝わっていないのですが、どうやら戦闘機の整備工として勤務に当たっていたようです。

 自衛隊のパイロットに対する宅間の想いはとにかく本物で、小学校高学年のころ、友達のお兄さんがパイロットをやっていると聞くと、その友達の家に「全日空の者やけど、お兄さんはどういう進路を歩まれたのですか?」などと電話をかけたりもしていました。身分を偽る必要性はまったくないとはいえ、パイロットへの純粋な思いは伝わります。
 
 おそらく入隊した当時の宅間は、自衛隊にいれば、いつかは念願のパイロットになれるのではないかという、得意の「希望的観測」を抱いていたと思われますが、パイロットになるには厳しい適性検査があり、勉強もしなければならず、自衛隊で働いているだけでなれるはずもありません。憧れのパイロットが大手を振って基地の中を歩いているのを指を咥えて眺めながら、けして華やかとはいえない整備の仕事を黙々とする毎日は、宅間にとって、ある意味一般の仕事以上にフラストレーションの溜まるものだったのではないでしょうか。

 そんなこともあって、宅間は入隊から一年と数ヶ月後、家出少女を下宿に泊めたかどで訓戒処分を受けたのをきっかけに、自衛隊に依願退職を申し出ました。憧れのパイロットにもっとも近づけた自衛隊での生活は、後味の悪い挫折の記憶として残ってしまうことになったのです。


たくまあああああああ

 
 運送業


 自衛隊を退官した宅間は、いくつかの引っ越しや運送の会社で働きました。期間はいずれも数ヶ月から半年程度だったということですが、勤務態度は真面目で、同僚とトラブルを起こすこともまったくなかったそうです。

 そうして一年ほどしたころに、宅間は自宅の庭にプレハブの小屋を建てて、自営の運送業者を開業しました。運送や引っ越しの会社で働いていたのは、自営のためのノウハウを獲得するためで、自衛隊のパイロットという最大の夢は挫折に終わってしまいましたが、この時期の宅間はまだ、自分なりに将来設計もできていたようです。

 ただ、青写真を描くのと実際に経営するのとでは、当然わけが違います。一年間の実務経験で、現場の流れなどはわかっていたのでしょうが、自分で仕事を取ってくる営業などはまったく頭に入れておらず、何をどうしていいのかもわからなかったのでしょう。結局、仕事らしい仕事もしないまま、運送業者「ごっこ」は終わってしまいました。
 
 このとき、開業資金として、宅間の父、武士は、宅間に百万円ものお金を出してやったそうです。ろくな事業計画も聞かずに、庶民にとっては安くない金をポンと出してしまうのはどうかと思いますが、これだけでも、宅間のお父さんが小林薫の父親のようなどうしようもない冷酷非情の父ではなく、息子の将来を想う父親であったことがわかります。

 武士は早いうちから、守に「お前に学問の道は向かん。職人でも目指したらどうか」と、自分が指導して日曜大工などをやらせていたこともあったそうですが、学業でも優秀な兄の方はてきぱきと要領よく働くのに、肝心の守の方はまったく根気がなく、金づちやのこぎりを振り回して危なっかしい様子だったそうです。

 守と同じように落ちこぼれだった私も、中学の頃、親から職人になれ、工業高校に行けなどと言われたような覚えがありますが、勉強ができなければ職人という考えがそもそも短絡的で、一種の職業差別とも言えるでしょう。結局、根本的な性質が問題なのであり、進路を変えればどうにかなるというものではないはずですが、私の親でさえ安易な考えをしていたのですから、まあ、宅間の時代では仕方ないのかもしれません。お父さんなりに守のことは考えていたようですが、やはり荷が重すぎました。

 お母さんについても触れておきますが、お母さんは夫、武士に言わせれば、「家事全般できん女」で、炊事や洗濯は、いつの間にか武士一人の担当になっていたようです。そうして家事を夫任せにする一方で、息子の食事というか、学校で見栄を張らせることには気を遣っていたようで、遠足の際には夫が作る弁当ではなく、上等な仕出し弁当を持たせていたようです。

 どこかズレた感覚の持ち主で、家事ができないところは発達障害ADHDの陰もちらつきます。遺伝的な面でも育児の面でも、よく叩かれるお父さんよりも、どちらかというとこのお母さんによって失ったものの方が大きかったのかもしれません。
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反省文、何故唐突に部落差別について記述したりしてるのか、そこが気になります。
宅間自身が被差別民だったのか、それとも差別する側だったのか。

No title

たにやんさん

 宅間が部落民を差別していた側です。関西の人は今でも結構気にする人が多いですね。他にも、「持ち家住まい」と「借家住まい」で線を引いて差別したり、ヒトラーの「我が闘争」を読んで、優性学に興味を示したりなど、差別意識には非常に敏感な男だったようです。

人生初のレイプの下り。2人きりのデートに持ち込めたのなら、何もレイプなどせずに普通に口説けばいいような気もしますが、宅間にはその発想はなかったのですかね?



自分を省みて、目標を設定し、それに向かい努力しようと試みるのは立派だと思いますね。特に何か具体的に新しい事を始めるのはすごいと思います。


私なぞ、そういった経験が皆無でただ惰性で生きますから(まあ宅間ほど反省を強いられるような事もやらかしちゃいませんが)


ガソリン使えばよかった、とかではなくて、宅間が自らの人となりを省みている記述を、私は初めて目にしました。


No title

宅間の行動力は確かにありすぎるくらいですが如何せん飽きっぽいというかすぐ辞めてしまったり自分の能力以上の夢を追い求める性格なのですね。
少年時代は大きな夢を持つことは珍しいことではありませんが中年になっても変わらないというのは一般の人とは違っていますね。
宅間は父親をやたら恨んでいましたが学費を出してくれたり事業に協力してくれたりと凶悪犯の親としては良い父親に入るのではないでしょうか。
記事を読んでみて自分の息子と母親の問題を抱えながらの生活をしていた父親を悪く言うことはできないですね。

No title

LWさん

結婚についても恋愛要素一切なく、「生活の安定、セックスの安定」だけを言う男ですからね。それでも形だけでも口説けばと思いますが、レイプにはレイプにしか味わえない楽しみもあるのでしょう。

学校提出用の作文とはいえ、宅間がかなり若いころから、自分の何が悪いかきっちり分析できていたことがわかる資料は貴重ですね。

No title

Seaskyさん

パイロットはともかく、自営業は年齢を考えればここで諦める必要はなかったと思いますけどね。なにかそういう、長期的な目標に向けて頑張ることができていれば違ったのかな、という気もします。

お父さんはマスコミ対応が悪すぎただけで、鬼父でも悪い人間でもないと思います。たしかに少々個性的で、いきなり100万とかかなりズレたとこもありますが…。

宅間の何も根拠の無い自信は分かります。
私も昔は普通の人とは違い選ばれた人間だと思い込んでました。
根拠の無い自信があった為に仕事もバカバカしく周りの人を常に見下しバカにしてましたね。
多分周りから相当にヤな奴と思われてたと思います。
中年になり改善されましたが、まだその傾向はあります。
宅間は結婚した女は口説いたのでしょうからレイプする女と口説く女は何を基準に区別してたのでしょう?
父親も言われてるほど鬼親ではない様ですね。

No title

中学 高校時代 とんでもないやつが何人も同級生に
いました
すべてに凶暴で粗暴であれば 排除されるのでしょうが
周りに馴染んでいたりでたまに凶暴に 犯罪に走ったり
そういう中で生きているのですからね・・・・・
自分の中で この時代トラウマになっています・・・・
人から金品巻き上げたり 性的暴行えげつなかったです
それだけのことしていた奴でも 社会人として
一応生きてますから・・・・・

No title

まっちゃんさん

空想へきや中二病があったのは私も同じですが、根拠のない妄想を実際に行動にうつしてしまうのが宅間のまずいとこであり、ちょっと憧れるところですね。真面目に口説くのとレイプするのは、生活力とかのことも多少はあったかもしれませんが、ほとんどはただの気分だと思われますね…。

No title

カズさん

不良でもヤクザなどに取り込まれることによって一人でいるよりはマシになる例もありますが、宅間の場合ヤクザにもなれない協調性のない男でした。まったく何者にも染まらない孤高さには憧れますね。

宅間は自分の事をちゃんと分かっていたのですね。
自分でも不思議だった、と言う下りは切なくなりますね。
ADHDは遺伝するのですか?
母親も辛い経験をしてきたんでしょうね。
同じ障害なら、宅間の事を理解できなかったんでしょうか?
自分の事だけで精一杯だったのかもですね。

No title

ひなさん

 父よりもむしろこの母親によって失ったものの方が大きかったのではないか、というのが私が抱く感想ですね。

 ADHDは遺伝の要素が大きいそうですね。お母さんの場合かなり顕著にその傾向が見られますから、間違いなく宅間にも遺伝していたと思います。

 それにしたって、夫に全部家事を押し付けるなんてひどい話です。「ジャングルの王者ターちゃん」の女房と同じですが、そんな怠惰な母親に育てられたら、女性に対するリスペクトの気持ちがなくなるのも当然だと思います。うまくできなくてもいいから、頑張ってる姿は見せないと。武士さんも甘やかしすぎず、ちょっとずつでもいいからやらせていればよかったと思いますね・・。
プロフィール

津島 博行

Author:津島 博行
1987年4月3日生 男性
相互リンク歓迎します。

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