私小説の続き11 自己責任論との戦い2

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 自己責任論の続きですが、私がいま、日本という国の中で苦しい立場にある人たちに一番求められているのは、「助けてくれって叫べる」力だと思っています。

 「我慢」しちゃダメです。「我慢」は何も生み出しません。

 兵法に籠城戦というものがあります。城に籠って、自軍から敵を攻めずに、ひたすら攻撃を耐え忍ぶのですから、籠城は「我慢」の最たる戦法といえます。

 一般的に籠城は、ある一定の期間持ちこたえれば味方の援軍が現れる、あるいは、敵が兵を引かざるを得ない状況になる、という場合においては、有効な戦法とされています。しかし、援軍などの見通しが立たない状況においては愚策中の愚策、それよりは、破れかぶれでも城を打って出た方がマシとされています。

 現代社会においても同じことがいえるでしょう。ある一定期間、つらい状況でも耐えていれば活路が開ける見通しがあるのなら、「我慢」も有効な作戦だと思います。しかし、ただ単に何の当てもなく「我慢」しても、状況はかえって悪化することに繋がるだけです。

 特に貧困層にいる人で、我慢することが格好いいと思っている人、あるいは、苦しいときに助けてくれと声をあげるのをみっともないことだと思ってしまう人は、心に深刻な病気を抱えています。「男らしさ」という病です。病気と書きましたが、どちらかというと、こっちの人の方が多いのではないでしょうか。

 貧困を個人の責任に押し込める自己責任論のせいで、日本人は「男らしさの病」にかかってしまいました。今は女も一人で生きていくことを強いられている時代ですから、女のひとも「男らしさの病」にかかっています。

 男らしさの定義も人それぞれでしょうが、最大公約数を出せば、たぶん「安易に助けを求めない」「痩せ我慢」「弱音を吐かない」「武士は喰わねど高楊枝」「弱いものを守る」的な考えに落ち着くのではないかと思います。このうち貧困者が守らなくてはならないのは「弱いものを守る」くらいで、あとは全部邪魔なものです。人によってはそれを美徳と捉えるのでしょうが、この男らしさの病こそが、貧困者がなぜか自己責任論に同調する原因であり、貧困者が余計に追い詰められている原因になっています。

 ホームレスやネットカフェ難民、あるいは屋根付きの家に住んでいる人でも苦しくてたまらない人に、私は声を大にして、「助けてくれって叫ぼうよ」と言いたいです。

 みんなが「男らしさの病」にかかっている世の中ですから、助けを求めて叫べば、「苦しいのはお前だけじゃない!」とか、「みっともないからやめろ」とかいって、叩いてくる人もいます。その人たちは、自分が周りに叩かれたくないから、男らしさを言い訳にして弱音を吐けないだけの、ただの臆病者です。男らしさ、逞しさを売りにしている人ほど臆病者なのだと思って、声を張り上げて叫んでほしいです。

 諦めずに叫び続けていれば、助けてくれる人は必ずいます。寄り添ってくれる人もいます。私でいえば、コメントをして私の活動を応援してくださる皆さんです。誰に何と言われようと、皆さんがリアクションしてくれないと僕は頑張れないと叫び続けていたおかげで、少しずつ理想の執筆環境を手に入れました。時々生意気な態度をとることもあるかもしれませんが、私は皆さんには本当に感謝しています。私が唯一このサイトを通じて誇れることがあるとすれば、常に「助けてくれって言える」人間であれたことです。それは生きる上で大切なことだからです。

 私を見習えというわけではないです。私はちょっと極端な例かもしれないからです。でも、苦しい人は私の半分くらいでいいから、叫んでほしいです。みんなで叫び続けていれば、いつかきっと、世の中も変わってくると思います。いま苦しい立場にいる人に必要なのは、「男らしい臆病さ」ではなく、「助けを求める勇気」です。

 ・・・・と、現在でこそ、「男らしさの病」克服できた私ですが、この当時はまだまだ、「男らしさの病」に囚われ、無駄に自分をイジメていました。成功とは、徹頭徹尾自分を殺した先にあるもので、「我慢」ができなければ、人間に生きる価値はないと考えていました。

 下流に生きる人にとっては、「我慢」は百害あって一利ありませんが、一定の生活水準が保障され、定年まで勤めあげれば重厚な厚生年金が保障されている(ハズ)―――すなわち、我慢した先の活路が開けている中流以上の人にとっては、あながち間違った考え方ではありません。

 二十二歳当時、その中流以上を目指した私が入学を申し込んだのが、IT系の専門学校でした。とくにITに興味があったわけではありません。ただ、学校説明会で、ITなら年齢がある程度いって、大学も出ていない人でも比較的容易に就職ができるという話をきいた、ただそれだけが理由です。特に好きなわけでもなく、ただ仕事として、この業界を選びました。11月か12月くらいにAO入試というものを受け、あっさりと来年度での入学が決まりました。

 中流以上なら我慢も悪くないと書きましたが、実際には、我慢の必要もなく、努力がほとんど報われ、ハッピーな一生を送れる人間もいます。それをリア充といいます。

 ・能力がある
 ・イケメンである
 ・コミュ力がある
 ・精神病質が少ない
 ・ひたすら運がいい

 この辺りが条件になるでしょうか。これらを全部備えているような完璧超人はなかなかいないでしょうが、一つなり二つなり備えている人であれば、比較的我慢の量が少なくても、楽しい社会人生活が送れます。これらを何一つ備えてない人間が、コイツらに縋りついていこうと思ったときに初めて必要になるのが、「我慢」です。プライドを全部へし折る覚悟、土を舐めさせられても笑ってられる覚悟、お零れが何もなくても文句言わない覚悟―――などと言い換えてもいいかもしれません。

 専門学校時代は、私に「リア充五大要素」が何一つないばかりか、最後の砦である「我慢」すらできなかったことを、一人の女とその周りの連中に思い知らされたという話です。
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No title

男らしさの病というのは昭和の時代の価値観で今では完全に時代錯誤ですよね。
男たるもの我慢が美徳で寡黙であることが良しとされていましたからね。
今の時代に自己責任論を信じ込み男らしさの病で生きようとするなら完全に病みますよね。
女性ならまだ助けを求める声を出しやすいと思いますが男性はなかなか助けてくれとは言えない雰囲気がありますよね。
日本に生まれた男で男らしさの病に掛かったことがない人は少ないのではないでしょうか。
男は強くあらねばならないとか自分を限界まで追い込むことは素晴らしいことであるとか思ってましたね。
昔は五大要素を持っていなくても生きられる時代だったのでしょうから今の環境がいかに厳しいかということですね。

我慢して耐える事はないと思いますが助けてくれと言って助けてくれる人は私はいないと思いますが島津さんの周りにはいるんですか?羨ましいです。私の周りにはそんないい人はいませんね。親もふくめて…
五つの条件の内1つ当てはまるものがありますが楽しい人生おくれてません。
反対意見ばかりですみません。お気を悪くされないで下さい。

No title

seasky さん

 酒鬼薔薇の記事でエヴァンゲリオンのこと書いたので、ふと思い立ってエヴァQをもっかい見てみましたが、病んだシンジくんに女どもが好き勝手に説教してんの見て「こいつら酷くね・・?」と、改めて思いました。アスカ(28)だけはまだ愛があったが・・・。

 昭和のように企業がお父さんを全力でバックアップしていた時代じゃないですからね。本当の男らしさっていうのは、会社の奴らからどんだけボロクソに言われても、五体満足で愛する家族と一緒にいることだ、と言ってあげられる世の中であってほしいです。

 五大要素に関しては、メディアの垂れ流すイケメン至上主義の影響が強いように思います。なんにもない奴が人並みの幸せを掴みたかったら、優れたものを持っている奴にゴミのように諂っていなければならない。そうじゃない奴はレールの上から排除されるしかないと悟ったのがこのすぐ後のことでした。

No title

まっちゃんさん

 唯一にして最大の理解者ということでは来年結婚を控えている女がいます。一応小説を気に入ってもらえてるんで努力もあるかもしれないですが、どっちかといえば助けを求めた結果だと思っています。

 親は理解者ってわけじゃないですが、まぁただ飯は食わせてもらっています。説得には長い時間がかかりましたが、それもまあ、助けを求めた結果ってことになるでしょうね。来年には追い出されることになっていますが、このまま小説で芽が出ないんなら、派遣労働やりながら親の財産をいかにして吸い取るかだけを考える人生でしょう・・・。

 まぁ運もあったと思いますが、やっぱ、「努力より助けを求める」ですよ。頼れるもんは何でも頼って、弱いもん同士が寄り添って生きるのがいいと思いますね。

名前間違えてました。すみません。
来年結婚されるのですか、おめでとうございます。
私実は結婚しているんですよ。しかも二度も…前のかみさんと1人今のかみさんと二人合わせ三人子供もいます。理解者どころかかみさんに軽蔑されてますね。
まぁ〜いい年したおっさんが底辺の派遣してるんだから当たり前なんですが…

No title

まっちゃんさん
 
 あとすみません、山地悠紀夫リクエスト頂いたんですが、ちょっと資料の再入手が難航しておりまして、もうしばらく待ってください。私も好きな場面に入るんで早く書きたいです💦

No title

まっちゃんさん
 
 そうでしたか💦
 子供はどれだけ裕福になっても持つ予定はないので、素直に凄いなと思います。この状況で万が一私に子どもが出来ちゃったらそれこそどっかの小説みたいに育児放棄するしかないでしょうね・・・。愛もない女だったらともかく、女房とそうはなりたくないものです・・・。

井の中の蛙は幸せでした

自分の人生には五大要素の全部当てはまる人と出会う機会はなかった
多分これからもないだろう
大昔のテレビ普及してないネットのない時代なら
今で言うリア充に嫉妬するどころか存在すら知らず
一生終える人が多数だろう
それを幸せと言う人も多数存在しただろう
しかし今は知らぬ存ぜぬを通せる人が激減した
自分は人生の半分くらいは知らぬ存ぜぬを通せると思いこんでいた…
ところで今でもネット環境のない知り合いは数人いるが
「幸せですか?」と質問する勇気はない

No title

MSKSさん

 たしかに情報機器の発達によって、現代人が否応なく競争に煽られてる感はあります。イメージですが、おっしゃる通り昔はどんなリア充がいたところで、そんな世界は自分には関係ねぇで済ませられていたような部分があった気がします。

 そろそろ畠山鈴香を取り上げる予定ですが犯罪者名鑑はご覧になって頂けているでしょうか・・?

恐らく抗議するのが面倒なのでしょうね。

現状に満足はしていない事が習慣化してしまい、今更それを変えようとするガッツが湧かないのでしょう。


生活保護を受けるにしても、そういった情報に疎い人はどうすればいいんだ? みたいな事を言う人がいますが、今の時世、その気になっても情報を収集出来ないというのはかなり無理がある意見だと思います。

No title

L.Wさん

 いや、本当の情弱っていますよ。今のご時世でネットの使い方を知らない人は普通にいます。ネットが使えても、電気が止まってPCや携帯が使えなかったらアウトです。「もっと前に調べろよ!」と思うかもしれませんが、危機管理ができない人に言っても無駄です。そうなったら友達0人の私のような人間は完全アウトです。おっしゃられる通り、ガッツがなくなっちゃってる人はそもそも調べる気力もないでしょうし、変な思い込みがある場合もあります。

 基本的にどんな物事でも、「できる」側を基準にしちゃダメです。まぁ会社とかは面倒見きれる範囲があるのは仕方ないですが、国の制度、とくにセーフティネットみたいな、何もない人が最後に頼るものがそうなってるのはまずいです。小説でも書きましたが、やはり学校がちゃんと教えないとだめです。ヨーロッパはそれが常識です。国がやることやって、それでも来ない人に、初めて「自己責任」がいえます。そこで出てくるのが、「男らしさの病」の問題ですね
プロフィール

津島 博行

Author:津島 博行
1987年4月3日生 男性
相互リンク歓迎します。

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