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犯罪者名鑑 山地悠紀夫 3

やまじゆきお


 
 中卒

 
 中学に上がった山地でしたが、相変わらず周囲には馴染めませんでした。イジメ、からかいは続き、二年生になるころから不登校になってしまいます。

 中学三年生のころ山地の担任だった男性教師は、小学校のときの冷酷教師とは違い、周囲から浮いた山地の面倒をよく見てくれる、立派な教師でした。山地は不登校ながら、この教師が顧問を務める卓球部の活動にだけは積極的に顔を出していたようで、部員とも概ね打ち解けていたそうです。発達障害でも、理解がある人がいる環境ならうまくやっていける可能性があるという、一つの例でしょう。

 しかし、度重なる不適応に、この頃はすっかり自分に自信を失くしていた山地は、進路の話になると極端に消極的でした。担任や母親が、「何をやるにしても、高校だけは出ておけ」というのを聞かず、「行きたくない」「中卒で生きていけないというなら、それまでの人生だ」の一点張りです。人が希望を抱けない世の中とはいっても、中学の時点でここまで絶望してしまうのはやはり珍しいでしょう。学校での山地の扱いがいかに過酷であったかが窺い知れます。

 担任もほかに抱えている生徒がおり、山地の説得だけに時間を割いているわけにはいきません。結局、山地は最後まで意志を曲げず、中卒という学歴のまま、社会に出ていくことになってしまいました。


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 新聞配達


 中学を卒業した後、しばらくやることもなくプラプラとしていた山地でしたが、夏ごろになって、新聞配達のアルバイトを始めるようになります。小学校のころからの友人の誘いでした。

 アスペルガー症候群で、人間関係はトラブル続きだったという話が伝わる一方で、山地には小学校の頃から続く友人がいたのです。人生で一度として同窓会に呼ばれたことがなく、基本的に学校、職場を出たらそれっきりという関係しか築いてこなかった私からすれば、小学校のころからの友人と、十代後半になっても続いているのは結構凄いことのような気がするのですが、一般的な価値観ではどうなのでしょうか。

 仕事では、地図を見ながら自転車で各家庭を回っていくのですが、山地は効率のいい配達ルートをたちまち見つけ出し、仲間の中ではいつも一番に配達を終えていたそうです。学校の成績は良くなかった山地でしたが、カードゲームの対戦などは得意で、実際は並みかそれ以上に頭がいいのではないか、と、仲間も思うことがあったようです。 

 前出の友人は哲学が好きで、「何度かやってみてダメだという状況が続くと、人は物事に挑戦しなくなるもんやて。それを、学習性無力感というんやて」と、得意げに山地に話したところ、山地が不敵な笑みを浮かべて「だから君は、もう女の子を好きにならんのやね(その友人は、中学校時代に同級生に振られていた)」と返され、それきり仲が拗れてしまうのですが、悪意なく人を傷つけてしまうアスぺっぽいエピソードだなあと思う反面、普通に秀逸な返しじゃないかとも思ってしまいます。いずれにしても、山地はけして知能自体が低かったわけではなさそうです。


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 初恋

 
 社会人となっても相変わらずカードゲームを続けていた山地は、「フジミトーイ」という、フリースペースの設置されているおもちゃ屋に足繁く通っていました。私もその手のお店には時折足を踏み入れることがありますが、ある種近寄りがたい独特の雰囲気がある反面、小学生くらいの子供と「大きなお友達」が、世代を越えて共通の趣味で夢中になっている光景は微笑ましくもあります。

 小学生に比べ、資金力で勝る山地は、「強いお兄さん」として有名で、レアカードを気前よくあげるなど年上らしい振る舞いも見せ、それなりに慕われていたようです。アスペルガーの人には、同世代など横のつながりを築くのが苦手な反面、年上年下、上司部下など、上下関係のハッキリした人間関係を築くのは得意という特徴があるそうですが、中学の担任とはうまくやっていたことといい、山地にはそれが良く当て嵌まっていたようです。

 自身が小学生のころから、純粋にカードゲームを楽しむためにお店に通っていた山地でしたが、この頃にはもう一つの目的が出来ていました。お店で働く、二十三歳の女性店員に会うことです。小柄で、当時全盛期の「モーニング娘」の誰それに似ていたという彼女はお店のアイドル的存在で、山地のカード仲間の専門学生も、淡い恋心を抱いていたといいます。

 山地は専門学生と一緒に、女性店員、真里(仮)を夏祭りなどに連れ出して遊ぶようになります。真里は当時、30代のガソリンスタンド店員と交際していましたが、そのときは関係が不和で、若い男の子たちからの誘いは満更でもなく、二人をアパートに招くほど親しくなっていきました。

 真里に夢中になった山地と専門学生は、ほとんど同時に、真里に告白しました。真里はどちらも軽くいなしたそうですが、逆にいえば、キッパリとは断らなかったということです。恋の勝負は、一度断られてもめげずに、積極的に押した山地の勝ちでした。もしかしたら、色白でほっそりとした山地の方を、最初から気に入っていたのかもしれません。二人は結ばれ、山地は人生で最初にして唯一の、幸福な性体験をします。

 しかし、この性体験が、山地の運命を暗転させてしまいます。避妊をせずに行為に及んだ真里は、このとき山地に、「できちゃったら、責任取ってね」と、冗談めかして言ったそうです。しかし、アスペルガー症候群の山地は、この言葉を重く受け止めすぎてしまいました。山地はただでさえ、まだ十六歳にすぎず、学歴もなく、家庭は貧しくて、援助はとても受けられそうにありません。もし、真里との間に子供ができてしまったら、どう養っていけばいいのか・・・?

 また、真里は現在不和とはいえ、30代の彼氏とも切れたわけではありません。年齢でも経済力でも上の彼氏が、間もなく真里を取り戻しにやってくる。筋からいえば、真里は彼氏のところに戻るべきだが、自分は真里を失いたくない・・・。

 このとき山地は、勤めていた新聞店を無断欠勤するなどしていましたが、彼氏から真里を奪い取り、また真里に子が出来ていたら自分が養う覚悟で、新聞販売店の店長に今までの不義理を詫び、真里との関係を打ち明け、真里と結婚するにはどうしたらいいか、と、相談をしていたそうです。決意を新たに仕事を再開するはずでしたが、実際には、山地の遅刻、無断欠勤は改まらなかったようです。よほど酷いパニックに陥っていたのでしょうか。


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 母親との対立


 一方、同居する母親との対立は、この頃には抜き差しならぬものになっていました。父親が亡くなったころから、母親は浪費に走りはじめ、経済的に困窮しているにも関わらず、高いバッグやアクセサリーなどを買っていたそうです。パート先での勤務態度も悪く、夫に暴力を振るわれていたときには同情的だった近所の人も、この頃には母親を白い目で見るようになっていました。

 第一回で書いたように、母親は山地が真里と遊んで遅く帰ってきても、「おかえり」の一言もいってくれず、「愛情を感じられなかった」と山地は語っています。この頃には家の電気が突然止まったり、怖い声のおじさんから電話が度々かかってくるなど、困窮ぶりは深刻で、山地は母親に「借金はいくらあるんだ」と頻繁に問いただしますが、母親は「あんたには関係ない」とにべもない返事です。

 困窮とは裏腹に、母親の恰好は年月を追うごとに派手になっていきます。男がいるのは明らかで、本人も、山地に「新しいお父さんができたらどうする?」などと尋ねていました。母親とは反対に、父を深く愛していた山地は「僕にはお父さんは一人しかいない!」と怒鳴りましたが、母親は男との交際を辞めようとはしません。借金まみれの母親は、息子の財布からお金を抜いたこともあったそうです。自分が働いて稼いだ金が、母親が男と遊ぶのに流れていたと知ったときの山地の怒りは、想像するのも苦しいほどです。

 ギリギリのところで成り立っていた母子の関係は、母親のある行動により、ついに崩壊を迎えます。山地に交際女性がいたことを知った母親は、真里に無言電話をかけ始めたのです。

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No title

山地は中学卒業までの時点では自信喪失状態で消極的な感じですがそれ以降は意外と社交的だったり行動力もあるので能力はある人物だと思います。
自分に興味がある物事を続けていくことができ周りの理解が得られる環境があれば普通に生活できていたと思いますね。
あとストレスはできるだけ掛からない生活を送ることも大事な気がします。
山地にとっては恋愛をすることは避けた方が平穏な日々を送れたと思っています。
山地の母親の行動は全く理解できないですね。
山地に対して嫌がらせをしているとしか思えませんし愛情を感じられなくても当然だと思います。

No title

seaskyさん

 いいエピソードだけ見ると、コミュニケーション力もある普通の少年って感じなんですけどね。ただ中学の時点でここまで将来に悲観的なのは、やっぱり本人も自覚しているような問題があったんでしょうけど。

 若い男の子に恋愛をするなというのも可愛そうな話ですからね・・・。次回を読むと少し印象が変わってしまうかもしれませんが、この時点では普通の女の子ですから、何とも。

 女手ひとつで色々大変だったとは思いますけど、これじゃ山地がキレちゃってもしょうがいないですよね。家庭に恵まれず、傷ついた心を癒してもらいたくて、彼女に縋っていたのもあるかもしれません。

No title

「中卒で生きていけないというなら、それまでの人生だ」

私は真逆の発想をしていました。「中学でダメでも高校で、高校でダメでも大学で頑張れば道が拓ける」と。結局どこに行っても無駄でしたけどね。精神が病むだけで何も残りませんでした。

この人の場合は障害を抱えながらもカードゲームを通じた人間関係を築いていて更には女とも肉体関係を持っています。犯罪者でありながら、幸せになれるだけの素質はあったんでしょうね。

No title

空回りさん

 友人多数、彼女あり、と、山地の十六歳時点での交友関係は、当時の私と比べてもリア充です。経済的には不自由ない家庭があったのと、高校に通っていたのは私の方が良かったのでしょうが。

 やっぱり犯罪を起こす起こさないの分かれ目は、どれだけ安定した基盤を持っているかなんでしょうね。

待ってました!

山地くんの続き楽しみにしてたので前より一層このサイトチェックしてしまいます。

私は山地くんと同い年ですが、携帯があるかないかくらいの時代に店員さんと仲良くなって恋もしてたんですね。
普通にリア充に見えます。
彼が発達障害でなければ、結婚を深刻に悩むことはなかったのかな?
男性は責任も大きいですし、この時点の山地くんの状況なら結婚を渋る場合のほうが多いかなって思いました。

横の繋がりよりも縦の繋がりを築く方が得意、嘗ての自分にも当てはまっているように思え、またしても「うわっ」となりました。


単純に、年上とか年下とかポジションがハッキリした関係においてならいい事でも、対等な立場という微妙な関係でる同年代においてはウザい事がありました。

また、前者に比べ「違い距離感で接せして当然」という前提のもとでの、あの馴れ馴れしい感じが、ウザかった事もままありました。


今でも本当は大抵ウザいので、社会に出て、同年代と接する機会が減って良かったです。無論、同窓会などには参加しません。


No title

かなえさん

 山地くんと一緒ということは、酒鬼薔薇くんや加藤智大とは一つ違いですね。この辺にはすごい集中してますよね・・・。

 彼の場合は、人ひとりの人生を背負うプレッシャーというよりも、実家が援助を受けられるような環境じゃなかったというのが大きい気がしますね。もともと問題を多面的に考える能力が低いアスペルガーでは、パニックになるのも無理はなかったのかもしれません。
 

No title

L、wさん

 上の子に取り入ったり、下の子に威張ってみたりするのは、背伸びしたい年齢にはありがちではあるんですよね。だから本当に、発達障害との線引きが難しいんですが、アスペルガーの人の場合は、集団の中での自分の役割がわからないと、もうパニックに陥って、人とどう接していいかわからなくなってしまうそうです。

 年上年下以外にも、白黒がハッキリしない関係性は全部苦手で、たとえば正社員とバイトの違いとかもよくわからないみたいですね。だからアスぺ的傾向がある人が管理職になんかなると、もう職場がしっちゃかめっちゃかになるそうです・・・なんとかって小説に出てくる話じゃないですが。

いつかは罪だと気づく愛でいい こうしてあなたといられるなら

改めてアスペの特徴を調べてみたら
「異性関係のトラブル」
っていうのもあるらしいが
これは自分には当てはまらない
異性に騙されるなどの経験はない
容姿の悪さのおかげだろうが
優柔不断や思わせぶりなタイプが苦手なせいもあるだろう
アスペは相手の言葉を言葉通りにとる
相手の軽口を真に受ける
自分も子供の頃は
「言ったことを真に受ける」と同級生から言われたが
大人になってからははっきりしない人を避けるようになり
そういうタイプを好きになることはなかった
片思いの相手に恋人がいた場合もあったがそれがわかった時点で諦めた
しかし山地の場合は諦めなかった
容姿がいいことも女とのトラブルを起こしやすいという
マイナス面にも働いていただろう
山地の母親もおそらく男とのトラブルを起こしたことがあるだろう
見た目が派手になったというだけでは決め付けることはできないが…
山地とその母親の人生を知ると
「不細工でよかった」
というどうしようもない感想が浮かんでくる

No title

MSKSさん

 アスペルガーでも普通に結婚して、結婚後にわかるケースもありますけどね。一度好きになったら余程のことでない限りは我慢するものですし、案外、支障がないんじゃないかと思ったりもします。なんにしても、発達障害ごときで異性を諦めるなんて馬鹿臭いですよ。その点、このときの山地には、個人的に拍手を送りたいんですけどね・・・。

同い年苦手、年上年下との付き合い得意vs同い年得意(略)
どちらが生きやすいのだろうか?
私は25過ぎ迄同い年苦手でした

同い年でも地域や生活の違いがあれば大丈夫でしたが

19の時に小6同窓会一回だけ
会費3000円位、安っぽい繁華街、腐りかけた刺身、全員生中、イッキ、イッキに失敗したら隣が友情イッキ…くだらない
会費高めにして料亭等でしたかった
店の手配等できるから

子供の財布からお金抜くの最低
山地も同居なら一度お金抜かれたら小銭以外は銀行に預ければ新聞配達の仕事してても引き出せるのに

親に交際報告しなくていいし、彼女の許可無しに彼女の連絡先教えるとかありえない
私が山地彼女なら山地母から番号変更料取って番号変える
(母の無言電話の証拠があれば)
彼氏の山地にも詫び入れさせて山地携帯を常にロックさせる

母が誰と恋愛しようが自由
私は旦那がほしいなら父の友達で家族ぐるみの付き合いしてた人が理想と伝えたこともある
財布別だったから誰と付き合おうが母の自由で血縁上の父はもういないから
借金持ちと結婚しない限り自由

金銭の裏切りは叔母が訪問販売宝石商から数百万の宝石を買い毎月1万ずつ訪問に来た宝石商に払ってて「見せられたら買いたくなる。高いから辛い」と聞いて分割払いの残金40万位を渡して縁を切るように伝えて一括返済させた
3ヶ月後に叔母がまた分割払いで宝石を買ったのが発覚
切れたら生命保険からお金を借りて40万返してくれたが裏切られた気持ち
宝石商の商品は私も一括払いで買ったことのあるいい商品でした

この時代の新聞配達には寮完備の所も有り山地が原付免許を取って寮に入れれば良かったと思う

山地が母親殺害後にホストになっていれば売れたとかホスラブに書いてあった

No title

Nさん

>同い年苦手、年上年下との付き合い得意vs同い年得意(略)
どちらが生きやすいのだろうか?

 これは後者の方が断然勝ちでしょう。やはり学齢期に同い年が苦手だと人格に陰を落とす可能性は高いと思います。年上年下苦手は、社会人一年目とかは誰でもそうでしょうし、経験積めば直りますけど、逆は大変でしょうし。 


>親に交際報告しなくていいし、彼女の許可無しに彼女の連絡先教えるとかありえない

 母親が勝手に山地の財布にあった彼女の名刺を覗き見て番号がばれたんで、山地くんを責めないであげてください・・・。 彼女への電話について詳しいことは次回書くつもりでした。すみません。


>母が誰と恋愛しようが自由

 極楽とんぼの加藤が言ってましたけど、男の子の場合、母親が「女」を見せる瞬間って生理的にもの凄く嫌なんですよ。私はそういう経験ないですが、言ってることはよくわかります。再婚は経済的に有利になれるのかもしれないんで、反対まではしませんが、身をかためる決意をするまではバレないようにやるべきでしょう。


>この時代の新聞配達には寮完備の所も有り山地が原付免許を取って寮に入れれば良かったと思う

 16歳になったのでバイクの免許とる準備を進めようとしている矢先のできごとでした。 殺すくらいなら出て行ってれば・・・というのはその通りですね・・・。

>山地が母親殺害後にホストになっていれば売れたとかホスラブに書いてあった

 ホストは顔がすべてじゃないですからねぇ・・。何とも。
プロフィール

津島 博行

Author:津島 博行
1987年4月3日生 男性
相互リンク歓迎します。

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