犯罪者名鑑 佐世保小6女児殺害事件 1

させぼ



 秘匿性の高い事件

 
 佐世保小6女児殺害事件を調べて思うのは、世間での注目度に比して、これほど謎が多く残された事件があっただろうか、ということです。事件に関する書籍は数多く出版されており、ネットでも事件を取り扱ったサイトは多数あるのも関わらず、あまりにも「わからない」部分が多い。

 この事件は、当時14歳に満たない触法少年が犯したものであり、被害者もまた小学生、そして事件の現場もまた小学校という空間であったことから、成長過程にある児童を傷つけないような配慮はもちろん必要であったとは思いますが、この事件の場合それとは関係なく、事件関係者が、説明責任を放棄して「逃げている」。佐世保市の行政に明らかな隠ぺい体質があると感じざるをえない、酷い対応が目立ちます。

 事件は「特別に異常な女児」が起こしたものなのではなく、事件の責任を幼い女児一人に被せて収拾を図ろうとする周囲の影響が非常に大きかったのではないか。そうした観点から、事件の真相に迫ってみたいと思います。

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 幼少期


 加害少女(以下Aとする)が誕生したのは、共働きの両親と、五歳年上の姉がいる普通の家庭でした。両親は幼い子供を養うため、懸命に働いていましたが、Aが二歳になる直前にアクシデントが襲います。父親が脳梗塞で倒れてしまったのです。やむを得ない事情であったとはいえ、このとき母親が、父親の看病にてんやわんやで、Aにあまり構ってあげられなくなってしまったのは、やはり情緒面の発育上良くなかったのかもしれません。

 父親は数年のリハビリを経て、おしぼりの配達など自分のペースでできる仕事で社会復帰を果たし、母親の負担も和らいだのですが、それからも、どうやら両親の愛情不足は続いていたようです。

 小学校に入学するころになったAは、「感情をあまり表に出さず、おとなしく手のかからない、いい子」だったといいます。両親は、大事な時期に十分な愛情を注がれなかったために感情の認知ができず、その表現の仕方もわからなかっただけのAの様子を肯定的に捉え、後からでもたっぷり愛情を注いで育てていく義務を怠ってしまったのかもしれません。

 Aは運営していたHP上の日記や小説の中では、「愚民」「猜疑心」など、年齢に合わない難しい単語を使っているにも関わらず、保護された後に受けた精神鑑定で、「ひまわり」「菜の花」「カブトムシ」「モンシロチョウ」などが描かれたイラストを提示されたとき、その名称を答えられなかったといいます。ジャーナリストの草薙厚子氏は、これを「視覚した画像と言語を整合させる能力に支障がある、アスペルガー症候群の特徴」と考えていますが、もしかすると、「本当に知らなかった」という可能性もあるのではないでしょうか。

 子供は小さいころは野に咲く花や虫など、原初的に存在するものを、ただ単に「見る、聞く、触る」ことから始め、成長するに従って、多数の言語を組み合わせた文章を読み書きしたり、複雑なルールのスポーツに自ら参加することに興味を持っていきます。しかしAの場合は、幼いころ両親に連れられて外に出て遊ぶという経験があまりなく、小説やバスケットボールに興味を持つ以前の、原初的なものと触れ合う機会が、もしかすると丸々すっぽ抜けていたのではないでしょうか。


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 家庭


 Aの幼少期には、非行少年の親の特徴として多くあげられる「無関心」の陰がちらつきます。これに関しては、父親の脳梗塞というアクシデントの影響も大きく、両親ばかりを責めることもできませんが、両親はAが小学生になると、今度は一転、非行少年の親の、無関心とは対極的なもう一つの特徴である「過干渉」を見せるようになっていきます。
 
 父親はAが小学校に入学した後は、門限に厳しかったり、「校区外に出てはならない」として遊ぶ範囲を制限したり、成績不良を理由に、Aが積極的に取り組んでいたミニバスケットボールチームを辞めさせるなど、管理主義的な態度でAに接していました。

 また、同級生の保護者からは、Aが友達を家に連れてきたときのこと、Aが父親に、「パソコンを使わせて」と頼んでから友達と遊び始めたところ、父親は、「なぜ一言パソコンを使わせてくださいと言ってから遊ばないんだ!」と、Aの友達に対して大声で怒鳴ったという話が聞かれています。父親からすれば、友達もA任せにせず、自分で頭を下げて頼みに来いと言いたかったのでしょうが、それにしても、これはあまりにも娘の立場に配慮のない、酷い態度と言うほかありません。

 他にも、このような話が、保護者の間に伝わっています。Aが友達数人で買い物をしたときのこと、割り勘でお菓子を買った際、Aが他の友達よりも三十円、多く支払いました。そのことでAの姉が、その保護者宅に抗議の電話をかけてきたというのです。その後、保護者がAの家を訪れ、三十円を支払うことで解決しましたが、電話をかけてきたAの姉は、正確な料金の計算をしようと電卓をはじく両親の隣りで、しょんぼりとしていたといいます。

 この件は、もし、嫌がるAに無理やり多く支払わせたというなら問題かもしれませんが、実際には友達同士の好意的なやり取りか、もしくは手違いだった可能性が高いようです。さらに妙なのは、抗議の電話をなぜかAの姉にかけさせているということでしょう。この行為の裏には、もし分が悪いとわかったなら、上の娘のせいにしようという魂胆が伺えます。

 一方で父親は、AがR指定の「バトルロワイヤル」などを読むことに関しては、特に厳しく叱責したり、取り上げたりすることはありませんでした。それ自体は、そもそもハードな内容の作品を読むことが犯罪に繋がるという思考自体が、短絡的かつ責任転嫁的なものであり、個人的には文学の成立過程までも否定する暴論とすら思うので私は批判しませんが、他の部分で娘に見せる過干渉とは矛盾しているようには思います。

 なにか「暴君体質」というよりは、教育に変な哲学を持つ、偏屈な父親像が浮かび上がります。その父親を諌めることなく同調する母親の方は、「とにかく不愛想だった」という印象が語られており、保護者間で親しい会話を交わすこともなく、Aを可愛がっているような姿もあまり見かけられなかったそうです。

 Aの家庭での様子に関しては、両親があまり多くを語らないため、詳しくはわかりません。冒頭でも触れましたが、各メディアからの取材を受けた両親は、居留守を使ったりするなど誠実な態度を見せず、「事件については十分に反省しています」「生涯をかけて被害者に償いをし、Aの更生に全力を尽くします」など、通り一辺のコメントに終始するだけでした。そういう態度では、やはり知られては困るような事実があったのでは、事件直前のAのサインも見落としていたのでは、などと疑われても仕方ないでしょう。

 家庭編の最後に、AがHPに掲載した、「親」に関する詩を紹介します。


 
 詩@許せない
皆は親なんていなかったら良かった・・・・・なんて言うけど、不思議だ。
私なんて親が死んでもう、親なんて・・・・・いないのに。とにかくずるい。
恨めしい。
親なんていらないなんて・・・・・。
親を亡くした私の気持ちわかる?
親がいなくなったらこんなに・・・・・。
さみしい
親のいる人が羨ましい
家事とかの問題では無い。
心の事だ。
楽しかった時には戻れない。
親に怒られてもそれはそれで良かった。
あなたの親がいなくなったらわかることでしょう。親に限った事ではないけれど、身内の人が死んでも悲しいでしょう?
なのに皆はいなくなって欲しいといった。
その皆の親がいるのがずるい。

 ぉわり~
 あと、私に親はいますので(汗)
 架空の中の詩なんで(汗)

 

 ジャーナリストの草薙厚子氏はこの詩に対し、仮想世界の中で、Aは親を亡くした「もう一人の自分」を作り上げていた。親を亡くしたもう一人の自分に、両親との情愛が薄く「さみしい」彼女の気持ちが込められているのではないか・・・・と感想を語っています。あるいは、仮想世界の中に「親を亡くした子」を作り上げることによって、どんなに冷たくとも親がいる私はなんと恵まれているのだろう、と自分を慰めていた・・・など、勝手に推察しようと思えばいくらでもできますが、結局は、本人のみぞ知る、としかいえません。わからなくなってしまったのは、親の説明不足のせいです。

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No title

この事件は謎が多すぎてよく分からないですね。
未成年者の犯罪ですから詳しい資料もなかなか見つけることが難しいような事件ですね。
事件を扱うなかで加害者と両親との関係は考えなければいけない事柄ですが小学校高学年の時点で難しい単語を知っていたのは不思議ですね。
そのような言葉は子供向けの本には出て来ないでしょうから大人向けの小説や漫画を読んでいたのかもしれませんね。
一般的には幼稚園の子供でさえ知っている花や虫の名称を知らないということは両親からネグレクトを受けていた可能性も否定できないですね。

またしても予想を裏切る犯罪者のチョイスでした。


草薙厚子さんの本(少年Aについて書かれたもの)が私の家にもあります。



可愛いといえば可愛いのかもしれませんが、私は、本件の犯人の写真を見た時、「ああ、やりそうだな」というのが率直な感想でした。



学齢期のエピソードは酷いですね。ただ、そういったエピソードって、おそらく殆どの人がもっていますよね。今考えれば酷い話と解るんですが、当時は我慢していたりしますよね。


あの嫌な感じを、この記事を読んで思い起こしました。


もめ事が起こり、保護者達が目くじらを立てるみたいな、あの感じ。

現在、私は独身ですが、将来もし子をもったら、そうした問題に、慎重に対処したい限りです。

No title

seaskyさん

 同じ少年事件でも酒鬼薔薇くんのお母さんなんかは結構語ってくれたように、加害者家族がちゃんと説明責任さえ果たせば、もっと情報は伝わるはずなんですけどね・・・。なんでもかんでも秘密にするのは、逆に疚しいことがあると言っているようなものです。

 カブトムシの名称とか、あまりにも当たり前すぎることでは、「知らない人」がなぜ知らないかを想像するのは難しいことです。草薙さんみたいにすぐ「病気」にしちゃうのは楽は楽ですけど、もっと慎重に、色々な可能性を考えた方がいいですよね。



L,wさん

 犯罪者のチョイスは、まずランダムに資料集めから先に初めて、十分な情報が集まった人物から先に書いています。このタイミングなら酒鬼薔薇とかやってれば多少なりともアクセス数アップにつながったのかもわかりませんが、いきなり多数の資料を手元に集められるほど資金力もないので、まあしょうがないですよね。自分のペースでやっていくしかないです。

 親に関しては私よりも若いネバダちゃんなんかだと書きやすいですけど、昔の犯罪者の場合、時代的限界も考慮しないといけないから難しいですよね。たとえば宅間守の父親なんかは、今なら文句なしに鬼畜の父親かもしれないですが、あの世代の平均から考えれば「熱血親父」の範疇に収まらないでもないですし・・・。マスコミ対応は良くなかったですが、ネバダちゃんの親と違って、三十七の息子のことで親がそんなに恐縮しなきゃいけないか、という考えもあるでしょうし・・・。

 重要なのは、まずいエピソードが外に漏れてくるくらいなら、見えないところではもっとひどかったんじゃないかということ、また、そう疑われるだけの態度を両親がとっていたということですね・・・。

ひまわりといえば種を食べるモノ
菜の花といえばおひたし
(但し母が他界してから食べていない)
自分からするとそんなモノ
だけどひまわりも菜の花も知らない平成生まれの少女
通称「ネバダちゃん」
世代の違いという一言では済ませられない
都会とか田舎とかの違いでもない気がする
アスペ疑惑のあるこの子を何となく身近に感じてた
しかし単純に決めつける訳にはいかない
親が「ネグレクト」だった可能性は消えていない…

モンシロチョウとカブトムシわからないかも
似た虫がいて虫嫌いで興味が無かった幼少期
クワガタとカブトムシとゴキブリは似てる
蝶と蛾の違いもわからないし両方嫌い
小学生になる前から「手のひらを太陽に」の歌詞が嫌いで歌わなかった
虫が友達なんてありえない

私の育った環境は父親がアウトドア派で近所の子供もアウトドアに連れて行ったりしてた
周りにはいい父親に見えてたが休日に毎回父親の相手は嫌だった

動物の命は毛のある動物は虐待や無意味に殺したりしない
飼ってた鶏♂を父親が絞めたのを食べてた幼少期
ひよこ♀を無料で貰って♂だった場合食べてた
母親、親戚、友達は食べる私に引いてた
昼間放し飼いしてる鶏美味しいのに
絞めたからには美味しく食べるのが供養と当時から考えてた

小学生の頃は図書館で大人向き小説を借りて家で読んでいたが注意無し(殺人事件の推理小説含む)
わからない漢字を漢和辞典で調べながら読んでた

死んでほしい人は常に複数いたけど殺して捕まったら失うものが大きいから殺さない
殺人を悪と思わなかった
今でもリスクがあるから殺さないと考える
誰か殺したら遺族が悲しむとかってゴキブリや蚊を殺しても虫にも親や子がいるのと同じだと思う

もし余命が少ないとわかったら飼い主と音信不通にしてから死んでほしい人殺すかも
有名人だから私の肉体が死んでも数百年は殺人者として私は記録に残って人の記憶の中に生き続けられる
本当はいい事をしたり格言を残したりして生き続けたいんだけど難しい
数百万の泡銭が入ればお気に入りの神社に寄付して石に名前彫ってもらって生き続けたいけど今の所は無理だから

No title

MSKSさん

 食事の世話などはちゃんとしていたのでしょうが、親子の触れ合いが少なかったのかもしれません。アスぺと言われればアスぺの特徴もありますが、友達は普通にいましたし、割りと高度なやり取りもできてたりするんで、何ともいえないですよね。アスぺの鬼門と言われる球技にも積極的に参加してますし、少なくとも「ガチアスぺ」ではなかったと思います。

Nさん

 私も「菜の花」はわからないかもしれないですね。知らない人は知らないと思うし、これだけではアスぺって決めつける材料にはやはりなりませんよね・・・。

 虫はみんな好きではないから仕方ないですね。私の場合は蚊などは殺しますが、ゴキやカメムシなど単なる不快害虫は無暗には殺しません。やっぱり一般人と異常者の分かれ目は哺乳類かな。家畜はある一定の年齢までは生存競争から解放されるという側面は一応ありますからセーフだとは思っています。ブロイラーは残酷だと思いますが。

 有名人への恨みですか・・・。私も今目の前に、人を使い捨てる社会を作った竹中平蔵とかいたら半殺しにしてると思いますけど、そういうのじゃなく、もっと個人的な因縁なのかな?ちょっと興味ありますね。

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プロフィール

津島 博行

Author:津島 博行
1987年4月3日生 男性
相互リンク歓迎します。

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