犯罪者名鑑 造田博 2

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 造田博統合失調症説

 造田博は、事件の二年前の九十七年ごろから、外務省や警察庁などにあて、意味不明の手紙を送り付けるようになっていました。その内容は、次のようなものです。


 ――日本人のほとんどは小汚いものです。この小汚い者達は歌舞伎町で、人間でなくなっても、動物でなくなっても、生物でなくなっても、存在しなくなっても、レイプし続け、暴行をし続けると言っています。存在、物質、動物が有する根本の権利、そして基本的人権を剥奪する能力を個人がもつべきです。この小汚い者達には剥奪する必要があります。国連のプレジデントに届けて下さい。


 ――世界中で見られる、生まれながらのひどい精神障害者、奇形児の方々はすべて、歌舞伎町で会ったことが原因で患者になっています。だから私は日本で生まれることにしました。私に関係があるという理由で、この小汚い者たちはA子さんという女性を世界中の人達、私の目の前でレイプしようとしています。国連のプレジデントに届けてください。

 ――Breathing OK は愛情です。国連のプレジデントに届けてください。世界中のプレジデントの方々に届けました。国際平和に役立ててください。強力な後押しになります。

 ――助けてください。造田博にレイプされました。僕の彼女も造田博にレイプされました。造田博が僕の彼女のお腹に子供をつくりました。世界中の人たちに助けてもらいます。国際裁判をします、僕達にはどうすればいいのかわかりません。お知えて下さい。国連の親父たちに言ってもらいたい。

 
 まったく支離滅裂な内容で、意味は考えるだけ無駄でしょう。問題は、進学校に通うなど優秀な頭脳を持っているはずの造田が、なぜこのような滅茶苦茶な文章を書いたか、ということです。もちろん、文章は単純に学力がある人ほど上手いというものではありませんが、それにしても造田の書いた文章は、誰がどう見ても、二十代前半の青年が書くごく平均的な文章力のレベルも大きく下回った、滅茶苦茶なものとしか言いようがありません。

 こういった、妄想的で支離滅裂な文章を書くのは、統合失調症の人の特徴の一つです。裁判ではなぜか精神病の疑いは否定され、造田には責任能力ありとして死刑判決が下るのですが、前述した無断欠勤、軽犯罪行為や無謀な単独渡米など、根拠の伴わない、妄想性に満ちた支離滅裂な行動などを考え併せれば、造田はやはり統合失調症になっていたのではないでしょうか。

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 無言電話

 事件が起きた1999年当時、造田は朝日新聞の専売所で勤務していました。勤務態度は真面目であったようですが、ある日寝坊をし、遅刻をしてしまい、それをキッカケに、雇用主から携帯電話を持たされるようになります。携帯電話は、勤務先と連絡をとるためだけに購入したものでしたが、同僚からも番号を聞かれました。造田は新聞専売所の同僚たちを、例によって「努力しない人」と決めつけて見下しており、内心教えるのは嫌だったのですが、何度もしつこく聞かれるため、渋々教えてしまいました。
 
 それから数日後、造田の携帯に一本の無言電話がかかってきました。造田はそれを、造田が番号を教えた同僚からのものだと決めつけます。

 これがキッカケでした。怒り狂った造田は、部屋にあったレポート用紙に檄文をしたためます。

「ワシ以外のまともな人がボケナスのアホ殺しとるけえのお。ワシもボケナスのアホ全部殺すけえのお」

「アホ、いますぐ永遠じごくじゃけえのお」

 造田の怒りは、無言電話の主にピンポイントで向かうのではなく、社会全体に拡大されて発散されました。無言電話は単なるトリガーに過ぎず、造田の頭の中には、高校中退という挫折の経験以来、自分をずっとないがしろにしてきた社会への復讐心が、ずっと燻っていたのです。

 努力をした自分がこんなに苦しい思いをしているのに、なぜ、努力をしない人たちが楽しそうな毎日を送っているのか・・・・。

 マグマのような復讐心が、ついに爆発するときがやってきました。


池袋


 
 池袋通り魔事件

 1999年九月四日、造田は、いつも出勤する朝三時ごろ、家を出ました。しかし、向かったのは、勤め先の新聞専売所ではありません。造田は、彼が唯一よく知る繁華街、池袋に向かったのです。普段池袋を歩いているときに、心の中で「努力しない人」と蔑んでいる人たちを、皆殺しにするためでした。

 始発電車で池袋に到着した造田は、ハンバーガーショップで朝食を済ませた後、東急ハンズに凶器を仕入れに向かいます。購入したのはステンレス製の包丁と、金づちでした。怪しまれないためなのか、まな板とドライバーを同時に購入していますが、これはすぐに処分しています。

 造田はこの時点では、まだすぐに犯罪を決行しようとしているわけではありませんでした。彼にも人の心というものがあります。造田はこの後なんと、池袋の繁華街で四日間も、CDショップやゲームセンターをフラフラとし、カプセルホテルで夜を明かす毎日を送るのです。

 家族があり、仕事がある人ならば、四日間も音信不通になっていれば、誰かが気にかけて連絡するでしょう。造田にも職場からの連絡はあったはずですが、彼にしてみれば、職場の人は信頼できる相手ではなかったようです。今となっては唯一の家族である兄とは別居をしており、友人、恋人は彼にはいません。この四日間で犯行を食い止めるチャンスはあったはずですが、不幸にも彼を止められる人は誰もいませんでした。孤独が引き起こした犯罪という側面もあるといえます。

 池袋に到着して五日目の朝、造田はついに犯罪を決行する決意を固めます。荷物をコインロッカーに預け、サンシャインシティへと向かったのです。

「むかついた、ぶっ殺す!」

 雄叫びをあげて己を鼓舞した造田は、凶器を持って、まず通りがかりの若い男女二人を狙い、東急ハンズのエスカレータの方向に突進します。そこに、地下のエスカレータから、老夫婦が上がってきました。造田のターゲットはこちらに移ります。老婦人の胸部目がけて、包丁を突き出したのです。婦人はその場にうずくまり、間もなく帰らぬ人となりました。

 続いて、金づちで主人を滅多無人に殴りつけた造田は、主人が倒れたことに満足して、池袋方面へと向かいます。造田が続いて目を付けたのは、やはり若い夫婦でした。襲われた妻は、包丁によって内臓をズタズタに刺し貫かれ、パチンコ店に逃げ込みますが、間もなく息を引き取りました。

 完全に火のついた造田は、その後も通行人を次々と襲撃します。犯行時、喧噪に紛れてしまったのか、現場では何が起きていたのがすぐに把握した人は少なく、何人も人が刺されてもまったく気が付かずに通行していたという人もいたようですが、段々と状況に気が付いて、逃げたり、防御の構えを取る人も増え、また造田の体力も落ちてきたのか、死亡者は二名に留まりました。

 程なくして駆けつけてきた警官により、造田は逮捕されました。
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No title

精神疾患かそうでないかというのは明確な線引きは非常に難しいですね。
造田は少なくとも正常な精神状態ではないですよね。
あと努力教に囚われており常にストレスを感じていたような状態ですね。
街を四日間も彷徨うのはすごいですよね。
普通だったらもう面倒臭くなってやめてしまうと思います。
友人や恋人がいれば犯行は起きなかったかもしれませんが造田自身が人間不信に陥っていた可能性もありますね。

政府に手紙を送りつけていた事は知っていましたが、こんなヤバい内容のものであるとは思いませんでした。


確かに、被害妄想したりするあたりなんかが統合失調症っぽいですね。


どういった犯罪であれ、犯行に至る経緯を知ると、その度、誰か止められなかったのかと考えます。

特に学齢期なんかはそれが顕著で、学校とかクラスとかのコミュニティーに無理やり帰属させられているわけだから、異常な奴とかがいたら、その者に対して1人ぐらい善意ある関わりを築いてもいい気がします。


女の子とかも、その者に説教してスカッとしているようだけど、だったら抱かせてやれよ、なんて思ったりもしました。

No title

seasky さん

 何もかも放り捨ててしまうというのは、実はチャンスでもあるんですけどね。中途半端に社会とつながっているのと、何もかも失った後とでは、相手が話を聞く真剣度が全然違ってきますから。もしここで造田の方から誰かに助けを求めていたら、違った結果があったんじゃないかと思います。

 造田自身が人を遠ざけていたのもあるでしょうね。幼少時から友人は少なかったようですが、もともと、統失以前から発達障害を抱えていた可能性もあると思います。

L,wさん

 事件より何年も前から統失の兆候が見えますから、詐病の可能性はないはずなんですよね。後に本文で述べますが、やはり事件の重大さを鑑みて、死刑回避の場合の世論を危惧して、責任能力ありということにされたのだと思います。

 女に関しては、私自身が今より追い詰められているとき、実際それを考えていましたねw いやマジな話、キレイごとじゃないですからね。口で言うだけなら誰でもできる。口で言うだけでは、本人の自己満足にはなるかもしれないけど、言われた方は何の救いにもなっていないものです。今村正平の映画「楢山節考」を思い出しました。あれは女の子ではなかったけど・・・。

 その点、加藤智大が掲示板に書き込みを行っていたときに、彼と会ってあげた女性は偉いと思いますね。最後まではいかなかったようですけど・・・。

女性に関しては特にそうですね。


いつだったか大統領を撃った男も、犯行の動機は、ニューヨークに行って童貞を捨てようと目論んだ結果、手だけのサービスしか受けられず、それに絶望したから、というものでした。


都井とかも、ちゃんとやる事やらせてあげてればキレなかったと思います。



前に、BARで、病んでそうな醜男(見方によっちゃ普通)に対し、男女が寄ってたかって説教している光景を目の当たりにしました。


「見た目」という、個人の人生を大きく左右するファクターを無視して論を展開するのが、みんな案外好きっつーこって。

問題を絶対化し、個別の事例を鑑みない。


その時も私は「女連中、抱かせてやれよ」と思いました。

No title

L,wさん

 ああ、それはひどいですね。話を聞いただけの私もなにか憤りを覚えました。

 恋愛の場合、経済力や容姿という絶対的ハンデを無視して、内面の問題にすり替えようとするヤツ多いですよね。実際には、内面すら経済力や容姿によって形成されるものだというのに。性格をを大義にすれば、他人にどれだけボロクソに説教しようとも、彼らの感覚では罪にはならないようです。

 造田の書き残したものにも、彼の異常な性欲が見られますが、そういう面での外圧の影響ももしかしたらあるかもしれませんね・・・。

 
プロフィール

津島 博行

Author:津島 博行
1987年4月3日生 男性
相互リンク歓迎します。

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