犯罪者名鑑 闇サイト殺人事件 3

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 被害者・磯谷利恵さん 


 裁判編に移る前に、この事件で被害者となった、磯谷利恵さんの経歴について紹介していきます。

 磯谷さんは当時三十一歳。派遣のOLとして、名古屋市内の会社で働いていました。幼い頃に父を亡くし、母の手ひとつで育てられた彼女はとてもお母さん思いで、お金をためてお母さんに一軒家をプレゼントすることを夢見ていました。趣味はグルメと囲碁で、食を取り扱ったブログ http://kuishinbounagoyan.blog96.fc2.com/は、事件を知った人からの多くのコメントで溢れています。

 事件当時は囲碁を通じて知り合った大学院生と交際しており、事件の十日前には、名古屋城に流星群を見にデートに出かけていたそうです。誰からも好かれる人柄であった彼女が殺害されたのは、自宅まであと僅か二百メートルという地点でした。逮捕後、川岸健治は「人生は運だ。俺が捕まったのも運。彼女が殺されたのも運。無期懲役の判決を貰ったのも運。生かしてもらえて、取りあえず感謝してる」ということを語っていました。「そう言っちまえばそれまで」と言えるのは、被害者や第三者であって、犯人ではないでしょう。


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 被害者遺族の奮闘

 裁判において、被害者遺族である母の富美子さんは、三人の死刑を目指して運動を開始します。お姉さんや被害者の会の協力を得て、駅前での署名活動や、テレビ番組への出演、大学での講演などと精力的に活動します。もっと休んだらどうかと周囲の人も心配するほどだったそうですが、唯一の生きがいを失った富美子さんからすれば、じっとしている方が苦痛だったのでしょう。

 富美子さんがこうした活動をするのをみて、したり顔で「この人出過ぎじゃない?目立ちたがりなんじゃないの?」という人間が富美子さんの周囲にもおり、実際にそうした内容が書かれた手紙が届くこともあったそうです。光市母子殺害事件の本村氏も同じようなことを散々に言われてきたそうですが、私はこういう人間こそが、磯谷利恵さんの命を奪ったのだと考えます。被害者遺族の気持ちを想像することもできない人間が、犯罪者の気持ちを想像することなどできるはずがありません。追い詰められた人、うまく生きられない人の気持ちが想像できないこういう人間が、単なる無能者を、犯罪者へと変えるのです。

 富美子さんが行った署名活動では、およそ30万人もの署名が集まりました。世論の後押しを受け、闇サイト殺人事件の裁判が開始されました。

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 裁判


 富美子さんの意向もあり、三人全員の死刑を求刑する検察側と、殺害人数が一人という理由を盾に死刑回避を目指す弁護側は激しく争います。この裁判で露呈したのは、ネットを介して出会い、ともに殺人まで犯した三人の男には、いかなる友情も絆も存在しなかったということ――。裁判の中で三人は、醜い罪の擦り付け合いを繰り広げるのです。

 神田が、「絵を描いたのは川岸、殺害を主導したのは堀」と主張すれば、堀はまるで反対のことを言い、川岸は「お前らのせいで犯罪者になっちゃっただろ!」など、二人に向かって叫び出します。お互いを仲間だなどとは欠片も思っていない三人は、自分だけが助かろうと、自分はただ傍観していただけという態度を貫こうとするのです。

 第一審の結果は、川岸に無期懲役、堀、神田に死刑という判決でした。川岸は自首を認められて、罪一等を減じられたのです。遺族は不満だったようですが、この判決は一応妥当ではあるでしょう。前例で自首をしたにも関わらず死刑判決が下った人には、オウム事件の岡崎一明がいますが、彼の場合は教団から逃亡して自首をするまでにかなり長い潜伏期間がありました。その間、オウムは数々の反社会的な活動を行っています。川岸の場合は明確に事件の早期解決に貢献しており、ここで死刑判決を強行してしまっては、今後の事件抑止に繋がりません。

 川岸は判決以前には、「お母さんの言葉は胸に刺さりました」と反省するような態度を見せていながら、無期懲役判決を勝ち取るや否や、前述のような放埓な言動をし始めるなど態度を一変させます。それが遺族の感情を逆なでしたことは間違いありません。

 川岸が無期になろうが死刑になろうが、磯谷利恵さんが戻ってくるわけではありません。そもそも、自首したのは偉いなどといっても、もとはといえば、この男の書き込みからすべてが始まったのです。遺族が徹底的にやりたい気持ちはわかりますが、やはり社会全体のことを考えれば、自首の功績は功績として評価しなければなりません。無期以上死刑以下という刑罰があるならそれに処すべきところでしょうが、無期の上には死刑しかない以上、この判決で仕方ないと思います。

 他方、神田と堀は一審の判決に対して控訴。このうち、神田はすぐに控訴を取り下げ、死刑が確定します。三人の中でもっとも反省の色が薄かったのが神田で、川岸が「胸に刺さった」と語った富美子さんの陳述に対しても「特に言うことはない」とあっさり言ってのけ、交際女性にあてた手紙には、磯谷さんが車酔いを訴えて降ろしてもらおうとすることを書きながら「車酔いなら、背中に汗をかくもんだよ。嘘吐き姉ちゃん。嘘なら俺の方が上手だぜ」、磯谷さんが震えながら許しを乞うところを書きながら「がったがた。マグニチュード10?」など、ピカレスク小説のセリフさながらの言葉を堂々と記述しています。

 池田小事件の宅間守などと同様の完全に開き直った態度で、ある意味「正直」に心の内を語った神田に真っ先に死刑判決が下され、心の内をまったく明かさず、反省した「フリ」を見せていただけの川岸と堀が無期懲役を勝ち取る・・・どっちが正しい、ということもいえませんが、これが裁判というものです。神田は最高裁の判決後に再審請求を出しますが、延命のためなのか、それとも暇つぶしなのか、真意は不明です。

 そして堀には、最高裁で無期懲役判決が下ります。裁判の中で、殺害人数一人を理由に死刑を回避しようとする弁護側に対し、検察側は事件の凶悪さ、殺害の手口の凶悪さについて強調するのですが、最終的に無期の判決を下した裁判長は「殺害方法が凶悪になったのは、被害者が中々死に至らなかったためであり・・・」などと、とんでもない失言をしてしまいます。これでは誰がどう聞いても、「被害者がしぶとかったせいで犯人が凶悪にならざるをえなかった」と言っているようなものです。判決自体は、やはり殺害人数一人ということもありますし、堀は表向き反省の態度を見せていましたから、妥当とまではいえませんが「あり得る」判決であったとは思います。ただ、この裁判長の発言は、公正、公平に事件に携わる者としてはあり得ない、まさしくとんでもない失言です。

 さらに、堀に無期刑の判決を下した裁判長は「堀の前歴を考えれば、更生の可能性がないとはいえない」などと発言していたのですが、なんと最高裁の判決からわずか三週間後、その堀が1998年の強盗殺人及び強盗殺人未遂の疑いで再逮捕されたのです。裁判長は赤っ恥もいいところです。

 私は様々な事件の本を読んでいますが、こういうトンチンカンなエピソードこそ目にしても、裁判の中で司法に携わる人間が有能だった、名言を残したというエピソードはほとんど見たことがありません。人間とは誰しも無能で、間違いを起こすものであり、無能な人間が人を裁くために、裁判というものがある・・・ということではありますが、それは個人の資質の低さを擁護する理由にはなりません。自分が加害者、被害者いずれかの立場で裁判に関わる機会があったときには、無能な裁判官や弁護士に巡り合わないよう祈るばかりです。

 


 総括:事件を起こした三人は、犯罪に関しては素人でした。事前に入念な計画を立て、リスクを回避することのできるプロの集団ならば、事件がここまで凶悪化することはなかったでしょう。厳しい社会情勢の中で大量の貧困者が生み出され、いつ、誰が犯罪者となってもおかしくはありません。闇サイトはいまだ健在で、Twitterなどで共犯を募る例もあり、ネットを介して俄か犯罪集団が結成されるケースは増えています。日本の治安がいつまでも安全と思うのは過信でしかありません。犯人を責めることも大事かもしれませんが、各個人、特に女性が自分の安全を意識することが重要となってくるでしょう。

 
 闇サイト殺人事件 完
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No title

闇サイト殺人事件完結ですね。
事件についてかなり詳しく知ることができ知らなかった事実もたくさんありました。
凶悪事件では無期懲役か死刑かの問題はかなり論議されますよね。
今も永山基準を参考にして量刑を決めているのでしょうか。
死刑を望んでいた宅間守や金川真大のような犯罪者は稀でやはり殆どの犯罪者は無期を望むのでしょうね。
このような重大な事件で問題ある発言をしてしまうような裁判長は不適格と言わざるを得ないと思います。
どんな事件でも詳しく調べていけば色々な問題や考えを知ることができテレビや新聞の報道はほんの一部でしかないことが分かりますね。

何とも言えない事件ですね…身勝手な計画の無い犯罪で何の罪もない女性が殺された。これで自分は死刑になりたくないとか言葉がありませんよね。

僕は死刑制度について賛成でも反対でもないのですが、この連中に関しては死刑が妥当だなと思いました。

ネットで共犯者を募る事件が北海道で起きたようです。強姦事件なのですが、流れが闇サイト殺人事件と瓜二つで戦慄を覚えました。
インターネットは便利ですが、法整備が遅れていて無法地帯なのが怖いですよね。

死刑判決が出された事件の、加害者が複数、被害者が1人、というのはやはり印象的でしたね。


被害者遺族の事をでしゃばってるみたいにいう人って、本当になんなんですかね。たぶん相当たまってるんでしょうね。


津島さんを前にして言うのもあれですが、私も凶悪犯罪とか調べるの結構好きなんです。

そのせいで、事件を相対的に鑑みるあまり、時々、事件の「残虐性」というものに対しての感覚が麻痺してしまっているような時があります。

でも、こうして改めて振り返ると酷い事件ですよね。



ネットの犯罪系の書き込み、最近もニュースになってて、その書き込みの内容があまりに直接的で、それこそ素人って感じでした。



No title

seaskyさん

 叩き台としての永山基準の重みも薄れて厳罰化の傾向がありますね。多くの前例を参考にして決められているようです。

 全体としては無期懲役を希望する方が多いようですが、やはり宅間以降、小林薫や金川など死刑願望のある者が増えてきましたね。最近は無期懲役囚が三十、四十年も収監され事実上の終身刑と同義になりつつあることを考えたら、死ぬまである程度快適な生活が保障される死刑囚の方が、私もいいですね。

 金満家さん

 無計画な凶悪犯罪の代表格といえば女子高生コンクリート詰め殺人があげられますが、分別ある大人が起こした事件でここまで計画が杜撰かつ凶悪だった事件は他にないでしょうね。吊るすことは「あり得る」事案とはいえますね。

 ミトラさん

 調べていくと、この闇サイト事件以降もネットで共犯者を募るケースは多数起きていますね。

 闇サイトの運営者を罪に問う法律は今のところないようです。ひと昔前なら、見ず知らずの人間が知り合うような機会はイベント会場など限定されており、相互監視が行き届いていました。今は便利な世の中になって人が集まることが容易になり、こういう犯罪は多発していくでしょうね。どれだけリスクも大きいといっても、もう昔の世の中には戻れないですし・・・。

 L,wさん

 私の想像ですが、被害者遺族を目立ちたがりという人は、案外同じ口で犯罪者にも凄い残酷なことを言っていると思うんですよね。卵をぶつけてみたりとか。ようするに言うこともやることも考えることもあまりに「軽い」。本件の犯人のような本物の悪党というよりは、そんな感じの思慮が浅はかな人たちのような気がします。

 戦時下で拷問を嬉々として行う兵士のように、ただ残虐性について麻痺するだけというのであれば問題ですが、どの行為がどれだけ残虐で、どういけないのか。どう取り締まらなくてはいけないのか、どうストップをかけるかということまでしっかり考えられるようであればむしろ有益なことです。体育会系のリンチとかだって、それを残虐と認識していないからやっちゃうわけですし、基本的には知らない、知ろうともしないのが最大の愚であり、知ったらただ知るだけでなく、深く考えることが重要ですよね。

私の考えではこの事件は被害者が一人で計画性が無いので神田、堀が無期、川岸が有期刑が妥当だと思うけど甘いですかね。
堀みたいなバカがよく過去に強盗殺人犯し長期間バレなかったですね。
本音を言うと罪が重くなり反省したフリをすると軽くなるのは問題ですね。
それに被害者遺族の感情で刑の重さが決まるのもの問題だと思います。
人を殺したら国に代わりに復讐してもらうみたいな感じで最近判決が厳しくなっている様な気がします。
東大阪集団暴行殺人事件の小林竜司などがいい例ですね。

No title

まっちゃんさん

>神田堀無期、川岸有期刑

 そんな感じの判決でもおかしくはないですよね。80年代だったらそんなもんだったでしょう。遺族感情も大事ですけど、それで厳罰化が押し進められるのは仇討ち制度の復活ですから、ここら辺でいったん冷静になったほうがいいと思いますよね。

 この記事を書いた当時はまだ整理し切れていなかったようですが、反省したフリを見せたことで罪が軽くなるのは問題ですよね。犯人が心にもない反省の手紙を被害者に送ったりするのも無意味で、後後のこと考えればむしろ遺族の気持ちを逆なでするだけなので、反省の態度を刑罰に反映させるのは辞めた方がいいです。

プロフィール

津島 博行

Author:津島 博行
1987年4月3日生 男性
相互リンク歓迎します。

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