犯罪者名鑑 闇サイト殺人事件 2

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  殺害事件前夜~事務所荒らし 

 磯谷利恵さん殺害事件の前夜、川岸と本堂は、名古屋市内の事務所荒らしを決行します。四人が集合する前、「カノンちゃん」と会ったときには神田と掘の二人でしたが、このにわか犯罪集団を結成した四人は、出会いから逮捕までの間、常に行動を共にしていたわけではありません。四人のうち神田と堀の自宅は名古屋市内にあり、夜はそれぞれ自宅に帰っていました。ある程度バラバラに行動していた時間帯は多かったようです。

 ただ、パシリの本堂くんはホテルに泊まるカネもなかったのか、川岸のバンの中で寝泊まりをしていたようで、どちらの発案かはわかりませんが、磯谷利恵さん殺害事件の前日は、二人で事務所荒らしに入ろうという話になったようです。

 しかし、この事務所荒らしの計画、ドアを破ったまではよかったものの、結局そこまでが限界で、建造物侵入未遂に終わってしまいます。物音にビビったのか、機械警備が発報したのか、川岸が突然逃げ出し、薄情にもパシリの本堂くんを置いて、バンで逃げ去ってしまったのです。川岸も本堂も、犯罪に関してはまるで素人だったことを証明していますが、お金もなく、雨風を凌げる寝床も失って、土地勘のない場所に放り出された本堂クンは限界を悟り、警察に自首する道を選びました。

 哀れなことに、本堂クンはこのとき、所持金が二百円しかありませんでした。このことはスルーされるか、ただの笑い話として済まされているのが殆どのようですが、この社会に生きる我々は、稼働年齢にある男性ひとりの所持金が二百円にまで減ってしまうという現実を、もっと重く受け止めなければいけません。本堂クンは覚せい剤使用の前科があり、そういう如何わしい物にお金を遣ってしまったということも考えられますが、決めつけることはできません。

 川岸健治は、闇サイトに「派遣で働いていたが、給料は安すぎ、仕事はキツくて、働くのがバカバカしい」という書き込みを行っていました。神田司は、犯行直前まで朝日新聞の専売所で働いていました。社会にロクな仕事がなく、必ずしも勤労意欲がないわけではない人が、結果として経済的困窮者となってしまうのが、今の世の中です。

 この犯罪は怨恨や快楽ではなく(強姦未遂もあったが、副次的なもの)、金品を目的として行われたものでした。規制緩和により労働者の非正規化が押し進められ、底辺は殆どの場合一生、底辺として据え置かれてしまう何の希望もない世の中でなければ、もしかしたら、磯谷利恵さんの命は奪われることはなかったのではないか?こういう社会的な背景まで考えなければ、事件の考察をしたとはいえないでしょう。

 事件の凶悪さを批判するだけでは、今後の犯罪の抑止には何も役に立ちません。闇サイト事件を扱ったほとんどのサイトは、犯人を「クズ」と罵るだけで終始しているだけのものが目立ちますが、それでは、罵った本人の自己満足にしかなっていません。犯人の目線に立って事件を考えてみるということが、事件の考察には重要なことです。

 さて、逮捕された本堂クンは、警察にすべてを話し、闇サイトで三人と出会い、犯罪計画を練っていたことも打ち明けたのですが、警察はすぐに動くことはありませんでした。本堂クンも含め、犯行メンバーはそれぞれ偽名を名乗っており、携帯の番号以外に本堂クンが知っていることはなかった(バンのナンバーも知らなかった?)こと、また、この時点で場所が特定されるような犯行計画はなかったこと、などを考えれば、それほど強く警察を責めることはできないでしょう。ただ、犯行を未然に防ぐ大きなチャンスであったことは間違いありません。

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 磯谷利恵さん強盗殺人事件 

 本堂クンが捕まった翌日、それまで通りに集合した四人は、今後の計画について話し合います。といっても、すでに所持金も残り少なかったのでしょう。ここでいよいよ、「夜、一人で歩いている女性を襲い、金品を強奪する」計画を実行に移すことを決定します。飢えた猛獣のような男たちが、ついにその牙を剥きだしにしたのです。
  
 八月二十四日、午後十時ごろ、男たちを乗せたバンは、名古屋市千草区自由が丘の住宅街をうろついていました。一応、まったくの当てずっぽうではなく、「三十歳前後のOL風で、ブランド物などは身に着けていない、質素な女」を狙うと決めていたようです。神田によれば、そういう恰好をした女は、堅実で貯金をため込んでいる可能性が高いのだとか。本当にそうなのか知りませんが、不幸にも男たちの狙い通りの恰好で歩いていたのが、事件の被害者、磯谷利恵さんでした。

 男たちは磯谷さんに狙いを定めると、バンでゆっくり近づき、道を尋ねるふりをして、磯谷さんをバンの後部座席に引きずり込みます。神田が磯谷さんに刃渡り20センチの包丁を突き付け、まず動きを封じた後、堀が手錠をかけ、監禁した状態で、岐阜県内の山中へと向かいます。

 三人は磯谷さんに、キャッシュカードの暗証番号を吐かせようと脅迫します。そして、番号を聞き出すことに成功すると、すぐさま磯谷さんの殺害を決断します。「顔を見られたから」というのがその理由だそうですが、彼らにはマスクを被るなどして顔を隠してから犯行に及ぶ知恵はなかったのでしょうか。奪った後殺すことを最初から決めていたならわかりますが、これが川岸の言う「勢い、流れ」による結果だとしたら、あまりの稚拙さに飽きれるほどです。この世で本当に怖いのは、極力リスクを避けようとする犯罪のプロではなく、専門的なノウハウを持たない素人の集団ということが言えるかもしれません。

 磯谷さんを殺すことを決意すると、ただ殺すのでは勿体ないとばかりに、川岸が磯谷さんを強姦しようとします。神田に、「川岸の頭は性欲いっぱいの猿みたいだな」などと茶化されながらも、川岸は磯谷さんを襲おうとしましたが、夏の暑いさなかに何日も車内泊が続き、文字通り獣のような体臭がしていたという川岸に犯されそうになった磯谷さんの恐怖は、想像することもできません。ただ、結局この強姦は、磯谷さんに「彼氏がいるからやめて」と頑強に抵抗されたおかげで未遂に終わりました。女といえども、死ぬ気で暴れる人間を取り押さえるというのは、案外に難しいことらしいです。そのうちに、「体内に証拠が残るからやめろ」などと堀にもなだめられ、川岸は強姦を諦めました。不幸中の幸いといったところでしょうか。

 しかし、これで磯谷さんが殺されることは決まってしまいました。三人は磯谷さんの頭にビニール袋を被せ、粘着テープで身体をぐるぐる巻きにします。そのうえで、ハンマーで磯谷さんの頭部を殴打しました。誤解を恐れずにいえば、こうとなっては、あとはできるだけ楽に死ぬことを望むしかありません。しかし、磯谷さんは中々死なず、打擲はなんと、50回以上にも及びました。

 どれほど殴っても、「殺すのはやめて」と命乞いを繰り返す磯谷さんに、鬼畜のような男たちも恐怖を覚えたことでしょう。最後には、ビニール紐で磯谷さんの首を絞め、絞殺しました。せめてこちらが先だったらということが無念でなりませんが、素人集団に狙われた不幸でしょうか。

 こうして磯谷さんを殺害した三人は、喜び勇んで、コンビニのATMに向かいます。ATMにカメラ機能が設置されていることも知らなかったようですが、磯谷さんの貯金だけでも引き出せていたら、数か月くらいは生活できていたかもしれません。しかし、なんということか、磯谷さんから吐き出させたキャッシュカードの番号では、お金を引き出すことはできなかったのです。

 磯谷さんが三人に教えた番号は、2960(ニクムワ)――語呂合わせが得意だったという磯谷さんが、男たちに報いた最後の一矢でした。磯谷利恵さんのお母さん、富美子さんは、正直に番号を吐いたところで殺害されることがわかっていた磯谷さんが、むざむざお金まで奪われるよりは、と考えたのだろう・・・と語っていますが、狭い車内に監禁され、刃物まで突きつけられた状況で、敢えて嘘の番号を教えるというのは、すさまじい胆力としか言いようがありません。人間が極限状況に追い詰められると、男より女のほうが強いというのは、本当かもしれません。

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 逮捕

 男たちが人を殺してまで奪ったのは、結局、磯谷さんの財布に入っていた、わずか6万円あまりの現金のみでした。とても割に合っているとはいえません。士気が下がった状態で、穴を掘る気力もなかったのでしょう。磯谷さんの遺体は発見当時、下半身にわずかな土が被さっているのみだったといいます。

 犯行後、三人は、名古屋に戻って、同じ手口の犯罪をもう一度行うことを誓い合います。パチンコで負けた人が、五万吸い込まれるも十万吸い込まれるのも一緒とますますのめり込んでいくように、一人殺すも二人殺すも同じことだと考えたのでしょう。

 その晩は解散となりましたが、この後川岸が心変わりし、警察に自首をします。二人殺せば、死刑は確実――死の恐怖に怯えた男は、言いだしっぺでありながら、自身の告白によって、事件に幕を閉じました。川岸の供述によって、自宅の住所を押さえられた神田、堀が相次いで逮捕。こうして、第二の悲劇は起こることなく、悪魔のような三人は、獄中に繋がれる身となったのです。
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無知故の犯罪ですね。ズッコケ三人組がここまで凶悪化するとは…。

しかしこの女性も凄いですね。殺される間際に嘘の暗証番号を教えるとは…。ズッコケ三人組が冷静なら暗証番号を確認しに行きそうなものですが、彼等の頭に冷静な思考は無かったのでしょうね。

あとハンマー50回殴打というのも酷いです。素人考えでもハンマーで人を殺すのは難しいと考えつきそうなものですね。

闇サイト編はこれで終わりですか? よく見ると新作小説はこの事件と似た様な導入を感じますね。両方とも更新楽しみにしています。

No title

本当に凶悪な事件ですね。
本堂クンが自首した時に他のメンバーが逮捕されていたら事件は起こらなかったと思うとやりきれないですね。
貧困が凶悪犯罪に繋がるということはあり得ることですよね。
裕福な人達は金銭を得るために犯罪をしようなどとは露ほども思わないでしょうからね。
格差が広がることにより自暴自棄になる人が増えることはとても恐ろしいことです。

No title

 金満家さん

 金を引き出す前に殺したことといい、殴っても中々死なず、血が飛び散ったことを見て慌てて絞殺に変えたりと、色々稚拙な点が目立つんですよね。三人の中で堀は二件の強盗殺人、殺人未遂の経験があるにも関わらずこの体たらくはどういうことなのかと思います。まあ、俗にいう「前科百犯」「懲役太郎」という人たちも、成長がまったくないから何度も捕まるわけで、犯罪もセンスがなきゃ何回やってもダメってことですかね。

 闇サイトはあと一回、裁判編をやって終わりです。新作小説はこの事件をモチーフに考えています。

seaskyさん

 本堂クン逮捕の時点で川岸だけでも逮捕するチャンスはあったんですけどね。まあそれから事件が起こるまでたった一日ですから、警察を責めるのはさすがに酷でしょうけどね。

 庶民が裕福だった時代にも金目的の犯罪は起きていますけど、だからといって今の酷い社会情勢を放置していい理由にはなりません。最近はホームレス状態にある人が、万引きなどの小犯罪をわざと行って、自分から刑務所に入るケースが増えており、刑務所が過剰収容になりつつあります。

 闇サイト自体もまだ健在ですし、あれからlineなど、可視化できないSNSが増えています。第二、第三の闇サイト事件が起きるのも時間の問題でしょうね。

 

 

昔、同じ職場の女の人から
収入が少ないのに分不相応な高そうな服を着ている
みたいなことを言われたことがある
実際にはいわゆるハイブランドの服は着たことはないし、その時の服も手持ちの中では高い程度だった
しかし堅実で質素に見える服装の人はこういう被害にあうこともあるわけで
あの時無理して服装を変えなくてよかったと今となっては思う
ちなみにその女の人達はよく痴漢にあうという話もしていたが
自分はほとんどあったことがない
しかし就職面接の時
接客業はほとんど不採用だった
他人の受けが悪い服装は防犯効果はある程度期待できるが
就職には不利だったようだ

No title

MSKSさん

派手な女よりは質素な女が狙われやすいのは確かにあると思いますね。いくら諸外国に比べて日本の治安はいいとはいえ女が夜中一人で歩くのは警戒したほうがいいでしょう。防犯ブザーひとつ持ってるだけで大分違うとは思います。

世の中には弱者として見られる立場をいいことに、逆にそれを利用して男叩きに走る女がいますけど、そういう女に限って自分の防犯意識が低い印象ですね。男を叩けば自分は安全だと信じているようです。本件の被害者がそうだと言っているわけではまったくありませんが…。

本当にしっかりしている人は、表向き男を信頼していることを言いながら、黙って防御してるもんです。

残虐な事件に発展した元凶が、犯行側の杜撰な計画性だったというのが皮肉ですよね。強姦を視野に入れていたのも犯人達の思考の弱さを物語っていますよね。

No title

 ミトラさん

 やっぱり一番怖いのは、自分たちの行動の結果の予測が立てられないこういう素人の犯罪集団ですね。ヤクザなんかは接し方を間違えなければそこまで危険ではないと思います。どっちも関わらないのが一番ですが。

「3人寄れば文殊の知恵」ってわけですね。


個人と環境を切り離して論じるのは無意味ですが、案外それをやっている人が多いようですね。


個人と社会の共犯可能性を考える上で、先に社会の方に絶対的位相を設け過ぎてもよくありませんが、つまる所、引き金になるのはそういった要因でしょう。


No title

LWさん

 バカが三人集まってもっとバカになってしまった例ですね。バカはバカでも、指揮命令系統を一つにしておけばもうちょっとまともな結果になったかとは思いますが・・。それぞれが勝手なことをやりだしたらもう「勢い、流れ」になっちゃうでしょうね。

 他のサイトは犯人の立場になって考えてみるという姿勢が欠け過ぎている印象はありましたね。まあ個人のサイトなんで書き方は自由なんですが、どうも犯人をただこき下ろして満足したいだけが理由かのような記述が目立ちました・・・。

本当にバカな犯罪集団ですね。まず殺す前に暗証番号確認するでしょうね。だいたい防犯カメラなどは気にしていたのでしょうか?
強姦に関して証拠が残るからやめろとか殺すつもりなら死体が発見されない様にするのが普通だから関係無いと思うけど…
これだけの犯罪犯したった六万とは情け無いですね。
川岸が自首しなければさらなる悲劇が起きたのでしょう。川岸は死刑をビビって自首するくらいなら最初からやるなと言いたいですね。
本堂は事務所荒らしの時におき去りにされ結果論ですが良かったですね。

No title

まっちゃんさん

 被害者も遣り切れないでしょうが、加害者も人を殺して六万じゃやってられないですよね。彼らも殺すんだったら、もっと相応しい人間がいただろうに・・・。なんというか、自分の人生に”誇り”がないとこういうことになるんですかね。それこそ逆恨みでもいいから、恨みのある奴を殺さないと、一生後悔するだけでしょう。

 やはり取りあえず集まれたことで、気持ちばかり大きくなってしまったのかもしれません。行き当たりばったりじゃ、誰がやってもこんなもんでしょう。どう考えても割りに合わない犯罪ですが、今だに少額の現金を奪うために稚拙な犯罪を起こす人はたくさんいます。追い詰められるプレッシャーが冷静な判断力を奪い去ってしまうのでしょう。生活費のために借金しだしたら終わりですね・・・。
プロフィール

津島 博行

Author:津島 博行
1987年4月3日生 男性
相互リンク歓迎します。

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