犯罪者名鑑 闇サイト殺人事件 1

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 出会い 写真:川岸健治


――――なにか裏の仕事ないか。

 すべての発端となったのは、ホームページ「闇の職業安定所」に書き込まれた、犯人の一人、川岸健治の書き込みでした。これに対し、住まいの近かった三人の男が反応します。はじめに川岸、堀、本堂が愛知県内のファミリーレストランで顔を合わせ、その後、鳴海のツタヤの駐車場にて、はじめて四人が集合しました。

 言いだしっぺの川岸健治は、犯行当時40歳。結婚して4人の子供がおり、元々は警備員やトラック運転手の仕事をしていましたが、借金苦で生活が立ち行かなくなり、離婚。犯行当時はミニバンでの車上生活を送っていました。

 判決で死刑を受けた神田司は、犯行当時36歳。幼いころに両親が離婚、父親に引き取られるのですが、家は貧しく、父親は慢性的な頭痛を抱えていた神田を病院にも連れて行かず、放って置いていました。そんな経緯からか、少年時代から非行を繰り返すようになり、一時は暴力団にも所属。薬物で逮捕されたこともありました。様々な職を転々とし、犯行当時は朝日新聞の拡張員として働いていましたが、給料は安く借金苦に陥り、闇の職業安定所を利用するようになっていました。

 堀慶末は犯行当時32歳。高校中退後、外壁工事などの仕事をしていましたが、犯行当時は無職。直前まで女のヒモ暮らしをしていましたが、その女性や、その他知人らに計400万あまりの借金を抱えている状態でした。当初はもっとも地味な扱いでしたが、実はこの男が一番とんでもない男で、無期懲役確定後の2012年に、1998年に起きた強盗殺人の容疑で再逮捕されています。殺害された男性が経営していたパチンコ店の常連客が堀で、当時の掘の住所は現場のすぐ近くにあったということです。

 そして、知らない人も多いと思うのですが、この事件には「第4の男」が存在していました。本堂裕一郎、犯行当時29歳。ただ彼は、最初の出会いの直後に行われた事務所荒らしの時点でグループを抜けて自首しており、磯谷利恵さん強盗殺人には加わりませんでした。覚せい剤使用の罪で執行猶予中の身であり、神田によれば「足りないヤツ」だったそうで、根っからのパシリ体質らしく、他の三人からは始終バカにされていたようで、そのことがグループからいち早くぬけた原因の一つだったのかもしれません。

 かくして、お互いに顔も名前も知らない四人が、ネットを通じて俄か犯罪集団を結成したわけですが、言いだしっぺの川岸健治には、当初なんのアイデアもなく、四人はまず、どんな犯罪をして金を得るかということから話し合います。この「ノープラン」というのが、結局事件があそこまで大きくなった要因でした。

 後に川岸健治は、テレビ局の取材に対して「あの事件は勢いと流れ。たとえば、甲子園初出場のチームが一回戦に勝って、一気に決勝までいっちゃった。そんな感じ」などと語ったのですが、これは事件の本質をよく表しているといえます。この後の四人の動きを見ると、まったく計画性というものに欠け、まさにお互いが虚勢を張り合い、引くに引けなくなった結果の「流れ、勢い」としか思えないところがあります。堀慶末には強盗殺人の前科の疑いがありますが、そもそも彼らが犯罪のプロであったとはとても思えません。四人はそれぞれ金銭的に追い詰められており、入念な計画を練る余裕がなかったともいえますが、それにしても大の男が四人も集まってこの程度の知恵しかなかったのかと思えるほど、これから紹介する事件の内容は稚拙なものでした。

 この事件、強盗でいくら奪うとか、詐欺でいくら奪うとか、誰かが初めから明確なゴールを決めていれば、最終的に人の命が奪われることはなかったと、私は思います。まさに川岸の言う甲子園の初出場チームと同じように、「自分たちに、どれだけのことができるかわからない」素人同然の集団が、ろくに計画も立てずに勢いで犯行に臨んでしまった結果、人の命まで奪われる惨劇へと発展してしまった、そのような事件だったと思います。

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 序章・カノンちゃん  写真:神田司

 
 最初の犯行?は、四人が集合する前、神田と堀がまず二人で落ち合い、川岸と本堂を待っているときに行われました。出会い系サイトを利用して人妻を呼び出し、性行為に及んだのちに写真を撮り、「旦那に見せるぞ!」などと脅してお金を取ろうというものです。

 その犯行?は、未遂に終わりました。神田によると、待ち合わせ場所に現れた、HNカノンなる女性はとんでもない「チビデブ・ブサイク」だったということです。お金を脅し取る目的でも抱けない「チビデブ・ブサイク」とはいったいどれほどの容姿だったのか、逆に気になるところです。

「カノンと合流後、堀がレイプして写真を撮り、旦那に見せるぞと脅す段取りを計画した。これも金になるぞっと。携帯電話で待ち合わせ場所に誘導、その女性カノンが来た時、なんと!チビデブ・ブサイクだった。自転車で来やがって、汗臭くて、こりゃダメだ。彼女がコンビニに買い物に入った隙に、すかさずにトンズラ。大ハズレだ。」

 神田が交際女性にあてた手記からの抜粋ですが、もしもこの人妻が、神田らの好みというほどでなくとも、せめて抱けるくらいの容姿であり、彼女からお金を巻き上げられていたら、のちの悲惨な事件は起こらなかったのか?それは、誰にもわかりません・・・・。

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 彷徨う男たち 写真:堀慶末

 
 さて、四人が無事に集まったはいいものの、先ほども書いたように、彼らはてんでノープランでした。まず、川岸が一年前、派遣会社に勤めていた際、寮の自室に送られてきた(前の入居者のものか?)という他人名義のクレジットカードで買い物をしようという話になりました。まず、パシリの本堂を使って、試しにコンビニで食料品を買わせたところ、「生きてる」ことが判明。それで18金のネックレスでも買って換金しようと、ミニバンの車内は大いに盛り上がりましたが、どうも限度額はさっきの買い物でいっぱいになってしまっていたようで、18金のネックレスは購入できなかったようです。

 次に、当面のアジトを確保しようと、彼らの共通の知人が紹介した空き部屋に向かいますが、その住所には建物はなく、情報は嘘だったと判明。ガセネタを流した知人を追い込み、「今はカネは払えないが、あとで払うから許して」という言葉を引き出しますが、問題なのは今、現在であり、後でカネを払ういう約束を取り付けただけでは、何の前進にもなりません。

 続いて一行は、堀の提案に従い、堀の行きつけであるダーツカフェを襲撃に向かいますが、立地条件や店内の状況から、堀の目算と違って犯行は難しいだろうという意見が出て、「やる、やらない」といった押し問答の末、結局「やらない」という結論に達します。

 途方にくれた車内では、パシリの本堂くんが、「二日間も動いているのに金が手に入ってない。住むところがない」とブツクサ文句を言い始め、三人は苛立っていきます。我慢できなくなった神田が、

『じゃ、今すぐにここら辺歩いてる人襲う?すぐに金が欲しいんだろ!付き合ってやるから誰彼構わず"強盗"しようよ!』

 と提案すると、本堂クンは途端に弱気になり「いやーできません」とペコリと頭を下げます。

 何か、粋がっているだけで大きなことは何もできない中学生のヤンキー集団を見ているようで、少し微笑ましい気もしますが、彼らは立派な大人です。いざとなったらパパとママのおうちに帰ればいい中学生と違い、寄る辺もなく、後がありません。黙っていても人間腹が減り、金はなくなっていきます。「やる、やらない」で迷っていられるのは、いくらかは余裕があるときだけです。

 神田は後に、このとき何気なく出た自分の一言が、「いざとなったら、誰彼かまわず襲う」というビジョンを、四人の共通認識にしたのではないか、という推論を語っています。まさにこのときから、四人は磯谷利恵さん殺害へと向かっていったのです。
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No title

この事件はテレビの報道で見たことがありものすごく怖かった記憶がありますね。
第4の男がいたとは知りませんでした。
3人組の犯行として扱われていた事件でしたのであまり知られていない事実ではないでしょうか。
4人組の中でリーダーのようなまとめ役がいないうえにどういうことをするのか何も考えていないというのは誰かが考えてくれるというような気持ちもあったでしょうね。
最初に計画していたものの人妻の容姿を見て逃げ出すというのは人妻ではなかった可能性大ですね。

No title

Seaskyさん

確かにリーダー不在というのは痛かったでしょうね。いざというとき歯止めをかけてくれる人がいないのでは暴走は必然であったでしょう。

出会い系では私もとんでもないのに会ったことありました。しかも私に飯をおごらせておきながら、話途中に寝やがって。ただ出会えるだけでも当たりなんですけどね。それくらい出会うまでが大変です。一番最初に17さいの優しい子に出会えたときで、私の出会い系運は使い果たしていたようです。

素晴らしいリサーチですね。驚いた、4人目がいたとは知りませんでした。コンビニコミックなんかもそのくらい気合いの入ったリサーチのもと描いて欲しいものです。


アホは単体でも怖いですが、集合すると更に怖い、という典型とでも申しましょうか?


なんか、滑稽を旨とする文学作品のような印象を受けます。

No title

L,wさん

 この事件は磯谷利恵さん殺害事件ばかりが紹介されてますけど、それに至るまでの経緯って結構重要だと思うんですけどあまり紹介されてないですよね。

 堀慶末などは二件の前科があり厳密にいえば素人ではないですし、神田や川岸の手紙や発言など見るとけして知能が低いわけではなさそうなんですけどね・・・。事件の顛末のあまりの稚拙さをみると、追い詰められて思考力が低下していたのか、リーダー不在により他者に依存する思考になってしまったのか・・・当人たちにもっと詳しく話を聞いてみたいとこrです。


こんな事件あったんですね…初めて知りました。忘れてるだけかも知れませんが。
今の段階だと凶悪犯罪者というよりもズッコケ3人組という感じですね。これから彼等がどんな凶悪犯罪者になって行くのか楽しみです。
しかし津島さんの犯罪者名鑑はかなり深い所まで突っ込んで書いてますね、ネットとかで調べて書いてるんですか?

No title

 金満家さん

 ズッコケ三人組とは言い得て妙ですw
 犯罪史上でもかなり凶悪な部類なんですけど、前半部分だけを見るとちょっと憎めないところもあります。

 意外にも資料が少なく、情報源はほとんどネットでしたね。神田の手記が見つかったので詳細を調べられました。

この事件に第四の男がいたとは知らなかったですね。本堂と言うのですか?
この男は結果論ですがいち早く抜けて運が良かったですね。
私も出会い系でとんでもないブサイクな女と会った事が有ります。もちろんトンズラこきましたね。
しかしいざとなったら誰構わず襲うなんてとんでもないバカですね。捕まった時のこと考えていなかったのでしょうか?
やはりバカが何人集まっても余計にひどくなるだけですね。

No title

まっちゃんさん

 久々に記事を読み返す機会になりました、ありがとうございます。

 本堂くんが更生できていればいいんですが、身寄りもないようですと厳しいでしょうね・・・。薬物は抜けられないですよ。中学生のヤンキーが気が大きくなって大胆な行動に走ってしまうのと同じだったんでしょうけどね・・・。彼らにしたら、このまま娑婆で野たれ死ぬのも、死刑になるのも一緒だったんでしょう。哀れではあります。
プロフィール

津島 博行

Author:津島 博行
1987年4月3日生 男性
相互リンク歓迎します。

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