私小説の続き2 貯金使い果たし バイト再開

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私の人生について続きを書いていきます。

 晴れて禁煙を達成し、免許を取得した私ですが、その後が続きませんでした。私小説の中で、裏稼業をして稼ごうとしていたことを書きましたが、実際、具体的なノウハウなどは何もありませんでした。その筋の知り合いがいるわけでもありません。最初から土台無理だったわけですが、バカな私は気分だけでもその気になろうと、スタンガンや催涙スプレーなどの防犯グッズ、またトバシの携帯などを、ネットで知り合った人物から買ってしまいました。

 また、依頼が来た時には仕事を確実にこなそうと、ADHDの唯一の特効薬、リタリンを購入していました。リタリンはアメリカではADHDにも処方される薬ですが、覚せい剤に含まれる成分があり、鼻の粘膜から摂取するなど、摂取方法によっては依存性があることから、日本ではナルコレプシーという睡眠障害のある人にしか処方されません。私が購入した時は、二十錠で五万という値段だったのですが、これは闇医者から購入した場合の相場に近く、売人から買うときは百錠で五万程度で入手できるそうです。ようするに吹っかけられたわけで、こんな甘ちゃん、アホが裏社会で通用するわけがないのです。

 アホなうえに無能な私は、裏稼業の宣伝のためのホームページひとつつくることもできませんでした。警察にはネットの犯罪を取り締まるサイバー科という部署があり、ホームページなどを作っても、自分から警察に捕まえてくださいと言っているようなもので、ようするに世界中にバカを晒しているだけなのですが、当時の私にはそんなこともわかりませんでした。ただ、無能が幸いしてホームページ作りに苦慮している間に、私は裏稼業に手を染めることを思いとどまることができました。自分の今の立場が案外と恵まれていることに気が付き、逮捕などされてこの環境を失うことが怖くなったのです。

 父親はゼネコンの社員、母は薬剤師の私の家庭の経済力は、日本人の平均から見て、中の中といったところにあると思われます。稼ぎ頭の父親はバブル世代の少し前ですが、派手に遊ばず、むしろ吝嗇でしたから、家に入ってくるお金は中の中よりもう少しあったかもしれません。

 ようするに、二十二の息子が学校に入りたいといえば、その学費と学校に通っている間の小遣いくらいは出してくれる余地はあるということです。私はこのときから、専門学校――以前のような、先行きの保証がない映画の専門学校ではなく、きちんと地に足を付けた、実のある資格を取れる学校に通うことを、近い将来の目標に定めるようになりました。

 しかし、そう考え始めたときにはすでに年度が変わってしまっており、すぐの入学は叶わない状況でした。入学にはあと一年余りの猶予があります。バカな私は、トバシの携帯や薬などのくだらないもを買ったり、お菓子などを買っているうちに、二月の頭に免許を取得した時点でまだ45万ほど残っていた貯金を、四月の終わりにはほとんど使い果たしてしまっていました。お金がなくては行動範囲は大幅に制限され、電車に乗って繁華街に出かけることもできません。そこで私は、あれほど嫌っていた底辺バイトの世界に、再び足を踏み入れることにしました。

 選んだのは牛丼屋。とくに有名な三店の中で、唯一食券制度を採用しているお店です。全メニューに味噌汁がついてくるお店です。面倒くさいから特定します、松屋です。

 食券制度に関しては、強盗に何度も入られているすき家でこそ採用するべきではないかとそこかしこで言われていますね。すき家側では、「お客様との触れ合いが云々」と語っていますが、強盗が出るかもしれない怖い店で、客と店員の触れ合いも糞もあったものではありません。そもそもワンオペで死ぬ思いをしている店員に、触れ合いの強要をさせるのは申し訳ない気持ちになってしまいます。一番信憑性があるのは、頻繁なメニュー変更に対応するコストと手間を惜しんでいるというものです。多分それが真相でしょう。

 さて、食券制度を採用していること、深夜勤務は必ず二名以上の体制で行っていることから、すき家よりもマシと見られている松屋ですが、実際のところどうだったのかをこれから語っていきます。

 私が勤めていたのは、横浜市にある関東最大の高層ビルの近く、警備員時代の職場からも歩いて二十分ほどの場所にあるお店でした。警備の経験もあり、私は深夜勤を希望したのですが、店長からは、はじめは夕方の勤務を命ぜられました。深夜勤のメインは掃除、片づけということになるのですが、接客、調理も当然のごとくあります。しかし、深夜は客が少ないため、まずは最も掻き入れ時のゴールデンタイムに入って、基本の調理、接客を覚えてほしいということです。エネルギー問題や労働の長時間化という観点からいえば深夜営業の是非も問題にしなくてはならないところですが、それはさておき、店長の話す理屈自体は筋が通っていますから、私は納得しました。

 しかし、私は早くも挫折を味わいます。まず、伊勢佐木屋警備隊のぬるい勤務に慣れきった私には、仕事中ずっと立ちっぱなし、動きっぱなしで、頭の回転と手先の器用さを要求される飲食の仕事はあまりにもハードでした。ミスを繰り返す私に、店長らは怒ったりはしなかったのですが、爆発寸前にはなっていたでしょう。

 人間関係では、ベテランのおばちゃん連中は陰険そうな雰囲気は苦手でしたが、特にぶつかることはありませんでした。また、土地柄から中国の留学生が何人かいたのですが、彼らは皆気さくで、拙い日本語で、仕事も熱心に教えてくれました。「反日教育」なんて本当にあるのか?とこのときは思ったくらいです。

 厄介だったのは、若い女子社員との勤務でした。二十四、五で、当時の私より少し上くらいだったと思うのですが、彼女と勤務するとき、私はいつも惨めな気持ちになったのです。今からすれば、ブラック飲食の正社員など、よほど好きでやっているわけでもない限り、ライフワークバランスの観点からいえば底辺フリーターとそう変わるものでもないとも思えますが、当時、正社員という肩書だけで崇高なものと考えてしまっていた私からすれば、歳のそう変わらない女性から常に見下されているように感じられ、惨めな気持ちになったのです。

 特にひどかったのは、現役の大学生バイトと、彼女が談笑しているのを見てしまったときでした。何かフリーターの私が蚊帳の外に置かれているようで、なんとも肩身が狭い思いがしたのです。彼女はさして美人ではなく、寸胴のおっかさん体型の、どこにでもいる普通ランクの女性だったのですが、常連の読者様は知ってのとおり、むしろそうした容姿レベルの女性が、自分より社会的地位やルックスが上の男と仲良くしていると強く嫉妬を感じる性格なのが私という男です。「ほかにいくららでもいい女をゲットできるのに、俺の獲物を持っていくな!」という感覚なんですよね。

 ただ、私とて、もう一年経てば専門学校に入り直し、正社員を目指して勉強しようという男です。そのときは「今に見てろ」といったもので、今はとにかくこの苦痛から早くのがれ、とりあえずは同じ底辺フリーターに囲まれて惨めな思いをしなくてすむ深夜勤に移り、じっくりと希望ある世界に飛び立つ日に備えようと誓う気概を持っていました。
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No title

よく人が苦手な人やコミュ障の人は接客業をしなさいという意見がありますがあれはどうなんでしょうかね。
もちろん人によっては上手くいく場合もあると思いますが重度の対人恐怖の人には逆効果になってしまうと思います。
長期の引きこもりの人がいきなり接客をやるのは体力面と精神面にかなりのダメージを受けてしまうのでいきなりは危ないと思いますね。

No title

Seaskyさん

間違いなく逆効果でしょうね。

日本人は長所を伸ばす育てかたより短所を潰す育てかたを好みますからね。小さいころからそうやって育てられているので、世界に通用する突出した人材が育たず、画一的で面白味のない人材ばかりになります。そして組織は、突出した個性が現れると往々にしてそれを潰しにかかります。

国際競争力以前の問題ですね。

引きこもりに水をぶっかけて外に追い出そうとする動画とか戸塚ヨットとかありますけど、あんなことばっかやるまえに、社会のほうが先に変わらないといけないのがまだわからないのですかねえ…。

私小説の続きはかなり自伝的な色が濃いので、そこにコメントをするということは、津島さんという一個人に対しての意見を述べるみたいな形になってしまうかもしれませんが、その点は如何でしょう?


批判される事を好む人間などそういないでしょう。

小説は、その小説を書いた人物の思想の写像であると言っても過言ではないので、小説を批判されるというのは不快な事でしょう。


私も、私の思想を批判する者と相対して生きております。それは単純な不快感も伴いますし、辟易とします。大概の場合、相手の言い分など既に百も承知、耳にタコが出来るというやつです。


ああ、その手の反論ね、解った解った、先に答え言おうか?

みたいに思うのですが、それが意外と労力のいる事で、聞く耳を持たぬ相手や、他人の助言で持論を曲げたくないような相手には通用しません。


まあ僕は、基本的に批判的なコメントをする気はありません。

No title

L,wさん

 私の持論に関しての意見述べてくださって結構ですよ。それこそをお待ちしているのです。

 なんだろう、作品についての批判は不愉快なんですけど、自分自身の持論を批判されてもそんなに抵抗はないんですよね。私は別に自分が正しいとは思っていないですし、自分のこと好きじゃありませんから。

 ただ、読者さんの持論で「私を染めようとする、私を変えようとする」意志が顕著な意見は、もの凄く不快なんですよね。それを「説教」と言ってるんですが、なんでそんな偉そうなことができるんだろう、何様のつもりなんだろう、といつも不思議に思うんですよ。これをやってくる人のほとんどは、私のサイトに一回もコメントしたことがない人ですね。まあ、説教されたとしても、その後も懲りずに私のサイトを読んでくれ、定期的にコメントをしてくれるようなら大歓迎なのですけどね。私もそこまで器が小さい男ではありません。来る者拒まずです。しかし、説教した後、私のサイトの常連さんになってくれた例はほとんどありませんでした。大層なことを言っているようで、結局無責任な人たちってことです。

 まあぶっちゃけ、この私小説の続きに関しては、コメント来ないようならこのまま辞めにしてもいいかな、くらいに思ってるんですけどね。前に書いたように、小説にしてしまうと、私もどうしても気持ち的に最後まで続けないといけないと思ってしまって、それでコメントが来なければ本当に無間地獄みたいになってしまうんで・・・。応募目的の作品なら、自分のためにやっていることですからそれでもやろう、と思えます。しかし、読んでいる人が全然いないのに自分の人生を晒す気にはなれないですよ・・。

 コメントがしにくい、しやすいというのは確かにあるかもしれません。それは私のせいなのかもしれません。しかし、熱心に毎回コメントをくださるseaskyさん、L,wさんのような方々をみると、「読みたい」と思ってくださるなら、ちょっと「ひねり出す」といっては我儘ですけど、なんとか書き込もう、というふうに思ってみてほしいかなあ、などとも思ってしまうのです。毎回とは言いません。今いる読者の方が、一週間に一回、いや二週間に一回でもコメントしてくれれば、大分状況は変わり、私のモチベーションはアップするのになあ、と、ちょっと考えてしまうんですよね。

 犯罪者名鑑の方で、昨年予告した際には、期待しているという旨のコメントをしていただいた方が、いざ本編が始まると、3か月半、16回やっても一度もコメントをしてくれないという状況になっています。昨年末、記事でお礼をした常連の読者さんの半分は、現在書き込みをしてくれません。たぶん「思てたんと違うー」ということで、おそらくもう読むの自体やめてしまわれたものと思われますが、そうなる前に要望なども伝えていただければ、はじめのうちなら軌道修正もできたのです。せっかく読者の声がダイレクトに届く風通しの良さがあるのだから、読者様のほうも利用して頂けたらな、と思うのです。なんにせよコメントなしでは、私の方に変化があることはありません・・。

 あと批判ということで勘違いしている読者さんがいるかもしれませんが、作中の登場人物、たとえば蔵田などの行いを非難するような意見はむしろ嬉しいですよね。書いたかいがあるというもので、より鬼畜な行いをさせようと意気込みます。

 そんなとこですかね・・・長くなりました、すみません。

お久しぶりです。創作の小説も面白いですが実体験に基づいた私小説も負けずに面白いですね。

津島さんは若いだけあって色々なバイトに採用されて羨ましいです。私はアラフォーなので仕事探しも一苦労です。

また私事になるのですが今犯罪の片棒を担がされそうになって危うい状態になっています。下手すれば懲役です。何事もないように祈って下さい…。

No title

金満家さん

確かに色々なバイトをやってきましたねえ
しかし今振り返ると滅茶苦茶なところばかりだったように思います
解雇予告の通知もなくいきなり明日から来なくていいと言われたり社会保険にも入らせてもらえなかったり
なんだかんだ派遣会社(大手)が一番まともだったかと思います。

初犯で懲役になるほどの犯罪とは穏やかではないですね・・。きっぱり断れないようなら警察に走るしかないでしょうね。売ったとかなんとか言われるかもしれませんが・・・。

もし私でよければ相談に乗ります。非公開コメントのところにチェックを入れれば、他の方に見えないようになりますので・・・。

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No title

金満家さん

No title

金満家さん

大体わかりました。初犯で懲役はないと思いますよ。おそらく罰金で済むかと思います。

残酷なようですけど、すでに取引が行われてしまった以上タダというわけにはいかないでしょうね・・。すでに二件も悪用目的で使われてしまったのが発覚していますから、言い逃れするのは厳しいでしょうね。洗いざらいぶちまけたほうが得かと思います。自ら警察に出頭して全部正直に話した方がいいと思いますね。誠実に対応すれば、起訴までもいかない可能性はあります。

リタリン飲んでたんですね。ふっかけられたのは悔しいですね。わたしコンサータ飲んでますが、リタリンの方が効くんですよね。リタリン飲んでみたかったなぁ。

松屋きつそうですね💦スピード勝負みたいな事難しいですね。。

あと、女性社員さんに話しかけていた学生さん、むかつきます笑
誰にでもいい顔する男の人嫌だなあ。裏表あると思います。女性社員さんも津島さんと付き合えば良かったのに、見る目ないですねー。

No title

あやかさん

 女性社員さんは別に恋心とかはなかったですね💦リタリンとかは認めてくれるよう望んだ時期もありましたが、今ではバイトみたいなしょうもない労働のために薬漬けになってもしょうがねーと割り切っていますね。小説の仕事もらえるようになれば考えないでもないですが・・。

 
プロフィール

津島 博行

Author:津島 博行
1987年4月3日生 男性
相互リンク歓迎します。

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