私小説後の人生1  禁煙と免許取得

 私小説最終話で、警備隊をやめたくだりから話していきます。

 警備隊をやめた私はまず、かねてから必要性を感じていた禁煙に挑戦しました。タバコの値段がひと箱400円近くまで上がったころのことで、ひと月に一万円近くのお金がかかっており、収入が途絶えた私には、このタイミングで是非とも取り組まなくてはならないところでした。

 最近は病院に行ってやめる人が多いようですが、当時の私は喫煙歴四年程度で、まだ身体の隅までニコチンに侵されていたわけではなく、ちょうど仕事も辞めてストレスもないときだったので、いわゆる「根性禁煙」の方法を選びました。根性といっても修行僧のようにひたすら苦痛に耐えるというのではなく、一日中をゲーム三昧で過ごし、不快感を紛らわせてそのうちにやめるという作戦です。

 様々なゲームを試しました。まず、第三帝国興亡記という、第二次世界大戦中のドイツを率いて欧州制覇を目指す戦略シミュレーションゲーム。近年のヌルゲー化の流れに真っ向から逆らうようなシビアさと、カッコいいBGMが魅力の、隠れた名作です。「いない方がマシ」レベルだったフランスが結構やる時点で難しく、ソ連の手ごわさは史実を遥かに凌駕するもので、シナリオの最大の山場となっています。その過酷な独ソ戦をクリアして、グデーリアン・マンシュタイン・ロンメルら名将勢ぞろいでイギリス本土上陸作戦「ゼーレーヴェ」を敢行するときは、BGMも相まって、大戦を同じ枢軸側で戦った国の民として非常に感慨深いものがありました。

 続いて、「エイジオブエンパイア2」。アメリカの有名なシミュレーションゲームですが、中世が舞台とあってモンゴルが超強い。エリート・マングダイを作れるまで生き残っていればクリアしたも同然で、ゲームバランスが崩壊していますが、当時のモンゴルの脅威をよく表現しているともいえます。聖職者で金を集めたもの勝ちなのは、いちはやく貨幣経済を発達させた国家が栄えたのと置き換えて楽しみました。シンプルだけに色々脳内補完の余地があるのはいいところです。ただ遠投投石機はいらないかな・・せっかく大阪城みたいなカッコいい難攻不落の要塞を作ってもあれのせいで意味なくなってしまう。テクノロジーを個別に禁止にできるシステムがほしかった・・。

 そしてバイオハザード。主に4以前のおつかいゲー時代の作品をプレイしました。コードベロニカでSランクを出したり、リメイク1でインビジブルモードをクリアしたりなど結構やり込みました。バイオハザードのBGMは大好きで、昔はよく作業用に聞いていたのですが、ベストはアレクシア第二形態のダークサイドクロニクル版かな。10歳から20歳の一番需要がある時期を冷凍保存されたまま過ごし、ようやく蘇ったとおもったらわけのわからないマッチョに殺されるかわいそうな少女です・・・。

 あとポケモンのDPもやった気がするのですが、このときはなぜかそれほど嵌りませんでした。PTに比べてもっさり戦闘でストレスがたまるということですがそれが原因だったのでしょうか。

 それらのゲームを助けにタバコをやめることはできたのですが、最初の三日間は大変でした。なにか大事なものが自分の身体に存在しない感じで、気が付くと指にお箸など細いものを挟んでスーハ―スーハ―やっている有様で、この苦しみからいつ解放されるのか、永遠に解放されないのではないかと不安になったものですが、三日間を過ぎると嘘みたいに楽になり、一週間も経つと、タバコが吸いたい欲求は七割がた消失していました。

 たかだか一週間の努力を怠って(そもそも吸い始めたのが間違い)、今まで毎月一万もの金を落としていたのかと複雑な気持ちになったものですが、何かに依存しない生活は快適でした。今まではどうしても、何十分かに一本、タバコを吸わなければならないという行動に縛られて生きていたのがなくなったのです。たかが葉っぱに支配される人生から解放されたのです。

 タバコというのは百害あって一利なしといいますが本当にその通りで、吸ったところで気持ちよくなるわけでもなく、精神に何の幸福も齎しません。吸っておいしいと思うのは、ただヤニ切れの不快感が消えただけ。喫煙とはいわば、マイナスの状態に自分から足を突っ込んで、高いカネを払ってひたすらマイナスを埋める作業をしているだけの空しい行為であることを、タバコをやめて初めて知ることができました。

 無事に禁煙を達成するとすぐ、運転免許を取得すべく教習所に通いはじめました。自動車学校の教官には横柄な人間が多いと評判ですが私のときも確かにそんな感じはありました。JRと同じで、生活に必要なものだから黙っていても来るだろうとサービス精神は希薄になるのかもしれませんが、若者の車離れが言われる時代、いつまでもああいう態度では次第に彼らのクビも危なくなるでしょうね・・。あとは激務薄給のタクシードライバーにでもなるしかなくなるでしょう。教官の指名制度などがありましたが、ああいうのはサービス向上にも役立つでしょうし続けてほしいところです。免許自体は、試験にもほとんど落ちずに取得でき、禁煙と合わせて、この時期の大きな収穫でした。

 私生活では、この時期には自宅の建て直しで、二駅離れた近所のマンションに一時引っ越しをしていました。折茂からの連絡を無視するにあたり、私は折茂が自宅にまで押しかけてくるのではないかと危惧していたのですが、もしかすると、実際には折茂は自宅まで来ていたのかもしれません。そこで更地になった私の家を見て諦めた可能性はあります。

 ただ、私のわかっている範囲のみでいえば、折茂からは二回電話がかかってきただけで、「鬼メール」などはなく、別れは本当にアッサリしたものでした。折茂と離れられて安心した反面、これほどアッサリ私を解放してくれるなら、一緒にいた時期になぜあれほど執着してきたのかと疑問に思ったものです。私の方が、小説を書けるほど折茂のことをよく覚えていることを考えれば、私の方が執念深さは上かとも思えるほどです。

 彼が執着していたのは、塩村ら周りの人に、自分が嫌われていないのを証明することだけだったのかもしれません。だから伊勢佐木屋警備隊がなくなってしまったら、私のことなどはどうでもよかったと。それだけのためにあそこまでできてしまうのも凄いですが。
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No title

自分は煙草を吸わないので禁煙の辛さはよく分からなかったのですが3日間は禁断症状があるのですね。
かなりのヘビースモーカーだと禁煙は難しいような気がします。
麻薬は煙草の比じゃないといいますからまず無理のレベルでしょうね。
ゲームをプレイしている時は煙草を吸いたい欲求は出てこないのですね。
禁煙は何かに集中することと意志の強さが大事なのかなと思いました。

禁煙は本当に大変ですよね
私も無職の時に禁煙成功させたんですが、働いてたら多分一生無理だったと思います
そう考えてみると無職期間ってのも、結構メリットあるんですよねー

No title

>>seaskyさん

 三日が最初の山ですね。ここを乗り越えられればまず達成できると思います。

 マリファナなどはタバコよりも依存性が低いといいますがどうなんでしょうね・・。麻薬の一歩手前の精神安定剤でもやめるのは大変でした。コカイン以上の麻薬に手を出したら人生終わりですね・・。

 ゲームをやっているときもしんどいですが、ゲームをやっていなかったらもっと大変だったでしょうね。働きながらやめるのは無理だったと思いますね。

>>読者Aさん

 まったく同感です。働いていないときでないとやろうと思わないことですね。
プロフィール

津島 博行

Author:津島 博行
1987年4月3日生 男性
相互リンク歓迎します。

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