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犯罪者名鑑 北九州監禁殺人事件 8

 
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 恭子と純子

 純子が湯布院に行ったころから、恭子はそれまで浴室で寝起きから食事までしていたのが、リビングで純子と松永の子供たちと一緒に生活できるようになりました。そして純子が湯布院から連れ戻されると、今度は純子が浴室で寝起きし、恭子から毎日の食事、排泄を管理されるようになりました。松永の下で、純子と恭子の順位が入れ替わったのです。

 恭子は今までの鬱憤を晴らすかのように些細なことでも松永に報告し、純子は松永に命じられた恭子、ときには自分の息子から通電を受けていました。純子と松永の子供はこの頃2人に増えて(清志の死体を解体しているとき純子は身重だった)いましたが、実子の目の前でされる虐待はかなりの精神的苦痛だったでしょう。

 純子はこうした境遇に耐えきれなくなり、恭子と2人で用事に出かけたときに逃亡を図りました。まず駅を出た瞬間にタクシーに乗り込みましたが、すぐ追いついてきた恭子が窓を叩き、運転手に迷惑をかけまいと思ったのか、純子はすぐ出てきてしまいました。直後にやってきた電車に飛び乗ろうともしましたが、恭子に取り押さえられ、この頃には恭子と純子の栄養状態は逆転していたため引きずりだされてしまいました。

 そしてマンションに帰ってから、純子は激怒した松永から酷い通電虐待を受けました。

 このとき、父の敵である松永の命令に唯々諾々と従う恭子はどういう心境だったのでしょうか。父や自分に酷いことをしていた2人のうち、純子だけでも懲らしめられてせいせいしていたのでしょうか。恭子にそういう感情があったとして、松永はそれすらも巧みに利用し、自らを王とするランク制度を維持していました。

おがた


 緒方家

 偽葬式前夜、松永はマンションに集めた緒方家の人々に清志を殺害し、その死体を遺棄したことを打ち明け、「すべての責任は純子にある」と信じ込ませました。

 松永は緒方一家を毎日のようにマンションに呼び寄せ、酒を飲ませながら「今後、純子をどうするか」について話し合いを行いました。緒方家の住む久留米からマンションのある小倉までは車で2時間もかかり、仕事や家事の合間に通うのは大変な労力がかかります。松永が得意とする、疲労とアルコールで正常な思考力を奪う手口がここでも使われたのです。

 松永の狙いは、重大犯罪を犯した純子を、家族が松永に「預けている」という形をとらせ、大金をせしめるというものでした。

 初め話は、無実の松永にとって厄介者である純子を、家族が大金を払って引き取るという流れになっていましたが、実際の主犯は松永であり、純子を実家に返したら最後、洗脳は解け、事件のすべてが明るみになることがわかっている松永には、純子を手放す気は毛頭ありませんでした。

 交渉が纏まりかけた最終の段になって、松永は、「純子との子供二人を自分が引き取る」という条件をつけてきました。これで純子が「松永とは絶対に別れない」と言い出したのです。

 コトは母の愛という次元を超えており、ここで家に帰っていれば一家全滅の惨禍は防げたはずで、純子もどうかと思ってしまいますが、こういうところが洗脳の怖さなのでしょう。平静な状態なら、むしろ子供のことを思えばこそこの時点で警察に出頭し、さらなる悪事を未然に防ぐという判断ができたはずですが、純子は強情にも松永の元を離れないという意志を示し、最悪の道に突き進んでしまいました。

 平静な判断といえば、まだ純子ほど深い洗脳状態に陥っていなかった緒方家の人々は、なぜ松永の策略にまんまと嵌ってしまったのでしょうか。

 善良な常識人であり、由緒ある家柄である緒方家には、それが故に、近所の評判を非常に気にするという弱みがありました。特に父親の誉は事件当時農協の副理事で、さらに理事の座を狙っており、スキャンダルを隠し通したいという意識は強く持っていました。

 静美、理恵子については、松永がいつも既婚者を落とすときの手段と同じで、まず酒を飲ませて夫に対する不満を吐き出させ、その後に彼女たちの弱み、具体的には過去の不貞を暴き、それを追求して負い目を抱かせました。

 静美に関しては具体的な話はなく、古い世代ですから手を握ったであるとか、一時心が揺れ動いた程度のことでも罪悪感を覚えてしまったのかもしれませんが、妹の理恵子は筋金入りで、両親から男女交際を禁じられていたはずの学生時代から多数の男性を渡り歩き、妊娠、中絶の経験もあり、主也と結ばれてからも他の男性と性的関係を持っていたことはどうやら事実であったようです。

 さらに、松永は静美、理恵子と強引に性的関係を結び、彼女たちの弱みを握りました。彼女たちが松永と関係を持っているのを純子は知っていたようで、純子は母、妹に嫉妬を抱いていたといいます。

 老人である誉、女である静美、理恵子を洗脳にかけ支配下に置くのは、ワールド時代から10年以上も洗脳術に磨きをかけてきた松永には赤子の手を捻るようなものでした。

 松永にとってもっとも厄介だったのが、力のある成人男性であり、警察官でもあった理恵子の夫、主也でした。

 松永は主也を篭絡するために、酒の席では常に主也に一目置いているような態度を見せ、緒方家の中で主也を特別扱いしていい気分にさせました。そして、婿養子に入る際にかわされた、土地の一部を主也に譲渡するという約束が履行されていないことに目をつけ、「あなたは緒方家に騙されているんですよ」と、緒方家に不信感を抱かせました。

 トドメのように、理恵子が不貞を働いており、その証人(理恵子の友人。松永は短期間でここまで辿りついていた)もいることを打ち明けると、主也の緒方家への不信感は決定的となり、松永を味方だと錯覚するようになってしまいました。松永が主也に「緒方家のあなたへの仕打ちはあまりにも酷い。一発殴ったらどうですか」と提案すると、主也は本当に誉、静美、理恵子の頭をポカリと殴ったそうです。

 こうして主也と緒方家の仲を分断しておいてから、今度は松永は「早朝、嫌がる理恵子にセックスを迫った。女性を侮蔑している」などと主也を責め立てて負い目を抱かせました。続いて、主也と理恵子の子供たちに通っている幼稚園をやめさせ、小倉に引っ越させ、純子や恭子、自分の子供たちと一緒に住まわせることに成功しました。

 人質まで取られて、これで主也も完全に松永の支配下に置かれてしまったのです。 

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 洗脳

 緒方家を見ればわかるように、善良であること、常識人であることに拘っていたとしても、この世に完璧な人間などはいないのですから、逆にわずかな綻びに付け入られて相手の言い分を飲まされる理由になってしまいます。善良であること、常識人であることは良いことですが、洗脳にはかかりやすい条件であるともいえます。

 では、一体どういう性格の人が洗脳にかかりにくいのでしょうか。この事件で被害に遭った人をみると、純子のように自責的で自罰的な人は危険なのですから、その逆を考えれば、洗脳にかかりにくいのは「程よく他責的で利己的な人」、清志のように夢見がちな人は危険なのですから「自己評価がさほど高くなく、死に物狂いの努力や多額の出資をしてまで大きな成功は望んでいない人」、緒方家の人々のように周囲の評判を気にし、欠点のない完璧人間を目指している人は危険なのですから「少しくらいの素行の悪さは屁とも思わず、また周囲へもそう思わせている人」

 ステレオタイプなイメージで恐縮なのですが、「競馬場の周りにいそうな小汚いオッちゃん」のような人は、まず洗脳からは縁遠いところにいるのではないかと思います。完全な悪ではいけませんが、「ちょい悪」というのは非常にバランスの良い性格であるように思います。

 このブログ内でも度々述べていることですが、正しいことはいいことだとしても、正しすぎるというのは考えものです。この世に悪があることを知らず、心に闇を持たない人は、その偏った正義によって人を傷つけるか、容易に騙されやすい人の二極であると言っても良いかもしれません。

 プライドというのは生きる上では何かと邪魔になることが多いのですが、けして失ってはいけないプライドもあります。己が自由であることへのプライド。己の生活を他人に支配されたくないというのは、その重大な一つです。

 他人を利用しようとする人間を信用するなというと、世の中のすべての関係は互いを利用することで成り立っているものであり、よくわからない話はまったく聞かないという態度を取っていると、本当にうまい話を断ってしまうこともあるので、判断は非常に難しいところです。しかし、少なくとも清志や緒方家のように、完全に取返しのつかないところに行くまでに気づくポイントは必ずあるはずです。「あいつはどうも怪しい」「どうもこの話はこっちが損だ、自分は一方的に利用されている」これにどれだけ早く気付くかが自分や大切な人への被害を防ぎ、卑劣な詐欺師に楽して得してを許さないことに肝要となります。

 この事件はあまりにも凄惨だったため当時は報道規制が敷かれましたが、人がサイコパスを見抜く目を養うためにも、今こそもっと多くの人が知るべき事件といえるでしょう。

 
 
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